Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -33ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

既に『福岡BEAT革命』のHPでも公開しているが、彼へのエールを贈るため、本ブログでも紹介させていただく。残念ながら“回復記念”ではなく、“回復祈念”。本来であれば昨20222年11月25日(金)の名古屋 「BOTTOM LINE」を皮切りに大阪「味園ユニバース」、福岡 「スカラエスパシオ」、12月16日(金) の東京「LIQUIDROOM」まで、全国4カ所、全8公演(各所とも2DAYS)になる「THE MODS Premium Acoustic Tour 2022 “DRIVE WAY JIVE”」が予定され、既にツアーを終えていたはずだった。しかし、ツアー直前の10月、森山達也の耳に不調が見られ、突発性難聴と診断された。医療機関にて治療を行ったものの、ツアー開始時点でライブを行うことは困難と判断され、公演が中止になってしまったのだ。

 

まだ、森山の耳は回復せず、治療に務めているという。具体的な予定が出せないでいる。いまは彼の回復、復帰を待つしかない。何度も困難に立ち向かい、その度に蘇ってきた。“約束の地”へ舞い戻ってきている。

 

 

私達にできることなどないが、不退転のロッカーたる森山がTHE MODS伝説の始まりの時代を記録することで、祈念とさせていただく。掲載誌は『MUSIC STEADY』の1982年夏号(当初は季刊だった)。41年前のインタビューになる。

 

 

81年6月にデビューアルバム『Fight or Flight』 、同年10月にセカンドアルバム『NEWS BEAT』をリリースし、82年6月の“伝説の雨の野音”直後、同年9月にリリースされるサード・アルバム『LOOK OUT』を一風堂の土屋昌巳をプロデューサーに迎え、レコーディングする直前に話を聞いている。これからTHE MODS伝説が始まる、そんな時期でもある。41年前もいまも変わらない森山達也の肉声をそのまま掲載する形でまとめている。写真はクラッシュの『London Calling』や『Sandinista!』などでお馴染みのペニー・スミス。THE MODSの事務所にもその写真はないという。掲載記事の複写だが、いまとなってはそれだけでも貴重なものだろう。今回、事務所に過去記事の再録の許可をいただいた。上京して1年足らず、ネイティブな博多弁独特の言い回しのため、わかりづらいところや博多弁の再現度もあやしいところもあるが、明らかな誤字や脱字以外はなるべく修正せず、そのまま掲載している。ご了解いただきたい。森山達也の回復と復帰を改めて祈る。きっと、彼は約束を守ってくれる。いま暫く、待とうではないか。

 

 

 

 

PHOTO TALKING

「TWO PUNKS」は、今は完璧に一人立ちして、最後にはあんたのもんちゅう感じやね

森山達也[THE MODS]

 

 

 

一つの歌が歌い手の元を離れ、聴衆の中へ入り込み、いつしか聴衆のものになってしまうことがある。下から上へ歌ったものでもなく、ましてや上から下へ歌ったものでもない、まさに歌い手と聴衆が同次元に立ち、目に見えない垣根をとりはらい、一つの歌を媒介として一つの世界を構築してしまうのだ。そんな歌に出会えることは一生のうちで、そう何度もあることではないだろう。しかし、その数少ないうちの一つが、現在キッズ達の愛唱歌になっているモッズの「TWO PUNKS」だ。

 

モッズは現在、土屋昌巳をプロデューサーに迎えてニュー・アルバムをレコーディング中だ。そして森山達也は、一部の無理解と戦い、危うい綱渡りをしながらも、さらに大きくなって、僕達に近づいてくる。

 

 

取材 ・構成/市川清師

写真/ペニー・スミス

 

 

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「TWO PUNKS」はね、ほら、博多から 東京に出る瞬間の自分達、俺と北里みたいなね、個人的にはそれを書いてね。あの時、博多と東京を行ったり来たりみたいなのが色々あったしさ。そういうとこで、こう、博多やけど、国籍がないみたいなね。

 

今までのロックっちゅうたら、すぐ、みんなで合唱できるもんが多かったやない。で、 ロックンロールで合唱できるっちゅうたら、「ジョニー・B・グッド」みたいなもんと思うわけ。それで俺、他のバンドのコンサートはあんまり見に行ったことないけん、こう、よく分らんけどね。大体一般的にロックンロールちゅうか、ロックのパターンで言えば、英語のサビの部分でね、“ゴー・ゴー! ゴー・ジョニー・ゴー・ゴー!”みたいな、もうそのスタイルってのはオーソドックスで、一番いいことだと思うわけで、俺達がああいう、俗にパンクっぽいバンドと見られがちなのに、あの曲は大好きな曲やしね。

 

 

プレーする側の「TWO PUNKS」っての は、若干レゲエっぽい、スローっぽい。まあ、日本語で歌えば歌謡曲っぽい曲になったと思うしね。日常生活じゃないけどさ、くだらん言葉が多いわけ、本当。金がなかったとかね、腹に押し込むとか、もうぐったり横になろうとかね。“実際”って言葉があるよね。詞の中で〝実際”ってのはあんまり出てこんって言われたわけ。俺は全然気がついてなかったしね。そしたらファンの子が「あの 詞は好きです」って。どこが好きかって聞いたら、「実際”っていう言葉が好きです」って。おーっていう感じでね。逆に自分が、そう言えばそうやねっちゅう感じでね。で、詞の部分でみんながこう分りやすくて、早い曲で、ベタベタって歌うんじゃなくてね、スローで歌ったっちゅうとこで、結構、みんなの気持ちを代表した。なんか聴き手側もそれ、自分のもんにして、みんなで歌いよるっちゅう感じでね。向こうのバンドっていうのは、本当、自然でね。何の曲でもいっしょに歌うというか、大合唱するわけじゃないけど、こうフツフツ歌いよるしね。それが日本語のロックの一番大事なとこだと思うしね。英語で歌うことが悪いんじゃなくて、わけ分らんで歌うよりは、日本語っていうせっかく大事なもんがあるからね。自分の国の言葉があるから、それでやっていきよる限り、あんなに歌えるのは嬉しいと思う。歌ってくれるのかね。考えたら、てめえの歌を歌ってくれよってね。 今は完璧に一人立ちして、最後には、それぞれ、個人個人の作品っていうか、あんたのもんちゅう感じやね。

 

 

 

たかがしれてる部分で 最高に詞を書けるのが俺達

 

 

今から3枚目をレコーディングしよるけど、 たぶん、“Ⅳ”、“V”つくってもね、変えたくないなあっちゅうのがあるんすよね。だから、音楽が変化していくっていうのは、自然であってね、今、モッズの3枚目が出るにしても、まだ、それだけじゃないってのもあるしね。もっといろんな音楽が好きやったし、聴いてきたつもりやけんね。そんなの、今から色々出していきたい。詞の世界っていうかね、歌詞の世界ちゅうのは、俺、大きな体験みたいなのないしさ。そんなに毎日、毎日いろんなことするわけないじゃない。生活しよる奴の詞はたかがしれとるとこもあるからね、結局。で、たかがしれてる部分で一番最高に書けるっちゅうかね、ドコドコ突いて詞を書くのが俺達のロックだと思う。じゃけん、それは、LPを5枚出しても、6枚出しても変わらんと思うよね。じゃけん、似たフレーズが出たりとか、視点が全部いっしょになるっちゅう恐れはあるけどね。今、26歳やけど、一年一年、歳とっていくよね。そのうちに大きな周期で、また生活観も変わってくるやろうし、見方も変わってきた時か、また、おもしろくなると思うね。じゃけん、正直言ったら「Shonben」とか「うるさい」とか、あれは1977年位につくった曲やしね。今、歌いたくないっちゅうのあるね。

 

 

形や言葉は別として、まず否定した本当のパンク・スピリット

 

 

で、俺達が“ラスト・パンク・ヒーロー”じゃないってのは、そこにあるわけ。で、やっぱり『Fight or Flight』が出た時の「うるさい」のシングルがいいって奴もいたけど、 そんなこと言う奴ってのは確かに博多からずっと好きなファンちゅうかね、そういう子もおったし。音が荒けずりで、緊迫感があって、安っぽくて。過激じゃないけどさ、攻撃的なとこが好きみたいなとこで、やっぱりパンク ヒーローじゃないけどさ、そんなの期待しとる奴おるじゃない。

 

70年代の終りにパンクが流行って、すぐ、 テクノに変わっていったりして、パンクとニュ ー・ウェイヴか、何か、わからんようになったりして。俺達、実際にやりよるっちゅうのは、 スタイルが変わったにしてもね、髪型が若干変わっただとか、服装が変わったとか、別として、やってきたこと自体はそんなに大きく変わってないと思うしね。ところが、パンク流行っとるとこに俺達がそれやったらさ、あっ、ピストルズの真似、クラッシュの真似だって言われてきたわけ。それに疲れる時あるね。ちょっと離れたとこ行ったらねえ、もう本当にパンク・ファッションにかためてね。俺、それ全然否定してないし、それはそれですごいいいことやし、気持ち分るしね。ただ、70年代をそのまま引きずってね、俺はそれといっしょに見られるのがいやっちゅうことで、こういうこと言ったことあるわけ。あのね、「モッズ」っていうのはそもそも、「テッズ」っていう古い伝統的な「テディー・ボーイ」っちゅうのが昔あったよね。「モッズ」っちゅうのは人目をひくために、女より美しくしたり、既成のファッションをくずして極端やった。ようする にイギリスの伝統の国で、紳士の国なのに、そういうファッション革命起こしたっていうか。それは「モッズ」にパワーがあったと思う。 そん時は、「パンク」っていう言葉がなかったにしてもね。それは64年から66年くらいに栄えたけど、ほんで、なんもなくなったと思うわけ。ほんでハード・ロックが結構、栄えたっちゅうかね。そういう時にピストルズがファッションと音楽を結びつけたっちゅう。パンク・ロックってのはまず否定したというかね。だから、俺はあの時期、同じ意味でモッズって、そういうこと言ったことあるわけ。その形とか、言葉は別としてね。それが俺、本当のパンク・スピリットちゅうこと。気持的な部分で大好きちゅうことで、俺がツンツン・ヘアーに安全ピンつけて、まあ一時やったけど、今は別にそれをやりたいと思わんしね。

 

 

 

パンクっちゅうのは、ちんぴらとかいう意味かもしれんけど、だからこそ素適な音楽なんだ

 

 

何でも良いと思うわけ。様式化されたものでも良いけど、自分達で開拓していったファッションにしても、音楽にしても、だけん、どっかのアイデアは絶対借りていかな、生きていけん、世の中やと思うしね。それを利用しながらもやっていかんと。そういう意味でパンク・ロックって大賛成って言うわけ。それがなんか、もう完璧にファッションと、歌詞がラジカルで、少し政治的なことでも歌えば、やれパンクだとか、それは暗いよ。その辺をぬぐいたいっちゅうかね。ステージでペッペッ、つば吐きかけられて、気持良いもんやないもんね。イギリスで、そういうことが流行ったかどうか知らんけど、俺、関係ないしね。で、ケンカも絶えんかったしね。それを目前にして歌ったり、演奏中断して止めたりするのも、好んだもんじゃないですね。だけん、俺達は本当良い音楽しようと思うしね。パンク・ロックって、悪い音楽って、皆、すぐ錯覚してしまうやない。パンクっちゅうのはちんぴらとか、そういう意味かもしれんけど、だからこそ素敵な音楽なんだっちゅう部分でやるように、ただイスを壊したら良いとか、クサリまいてどうのこうのっていうのは本当のちんぴらよね。そんなものは俺、あんまり用はないしね。その辺が最近は辛くなってきたね。

 

 

 

世間の不満を歌いたくてギター持ったわけじゃない。やりよるうちに歌にしたというだけのこと

 

 

それ、どこのバンドでもあろうけどね。だけん、それを一回ぬぐいさりたいっちゅう時期というかね。難しいよね、確かに。けして 悪いことじゃないにしても、もう少し考えていかんみたいな部分を歌っていきたいしね。何も世間の不満を歌いたくてギター持ったわけじゃない。やりよるうちにそういうのを感じて、俺は歌にしたというだけのことでさ。一番好きなのは3コード・ミュージックだったしね。皆にも、音楽の楽しいことだとか、心臓の破裂しそうなビートの熱さっちゅうのを教えたいっちゅうのあるよね。基本的に音楽ってのは、苦しいもんかみたいな感じに捉えられたらやばいよ。そないとる奴が多いんやない。俺らのステージ自体が結構苦しそうやしね。そんな楽しそうやないけどね。そう見えるけど、そうじゃないと思うしね。音楽っていうもんは、本当は楽しいもんなんだ。いやなことがある、楽しくなるために音楽を必要としてるんだみたいなことを分かって欲しいな。なんかファッションで握り拳あげて、やれ、ぶち壊わせって、それやったら俺、ステ ージに上がって演説するよ。学校の先生みたいに。でも、それは嘘やしね。ただのダンス ・バンドじゃないっていうだけのことで、踊るなとは全然、言わんしね。それやったら皆、よく聞けになるしね。

 

 

まあ、今年はそれが分かってくる年と思うね。俺達見てて、いやになるかも分からんし、 もっともっと好きになる奴も出てくるか分からんし。俺達は、もう、そんなことは関係なしに、自分達のスタイルをもっともっと大きくしていくっていうことやね。

 

 

3枚目で評価されても困る部分ある 本編は本当、まだ来てないっちゅう部分もあるしね

 

 

 

俺達も本当のこと言ってプレッシャーあるしね。これから9月か10月頃になったとする じゃない。もう(レコード)出したくないようになる可能性もあるわけ。いや、また違う。 もっとこういうものをやりたい、みたいなさ。 本当、期待っちゅうか、プレッシャーみたいのを感じるね。1、2枚目っちゅうのは、絶対いいぜみたいな、押し売りっぽいことできるやない。うーんと考える暇を与えずにやってきたっていうかね。今回は向こうがさ、聴いてやろうかみたいなことがあるしね。だけん、今度のアルバムは、そういう意味で期待したら恐いね。評価っていうものは、今回 まったく気にせんでやっていくしかないね。20枚出せればいいなあ、みたいなね、長い周期でわかってもらえるというかね。本当のこといって3枚目で評価されても困る部分もあるしね。これは前置きなんだみたいなこと。 『Fight or Flight』て言ってさ、で、本編はちゅうのは、本当、まだきてないっちゅう部分もあるしね。

 

 

 

同じビート、同じ3コードなのに 絶対違うように生き返らせる、モッズはそれができるバンドだ

 

 

今回、俺達としては、いろんな部分にチャ レンジしたいという部分あったしね。 土屋氏は凝るタイプやけん、俺は恐かったわけ。一回話したら、モッズはあのユニットでやるしかないみたいなさ、あのユニットが最高なんだみたいなね、そう言われた時に、あー、この人やったら、多分やれるねって。

 

 

俺達はラッパどんどん入れたり、キーホード、オン・フューチャーでさ、アコースティックもがんがん入れて、変化というのを頼ろうとしてた部分が初めあったわけ。でも、そん時思ったね。俺達ってバンドやしね、それやるのは簡単なことでさ、そうじゃないで、このギター2本、ベース一本、タイコー本でさ、同じビートで同じ3コードなのに、絶対違うように生き返らせるというかさ、(それが)土屋氏の喜びと思うしね。モッズは、それができるバンドたみたいなことでさ、3枚目やからがんばらねばいかんちゅうプレッシ ャーをパッと払いのけたっていうかね。もう、これを押し通すしかないねって。

 

めんたいビートっちゅうレッテルが剥がれてきたやない。やっとレッテルから剥がせた部分が、今あるしね。だけん、これからが、ただのロック・バンドで本当にまともに見てくれる奴が増えてくると思うし、そいつ達と今度出会った時がおもしろいと思うね。「Do the monkey」じゃないけどさ、何かが始まってくると……。

 

 

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なお、以下の『福岡BEAT革命』のHPには本記事の扉以外のページも複写原稿として掲載している。お時間があれば、ご覧いただきたい。

 

森山達也、回復祈念! 41年前の肉声を再録!! (fukuokabeatrevolution.com)

漫画家・松本零士さんが急性心不全のため、2月13日(月)に都内の病院で亡くなった。享年85になる。松本さんについては説明不要だろう。ゴダイゴのミッキー吉野、タケカワユキヒデも追悼と弔意を表している。2019年に旅先のイタリアで倒れて救急搬送された。帰国後は体調回復という報道もあったので、心配はしていたが、やがて復帰するものと思っていた。それだけに残念でならない。改めて哀悼の意を表し、謹んでお悔やみ申し上げます。

 

 

松本零士さんとは個人的な面識や交流はなかったが、ゴダイゴのパンフレットなどでは事務所を通して、ゴダイゴへのコメントをいただいている。2020年に逝去され、同じく度々、コメントをいただいた大林宜彦監督とともにゴダイゴを語る上では欠かせない最重要人物である。ゴダイゴの活動の節目には彼らがいたといっていいだろう。

 

 

実は彼らに関わりある「銀河鉄道999」(これも説明不要だろう)と「君は恋のチェリー(CHERRIES WERE MADE FOR EATING)」(同曲は大林監督の初監督作品『HOUSE』 の挿入歌になっている)を数週間前にゴダイゴのライブで聞いたばかりだった。

 

ゴダイゴにとっては浅野孝已も出演した2019年11月16日(土)の東京「中野サンプラザ」公演以来、3年3か月ぶりの東京でのホールコンサート。2月4日(土)に東京「すみだトリフォニーホール」で、ゴダイゴと新日本フィルハーモニー交響楽団との共演『GODIEGO meets 新日本フィルハーモニー交響楽団』が開催された。同公演はすみだトリフォニーホールの開館25周年記念特別企画でもある。

 

同公演は2部構成で、第一部がゴダイゴと竹越かずゆき、ゴダイゴホーンズ(ホーン・アレンジ:吉田治)による「GODIEGO スペシャル・ステージ」、第二部がゴダイゴと竹越かずゆき、ゴダイゴホーンズ、新日本フィル(指揮・編曲:外山和彦)、そしてクワイヤーのザ・ソウル・マティックス(コーラス・アレンジ:池末信)による「GODIEGO meets 新日本フィル」になっていた。

 

 

会場自体は通常、クラシック対応だが、ジャズやポップスのコンサートも開催され、過去にはパット・メセニーやトゥーツ・シールスマンス、トッド・ラングレンやフィリップ・グラス&パティ・スミスなどもライブを行い、八代亜紀やミシェル・ルグラン、TAKE6、ザ・チーフタンズなどは同ホールをフランチャイズする新日本フィルと共演している。JR、東京メトロの錦糸町が最寄り駅、同駅から徒歩5分、商業施設やホテルなども隣接する。会場入場口のデッキやロビーからはスカイツリーも望めるという好立地。大ホールの座席数は1801席(1階1040席・2階233席・3階528席)という中規模のホール。クラシックにありがちな堅苦しさはなく、カジュアルなところで、下町の文化拠点、音楽の殿堂と言っていいだろう。

 

この日、会場の大ホールは1階から3階まで、空席はなく、観客で埋まる。ソールドアウト状態らしい。開演時間の午後3時を少し過ぎ、「THE BIRTH OF THE ODYSSEY」のお馴染みのシンセサイザーの音が鳴り響き、「MONKEY MAGIC」が始まる。“新生ゴダイゴ”の誕生を高らかに宣言するかのようだ。同曲を引き継ぐように「ホーリー&ブライト」や「STEPPIN' INTO YOUR WORLD」、「(カミング・トゥゲザー・イン) カトマンズ」、「LEIDI LAIDI」、「はるかな旅へ(WHERE'LL WE GO FROM NOW)」という、アルバム『西遊記(MAGIC MONKY)』(1978年)や『OUR DECADE』(1979年)、『KATHMANDU(カトマンドゥー)』(1980年)などに収録されたゴダイゴの“旅歌”(“HOBO SONG”)達が続く。ゴダイゴの新しい旅の始まりかもしれない。そして、「君は恋のチェリー(CHERRIES WERE MADE FOR EATING)」、「ビューティフル・ネーム」というゴダイゴとは何かを物語るポップ・チューンを畳みかける。タケカワはMCの中で明るい時代が近づいてきたと告げる。確かに「ビューティフル・ネーム」など、マスク越しの歓声は解禁になったものの、まだ、マスクなしで歌声を上げることは規制されている。ウーアーウーアーという、お馴染みの“コーラス合戦”は出来ない。同曲を歌う時にタケカワは“心の中で歌ってください”と語ったが、もう少ししたら歌声を上げることもできるだろう。いずれにしろ、もう少しの辛抱だ。そんな思いを抱きながら、第一部は40分ほどながら、怒涛のように過ぎていった。ゴダイゴらしさを凝縮した第一部だが、飛沫感染防止のパーテーションのせいなのか、マイクの位置やPAの不調なのかわからないが、ホーンセクションの音とタケカワの歌が被ってしまい、ちゃんと聞き取れないというアクシデントが発生した。第一部の終了後、そのことにクレームを入れる観客も少なくなかった。私自身、1階席の前後、左右ともに中央、PA卓の数列前だったが、ホーンの音が歌にぶつかる(という表現が正しいかもしれない)のが気になって、集中できなかった。第二部からはそんなこともなく、歌も演奏もバランス良く、聞こえ、トラブルの発生は感じなかった。ただ、客席の位置によっては、そのトラブルが解消されないところもあったようだ。演奏は完璧だっただけに残念でならない。

 

 

休憩は30分、長すぎると言う声も上がるが、PAの位置や音声の調整、物販の購入(!?)には必要だったかもしれない。

 

第二部はゴダイゴと新日本フィルの共演である。この日のため、外山が作曲した「前奏曲」からステージが始まる。短い曲ながら次のアルバム『OUR DECADE』(1979年)に収録された名曲「ザ・サン・イズ・セッティング・オン・ザ・ウェスト」への見事なバトンとなる。同曲ではバンドサウンドとストリングスの協調があった。下世話ないい方になるが、シンフォニックロックとは何か、改めてその意味を問いかけ、同時にあるべき姿を指し示す。シンフォニックだからといって、ただ、バンドサウンドにストリングスやホーンを厚塗りするように重ねればいいというものではないし、安物のBGMのように華美にする必要もないだろう。

 

続いて、1999年の期間限定の再結成の際にリリースされたアルバム『ホワット・ア・ビューティフル・ネーム(What A Beautiful Name)』に収録された「地球を我が手に(WE'VE GOT TO GIVE THE EARTH A CHANCE)」を披露する。タケカワとトミー・スナイダーの共作で、歌詞も英語と日本語で交互に歌われる。同アルバムこそ、再評価されるべき作品だと思うが、いまでいうシティポップなどに通じる同時代性を持ったナンバーだろう。ストリングスが前に出過ぎることなく、慎ましやかに歌を飾る術は見事としかいいようがない。

 

そして説明不要の「ガンダーラ」。ミッキーはダンヒルサウンドを下敷きにしたというが、同時代のフォークロックをベースにストリングスが叙情的に被さる。エモーション増し増しながら曲の気高さは失われることなく、聞くものに迫る。

 

同曲の後は「PIANO BLUE」、「SOMEWHERE ALONG THE WAY」、「GUILTY」……と、ゴダイゴを長く聞いていた方なら心に刺さる“隠れた名曲”が披露される。「PIANO BLUE」はノンコンセプトアルバム『M.O.R.』(1981年)に収録された名曲で、最初で最後の“ファイナルツアー”の模様を収録した2枚組(LP1枚+12インチシングル1枚)ライブアルバム『インターミッション』にも収録されている。ミッキーのピアノに合わせ、タケカワが歌う。往時を彷彿させる。「SOMEWHERE ALONG THE WAY」はゴダイゴのアルバムには未収録(同曲の日本語ヴァージョンは元祖ジャニーズ、あおい輝彦が1976年にリリースしたアルバム『スタートへの出発』に「サヨナラ・マイ・ラブ」として提供されている)だが、タケカワのソロアルバム『レナ』(1980年)に「あの頃」として収録されている。ゴダイゴがブレイク前のコンサートではアンコールで演奏されている。同曲の浅野孝已の流麗でいて情緒的なギターソロは白眉というべきもので、いまでもその光景が浮かぶ――そんな感想を抱く方も多いだろう。残念ながら浅野はいない。ジャズやクラシックの知識と技術を持つ吉澤洋治が同曲を自らの色に染め、新しい「SOMEWHERE ALONG THE WAY」を作っていく。「GUILTY」はアルバム『FLOWER] (1985年)収録のこれまた、切なさと哀しみを湛える隠れた名曲である。作詞をトミー・スナイダーとジョニー野村(クレジットはWILL WILLIAMSになっている)、作曲をミッキー吉野の横浜の友人で“ジー・リミテッド・スタジオ”のオーナー、野中三郎、編曲をミッキーが手掛けている。同作も時期的に全盛期以降ということで、クオリティーが高いにも関わらず、スルーされがちだが、再注目してもらいたい。同作ほど、シン・ミックスが待たれるアルバムもないだろう。

 

そして、「MILLIONS OF YEARS」、「DEAD END~LOVE FLOWERS PROPHECY」、「MIKUNI」……と、ゴダイゴの実質的なデビューアルバム『DEAD END』(1977年)の珠玉の名曲が新日本フィルのストリングスやブラス、ザ・ソウル・マティックスのコーラスによって、アルバムを再現するとともにオリジナルを凌駕する歌と演奏で聞くものを圧倒していく。実は、“コロナ禍”という袋小路にある現在の状況とも二重写しであり、同作のメッセージは図らずも時代と共振する。まさに今日的なメッセージではないだろうか。同作に収録された名曲をいま演奏する意味があるというものだ。

 

“DEAD END”のブロックはサポートの竹越かずゆきが八面六臂の大活躍をする。タケカワのヴォーカルを引き立てるサイドヴォーカルとして、ミッキーとのオルガンバトル(!?)を盛り上げるキーボーディストとして、その存在感が増している。いろんな意味で、ゴダイゴというバンドがさらなる成長を遂げるには彼の存在がなくてはならないだろう。昨2022年5月12日(木)のブルーノート東京、9月18日(日)の大阪新歌舞伎座の浅野孝已のいないライブを経験して、竹越かずゆきとして出来ることは何かを彼自身も強く意識したのではないだろうか。

 

ゴダイゴのメンバーを含め、ストリングスやブラス、クワイヤーなど、総勢100名近い大所帯ながら、それが融合し、ひとつになることでゴダイゴの核のようなものが際立ってくる。まぜるな危険ではなく、交わることで有機的な化学反応のようなものが目の前に起こる。

 

その奥深い世界に耽溺しつつも、ゴダイゴはさらなる深い淵へ誘うかのように「THE GREAT SEA FLOWS」を披露する。同曲は先のライブアルバム『インターミッション』の12インチシングルのために書き下ろされた新曲で、ツアー終了後にスタジオ録音されている。(同曲にカップリングされた「HEARTS ARE RED AND TEARS ARE BLUE(明日を夢見て)」とともに作詞を奈良橋陽子、作曲をタケカワユキヒデが手掛けている)同曲で久しぶりにタケカワユキヒデと奈良橋陽子のコンビが復活した。揺蕩う水面を思わす、波紋のようなグルーブを紡いでいく。最初の解散の掉尾を飾るゴダイゴらしいナンバーである。この惜しげもなく名曲をこれでもかと披露するセットリストにその場にいる誰もが満たされた気持ちになったはずだ。

 

 

同曲を歌い終えると、メンバーはステージから消える。そしてアンコールを求める拍手は鳴りやまない。新日本フィルとザ・ソウル・マティックス、タケカワ、ミッキー、トミー、スティーヴ・フォックス、竹越かずゆきなどがステージに戻って来る。段取りを勘違いしたか、吉澤だけがなかなか、戻ってこない。5分ほど遅れて、彼が現れる。スティーヴからきつい一言がありつつも彼は相変わらずマイペース。それが彼らしく、それを受けいれるところもゴダイゴらしいのかもしれない。

 

そして演奏されたのはエルガーの「威風堂々」をモチーフにしたゴダイゴ流シンフォニックロックの傑作「平和組曲(威風堂々)」である。誰もが待ちかねたかのように拍手とマスク越しの歓声で同曲を迎える。やはり、同曲も浅野孝已の聞かせところのフレーズもあるが、吉澤は浅野のフレーズをなぞりながらも吉澤ならではの閃きあるフレーズを披露する。名曲が新たな名曲として蘇り、観客を虜にしていく。今、この曲を演奏する意味を改めて説明する必要はないだろう。“You’re no leader,Just a faker”という歌詞はこんな時代だからこそ、突き刺さる。

 

そしてフィナーレはこの曲しかない。「銀河鉄道999」が満員の客席に向けて放たれる。観客は総立ちになり、何か、同曲によって、この息苦しく、生きづらい現在の“状況”から解き放ち、軛を断ったかのようだ。タケカワが明るい時代が来ると言っていたが、それを確信したかのように会場は歓喜に溢れ、笑顔に満たされる。今も昔も多くの人達の旅立ちや始まりを見守った同曲はゴダイゴ自らの新たな旅立ちを祝福し、同時にその冒険や挑戦を後押ししていく。

 

この時代を照らしつつ、新たな旅立ちを宣言する。ゴダイゴの始まりの瞬間に立ち合えた――そんなステージではないだろうか。

 

不覚にも胸が熱くなり、自然と涙が溢れる。歓喜の涙など、いつ以来だろうか。変な言い方だが、まさか、「銀河鉄道999」にやられるとは思っていなかったのだ。すべての曲が終わり、客席を立ち、会場ロビーに出ると、そんなことを嬉しそうに語り合う方も少なくなかった。

 

ゴダイゴの2023年が始まった。今年こそ、もっと、たくさん彼らのライブを見たいし、新曲も聞きたい。いろいろ緩和されつつも予断は許さない状況ではあるが、漸く、“ACTION”を期待できる状況になったと言っていいだろう。本当に楽しみにしている。

 

 

昨日、2月21日(火)の早朝、TBSの安住紳一郎アナウンサーが司会を務める『THE TIME,』では松本零士さんへの追悼として、昨秋までの同番組テーマ曲だった「銀河鉄道999~シン・ミックス~」が流された。昨2022年10月にテーマ曲がMISIAの「おはようユニバース」に変わった時は少し寂しさを感じたものの、漸く慣れてきたが、こんなことがあると、また、寂しさを感じてしまう。やっぱり、旅立ちと始まりは「銀河鉄道999」である。そういえば、“A journey to the stars”を“A journey to the start”と、しばらく勘違いしていたこともあった(苦笑)。

 

 

 

<第一部 GODIEGO スペシャル・ステージ〉

 

1 THE BIRTH OF THE ODYSSEY~MONKEY MAGIC

2 ホーリー&ブライト

3 STEPPIN' INTO YOUR WORLD

4 (カミング・トゥゲザー・イン) カトマンズ

5 LEIDI LAIDI

6 はるかな旅へ(WHERE'LL WE GO FROM NOW)

7 君は恋のチェリー(CHERRIES WERE MADE FOR EATING)

8 ビューティフル・ネーム

 

 

〈第二部 GODIEGO meets 新日本フィル〉

 

9前奏曲(OVERTURE)

10 THE SUN IS SETTING ON THE WEST

11 WE'VE GOT TO GIVE THE EARTH A CHANCE

12 ガンダーラ

13 PIANO BLUE

14 SOMEWHERE ALONG THE WAY

15 GUILTY

16 MILLIONS OF YEARS(時の落し子)

17 DEAD END~LOVE FLOWERS PROPHECY

18 MIKUNI(御国)

19 THE GREAT SEA FLOWS

 

EN

20 平和組曲(威風堂々)

21 銀河鉄道999

ヴァレンタインも過ぎたのにクリスマス――時期遅れで申し訳ない。お馴染み(!?)、山下久美子のライブリポートを昨年から今年にかけて、溜まってしまったが、一気に書かせてもらう。やや、駆け足になること、お許しいただきたい。

 

 

リアルではないが、昨年末も今年初も配信で、しっかり見ている。書こうと思っていたが、次から次へとライブの目白押しで、先送りになっていた。しかし、私は約束(誰としているわけではないが)を守る男である。

 

 

★2022年12月10日(土) 築地・汐留「BLUE MOOD」BM Xmas Special live

山下久美子 One Step Closer with Smile♡“Thank you for Lovin me”《Sweet Rock’n Roll Live! 2022 at Blue Mood 》

 

まずは、12月10日(土)、“ホームグラウンド”である築地・汐留の「BLUE MOOD」でのライブ『山下久美子 One Step Closer with Smile♡“Thank you for Lovin me”《Sweet Rock’n Roll Live! 2022 at Blue Mood 》』からリポートする。限定ライブ&配信ライブになる。同ライブは、ダーレン・ラブの「Christmas(Baby please come home)」をBGMに山下久美子が後藤秀人(G)、伊藤隆博(Kb)、千ヶ崎学(B)、椎野恭一(Dr)というお馴染みのメンバーと登場。ステージはクリスマスイルミネーションが輝く。少し早めのクリスマスライブの始まりだ。

 

「Santa Baby」、「You don't have to be alone」、「Silent Night」、「I'll Be Home For Christmas」……というコンテンポラリーからスタンダードまで、クリスマスソングの“釣瓶落とし”。晴れやかなクリスマスの夜を華やぎと賑わいを演出したと思ったら、1997年にイタリアとイギリスで孤軍奮闘して制作したアルバム『SMILE』からほろ苦いナンバー「you used to-SMILE」を披露し、説明不要の名曲「シャンプー」を続ける。クリスマスの狂騒と孤独を描き切って見せる。

 

 

「シャンプー」を歌い終えると、第1部は終了。換気のための休憩になる。まだ、密の回避、換気が必要である。新鮮な空気を取り入れ、第2部が始まる。「BABY DON'T CRY」や「いっぱいキスしよう」、「Tonight(星の降る夜に)」など、山下久美子クラシックにして、山下流のスタンダードナンバーのオンパレード。敢えて変化球ではない、直球とでもいうべき、明快な曲、親しみやすい歌は第1部のクリスマスソングスと共振していく。

 

そして、クライマックスはアンコール前の「FOUR SEASONS」と「SING A SONG」でやってくる。「FOUR SEASONS」は1998年1月に東芝EMIからリリースされた山下久美子の34枚目のシングル。アルバム『SMILE』(1997年)からのシングルカット。同曲のカップリング曲である「SING A SONG」は、同98年に発売されたベスト・アルバムのタイトルになっているものの、オリジナルヴァージョンではなく、1998年2月に渋谷公会堂で行われたライブ音源を収録。オリジナルヴァージョンは、2004年に発売されたベスト・アルバム『25th Anniversary Best & Premium Songs』に初収録された。2曲ともに、布袋寅泰が作詞と作曲、プロデュースを担当している。この2曲が際立って聞こえた。何か、大きな歌を歌っているという感じだろうか。スタンダードをエヴァ―グリーンにしていく――そんな歌手としての意欲みたいなものが伝わってくる。まさに歌手・山下久美子の面目躍如。腕の見せ所でもある。配信ながらその勢いに呑み込まれる。圧巻である。喝采を送るしかないだろう。

 

 

アンコールはデビュー曲「バスルームから愛をこめて」(1980年)、そしてデビュー35周年記念アルバムにしてオール・タイム・ベスト『 Din-Don-Dan』(2016年)に大澤誉志幸が書き下ろした「Din-Don-Dan ホラ胸が鳴る」という名曲で締める。繰り返しになるが、山下久美子の歌手としての圧倒的な存在感と飛躍的な成長を物語る。スタンダードと言うものは、誰もが知るものであるが、同時にたくさんカバーも存在する。誰が歌うか、どんな情感を醸すかが肝である。キャリア40年の歌手にいうことではないかもしれないが、この日のセットリストにはオリジナル、カバー問わず、スタンダードナンバーが溢れる中、すべてが山下久美子のスタンダードナンバーになっている。自分のものにしているのだ。やはり稀有な歌い手だろう。このBLUE MOODシリーズも通い始めて(!?)3年以上になるが、回を増す毎にそれを感じる。当然。このクリスマスライブでもそうだった。何か、山下から素敵なプレゼントを貰った気分だ。

 

 

2022.12.10(sat)  BM Xmas Special live

山下久美子 One Step Closer with Smile♡“Thank you for Lovin me”《Sweet Rock’n Roll Live! 2022 at Blue Mood 》

限定ライブ & 配信ライブ

 

山下久美子 with Band:

G:後藤秀人 / Kb:伊藤隆博 / B:千ヶ崎学 / Dr:椎野恭一

 

 

SE Christmas(Baby please come home)♪ダーレン・ラブ

01.Santa Baby(アーサー・キット アリシア・キーズ)

mc

02.You don't have to be alone(イン・シンク)

03.Silent Night(「きよしこの夜 クリスマスキャロル)

mc

04.I'll Be Home For Christmas (「クリスマスを我が家で」ビング・クロスビー)

mc

05.The Christmas song(ナット・キング・コ-ル)

06.you used to-Smile(山下久美子『SMILE』)

mc

07.シャンプー

 

Fresh air in

 

08.BABY DON'T CRY

09.いっぱいキスしよう(century kiss)

mc

10.LIlith(British fantasy)

11.宝石

12.DRIVE ME CRAZY

mc

13.TOKYO FANTASIA

14.Tonight(星の降る夜に)

mc

15.FOUR SEASONS

16.SING A SONG

 

En

17.バスルームから愛をこめて

18.Din-Don-Danホラ胸が鳴る

 

 

 

 

 

■2022年12月27日(火) 東京 町田「まほろ座 MACHIDA」

大澤誉志幸 SASURAI TOUR 2022~クリスマス·ツアー2022 SPECIAL!!~★Special Guest★ 山下久美子

 

 

 

山下久美子は昨2022年12月10日(土)の築地・汐留「BLUE MOOD」の“BM Xmas Special live”の後、「大澤誉志幸 SASURAI TOUR 2022~クリスマス·ツアー2022 SPECIAL!!~」の12月23日(金) 大阪・高槻「MUSIC SQUARE 1624 TENJIN」、24日(土)兵庫・神戸「Mosrite Café」、27日(火) 東京 町田「まほろ座 MACHIDA」の3公演にゲストとして出演した。27日(火)の「まほろ座 MACHIDA」の公演は配信もされている。大澤と山下のジョイントライブ(ディオ・ライブ)は昨2022年5月14日(金)に仙台「誰も知らない劇場」、9月10日(土)に神奈川・横浜「ビルボードライブ横浜」でリアルライブを見ているが、2022年の締めとして配信ライブを見ることにした。町田は東京出身者でも東京か、神奈川か、時々、わからなくなる。大澤も以前、ライブで町田を神奈川と言っていたが、改めていうまでもなく、町田は東京だ。実は同ライブハウス、機会があれば訪ねてみたいところでもある。鈴木茂の「音楽研究所ライブ」や小西陽康の「小西康陽、小西康陽を歌う」など、意欲的な試みが目白押し。特に小西が自曲を歌うライブは配信で見たが、普段とは違う奔放でいて情緒的な彼がいて、驚いたものだ。小西と交流の深い町田出身のジャズピアニスト、矢舟テツローの企画で彼のトリオがバックを務めていたが、「まほろ座 MACHIDA」ならではのもの。押さえておきたい場所である。今度、機会があれば意中のアーティストのライブを見に車を駆って、行ってみたい。

 

大澤と山下、説明不要の最強のディオでないだろうか。マーヴィン・ゲイとダイアナ・ロス、ダニー・ハサウェイとロバータ・フラック、ソニー&シェール、キャプテン&テニール、ヒデとロザンナ、さくらと一郎……など、絵と音が浮かび、聞くものを捉えて放さないものがある。

 

この日の会場はソウルフルなクリスマスパーティになる。お馴染みの二人だが、大澤と山下が揃うと、特別な祝祭空間が出現する。いろいろあった、2022年を吹き飛ばすかのような2日遅れのクリスマス、少し遅い忘年会、気の早い新年会になる。曲と歌の見事なまでの相乗効果。山下が大澤という座付き作家、大澤が山下という座付き歌手を得たことは僥倖ではないだろうか。1+1が十にも百にも千にもなる。

 

また、ノスタルジアではなく、それぞれの歌が時の巡り会わせか、“旬”であることもそんな思いを倍増させた。

 

ご存知のように大澤の希代の名曲「そして僕は途方に暮れる」と同題の映画が三浦大輔監督、藤ヶ谷太輔主演で映画化され、そのエンディングに大澤が新たに録音した同曲が使用されている。さらに早逝の天才作曲家・編曲家である大村雅朗の名作を豪華出演者がトリビュートする「大村雅朗25th メモリアルスーパーライブ」が昨2022年9月23・24日に福岡(大村は福岡出身)。本2023年2月10日に大阪で開催された。彼が編曲した「そして僕は途方に暮れる」が大きくフィーチャーされ、大澤自身も同コンサートに出演している。

 

この日も大澤は同曲についてMCで嬉しそうに触れている。既に配信ライブは終了しているが、配信を忘れるような発言(暴言!?)も怪気炎誉志幸らしく、嬉しくなる。

 

また、2021年11月5日(金)、6日(金)にて日本武道館で開催された松本隆の作詞活動50周年を祝うトリビュートコンサート「風街オデッセイ2021」へ山下は5日に出演し、「赤道小町ドキッ」を歌っている。

 

ともに還暦超えながらいまが旬であることを、改めて感じさせる。この日の締めに「オーバーザレインボー」(Somewhere Over The Rainbow)を歌う。同曲は誰もが知るスタンダードナンバーで、2013年にリリースされた大澤と山下のコラボレーションアルバム『& Friends』に収録されている。虹の向こうへ彼らの新たな一歩を踏み出していく。そんな確信を抱かせる。次の“ふたりのビッグショー”が楽しみでならない。

 

 

2022.12.27(tue) 東京 町田「まほろ座 MACHIDA」

大澤誉志幸 SASURAI TOUR 2022~クリスマス·ツアー2022 SPECIAL!!~

★Special Guest★ 山下久美子

with/G:後藤秀人/Kb:·青木庸和/·Per:酒井まろ

 

01.トパーズ

02.甘い関係

03.天使が消えた夜

04.ガラス越しに消えた夏  

05.そして僕は途方に暮れる

06.今宵かぎりのcheek to cheak(山下イン)

 

07.ホワイト・クリスマス

08.have your merry x’mas (大澤アウト)

 

09.バスルームから愛を込めて

10.シャンプー

 

11.メリークリスマス・ゴー・ラウンド(大澤イン)

12.赤道小町ドキッ

13.stop&ギミーラブ

14.ちょい待ちBabyなごりのキスが

15.こっちをお向きよソフィア

 

En

16.din-don-danホラ胸が鳴る

17.オーバーザレインボー

 

 

 

 

★2023年2月5日(日)、築地・汐留「BLUE MOOD」

Kumiko YamashitaDREAM The FUTURE LIVE 2023′

✳︎未来を夢見る✳「75分のROCK’N ROLL BAND!!」

 

 

 

山下久美子、今年、2023年初のライブがホームグラウンド、築地・汐留「BLUE MOOD」で行われた。限定ライブ&配信ライブながら、コロナ禍の緩和状況を鑑み、定員も少し増え、いい意味で密ではなく、満な会場のようだ。このライブは『DREAM The FUTURE LIVE 2023′✳︎未来を夢見る✳「75分のROCK’N ROLL BAND!!」』と銘打っている。メンバーは奧田健介(G)、伊藤隆博(Kb)、千ヶ崎学(B)、小松シゲル(Dr)という、いつもとはちょっと違うラインナップ。

 

伊藤(UB-TAPSのキーボード&トロンボーンプレイヤーとしてデビューし、脱退後はキリンジやゆず、石井竜也、アンジェラ・アキなどをサポート)と千ケ崎学(NONA REEVES、坂本真綾、大澤誉志幸、山下久美子、青山陽一など、数多くのアーティストのサポートを務める。2013年夏、サポート・メンバーとして参加していたKIRINJIに正式加入)は説明不要(と言いつつ、多少は説明しておいた!)のお馴染みのメンバー。奥田健介と小松シゲルはともにNONA REEVESのメンバーである。奥田は大澤や堂島孝平、坂本真綾、レキシなどのサポートとともにソロとしても活躍、また、小松は佐野元春のザ・コヨーテ・バンドのメンバーとしても活躍している。「75分のROCK’N ROLL BAND!!」に相応しい実力と実績を持つメンバーである。フォーリズムに拘ったスリムなロックンロール仕様だろう。

 

いきなり“総立ちの久美子”状態、思い切りロックンロールで飛ばすかと思いきや、緩急をつけながら「75分のROCK’N ROLL BAND!!」流のロックンロールを披露していく。

 

まずは「狙われた週末」、「抱きしめたい」「リアルな夢」、「鼓動」、「Slow Dance」、「情熱」、「LOVE and HATE」――と、アルバム『LOVE and HATE』(山下久美子の16枚目のスタジオ・アルバムで、1994年9月に東芝EMIから発売された)のナンバーの固め打ち。同作のレコーディングには布袋寅泰(G)や小池マサミチ(B)、池畑潤二(Dr)などが参加。ほとんどの曲は作詞を山下、作曲を布袋が手掛けている。やはり、同作をいまに再現するならこのメンバーでしかなかったのだろう。前述通り、お馴染みの総立ちの久美子のロックンロールナンバーや布袋とともに作った80年代の“ロック3部作”( 1986年『1986』・1987年『Pop』1988年『Baby Alone』)のナンバーではないが、むしろ、いまなら『LOVE and HATE』がよりらしい選曲になるのではないだろうか。そんな試みを敢えてするところにお正月の新年会モードではなく、新年の誓い、新たな挑戦である。同曲を歌い終えると、第1部は終了。配信では楽しみな告知がされていたが、それについては改めてお知らせする。

 

換気のためのインターバル後、20分ほどして、メンバーが再登場する。始まりはピチカートファイブが歌いそうなポップンロールナンバー「Sweet Girls Parade」(作詞:森雪之丞・作曲:布袋。1995年にリリースされたアルバム『SUCCESS MOON』収録)。オールドタイムでキャッチーなナンバーである。続けて同じく『SUCCESS MOON』から「アスファルトのAngel」を披露する。同じくチャールストン風味のナンバー。時空を超えたロックンロールに飛ぶあたりが、この“75分のロックンロールバンド”の懐の深さであり、同時に山下の音楽性の多彩さである。

 

自らの誕生日を祝う(誕生日は1月26日になる)「Happy Birthday to me」、そしてポップなスカナンバー「Lady xxx Pop!」、さらにポップでハードな「Rock me baby」を畳みかける。3曲とも『POP』に収録されたナンバーだ。

 

そして”ロック3部作”のラストアルバム『Baby alone』からの先行シングルになった「微笑みその前で」はリフレインするフレーズを下降しながら弾き続けると言うギター、ベース、キーボード、ドラムなど、各人がハードワークをこなす。そのグルーブは演奏の度に増してく。彼らならではのものだろう。

 

同曲を歌い終えると、山下はキングオブロックンロール、忌野清志郎とデュエットしたこと、しかもそれは彼が提供した曲であることを告げ、「愛の行方」を披露する。山下はどこか、誇らしげでもある。同曲は2005年にデビュー25周年記念としてリリースされたデュエットカヴァー・アルバム『Duets』に収録されている。同アルバムには忌野清志郎をはじめ、THE HIGH-LOWSの甲本ヒロト、吉川晃司らが参加している。

 

山下久美子はキングオブロックンロールに祝福され、かつ、キング達は彼女をほっておかない。そんなことを改めて感じさせたのが同曲に続き、アンコールで披露された2曲である。

 

1曲目は学祭やライブハウスでの共演など、山下を長く聞いてきたものならいまでも鮮明に心と身体に刻まれる、佐野元春が彼女に提供した「SO YOUNG」である。山下は同曲を歌う前に小松が佐野のザ・コヨーテ・バンドのメンバーであり、小松は時代に対峙する佐野を“ネオ佐野元春”と例えている。山下自らも佐野に倣い、生まれ変わった“ネオ山下久美子”であると告げる。同曲はセルフカヴァーアルバム『THE HEARTS』(2000年)で、改めて佐野をフィーチャーしてレコーディングしている。この日、佐野はいないが、メンバーがその不在を埋める。

 

そしてデビュー曲「バスルームで愛を込めて」は同じく同作ヴァージョン(!?)になる。アルバムにはサザンの桑田佳祐がフィーチャーされている。佐野と桑田といえば、昨年の紅白を騒がせた「時代遅れのRock'n'Roll Band(桑田佳祐 feat. 佐野元春、世良公則、Char、野口五郎)」の“バンドメイト”。タイミングが合えば、山下の同バンド入りもあったかもしれないというのはこじつけ過ぎだが、何か、ロックンロールのキングたちに愛されていることを感じるのだ。

 

最後は観客も歓喜の拍手とマスク越しの歓声を上げる。山下は少しずつ、緩和に向かっていることを告げ、もっと、弾けようと声を上げる。3年間、我慢を強いられたが、それもそろそろ、終わろうとしている。75分ではなく、3時間やり続けたいという。この困難な中、創意工夫と鋭意努力しながら、規制と制限の中、ライブを続けてきた。それだけに何か、山を越え、トンネルを抜けたような解放感が滲む。今度こそはと心に誓い、祈る。

 

 

 

山下久美子の2023年はこうして幕が明けた。そして、既にとっておきの“お楽しみ”が用意されている。配信のインターバルで告知されたが、4月26日に山下久美子のジャズ・アルバムがリリースされ、同作をフィーチャーしたライブも予定されているという。実は早稲田大学モダンジャズ研究会出身(タモリもジャズ研出身!)、OB会元会長で日本コロムビア時代に山下久美子の制作宣伝を担当し、現在は吾妻光良とザ・スウィンギン・バッパーズのサックスを担当にして、『ジャズ・エチカジャズメガネの事件簿』(‎彩流社)などジャズに関する書籍の執筆や監修も多い、渡辺康蔵がプロデュースしている。まさに時を超えたコラボレーションである。どんなものになるか、楽しみである。実は今回の告知以前、SNSでは宣伝プロデューサーだった渡部洋二郎さんや音楽ライターの今井智子さんがそのことを発信していた。正式発表を心待ちしていたのだ。

 

ロックンロールとジャズ。改めて、シンガー、山下久美子の凄さを再確認する年になりそうだ。楽しみでならない。勿論、この3年間の実験や冒険、努力や工夫のたまものでもある。山下は次のための準備を怠らない。

 

 

 

2023.2.5(sun) KumikoBM

Kumiko Yamashita

DREAM The FUTURE LIVE 2023′

✳︎未来を夢見る✳

「75分のROCK’N ROLL BAND!!」

限定ライブ & 配信ライブ

 

山下久美子 with Band:

G:奧田健介/Kb:伊藤隆博/B:千ヶ崎学/Dr:小松シゲル

 

01.狙われた週末

02.抱きしめたい

03.リアルな夢

mc

04.鼓動

05.Slow Dance

mc

06.情熱

07.LOVE and HATE

 

fresh air in

 

08.Sweet Girls Parade

09.アスファルトのAngel

mc

11.Lady xxx Pop!

12.Rock me baby

13.微笑みのその前で

mc

14.愛の行方

 

Ec

15.So Young(THE HEARTS)

16.バスルームから愛をこめて(THE HEARTS)