Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -32ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

かのサンハウスが1983年9月21日に東京・日比谷野外音楽堂で行った再結成ライブ「Crazy Diamonds」。同公演を収録したライブアルバム『Crazy Diamonds(absolutely live)』(オリジナルリリースは1983年11月5日)が2017年に復刻された際、鮎川誠さんに取材し、ライナーノートを書いている。それは、こんな文章から始まる。

“昨2016年12月2日にリリースされたザ・ローリング・ストーンズのニュー・アルバム『ブルー&ロンサム』。同作は11年ぶりのスタジオ・アルバムにして、リトル・ウォーターやジミー・リードなど、彼らの原点であるブルースをカヴァーしたアルバムだ。同じく2016年3月26日にリリースされたのがサンハウスの『タイガーインユアタンク(マディに捧ぐ)』である。同作は2015年9月12日、東京・下北沢GARDENで開催された「マディー・ウォーターズ生誕100年祝賀ライブ」でのサンハウスの演奏を収録。ロックを“DIG”し、ブルースに行き着いたバンドが時を同じくしてブルースのカヴァー・アルバムをリリースする。これは偶然ではなく、必然だろう。偉大なるシンクロニシティだ。”

改めてブルースはカッコいい――上記の作品たちに限ったことではないが、ロックを長く聞いていると、ルーツミュージックの“復習”(同時に“予習”)をする中で、それを再確認する機会に度々、ぶち当たる。いまに限ったことではないが、福岡発のBEAT MUSICを聞いていると、そんなルーツを辿ることになる。このところも、“穴山淳吉”との“音楽を巡る旅”で、ブルースなどのルーツミュージックのカッコよさに出くわすことになる。

同時に日本のブルース発祥は大阪や京都などから70年代に続々と登場した上田正樹&サウス・トゥ・サウス、ウエスト・ロード・ブルース・バンド、憂歌団、ソー・バッド・レビュー、ブレイクダウン……など、関西ブルースだった。勿論、それ以前にもカッコいいブルースバンドもいたが、やはり大きな脚光を浴びることになったのは、彼らの活躍があったからだろう。私自身も“夕焼け祭り”や“ブルースフェス”などで、彼らを追いかけたものだ。80年代はかの高円寺の「次郎吉」にも山岸潤史などのライブで、度々、訪れていた。90年代にブレイクダウンの近藤房之助(愛知出身)がソロデビューした際にもライブを度々、見ている。幸いなことに近藤房之助、山岸潤史、村上ポンタ秀一、佐山雅弘など、豪華メンバーによる北海道ツアーに同行する機会もあった。彼らのライブと、ライブよりも時間が長い打ち上げでのブルース大会を堪能させてもらった。


おそらく、他にもブルース再確認の機会はたくさんあったと思うが、いまのところ、これしか思い出せない。ちなみに来日組ではロバート・ジュニア・ロックウッド&エイシズ、スリーピー・ジョン・エステスとハミ-・ニクソン、オーティス・ラッシュ、ボー・ディドレー(with ロン・ウッド)、BBキング(with U2)、ロバート・クレイ(with エリック・クラプトン)などを見ていたはず。一部、記憶が曖昧(笑)。

ブルースの東京の聖地「次郎吉」への久しぶりの再訪は昨2022年12月26日(土)のリクオ、Dr.kyOn、伊東ミキオが集結。ピアノでロックンロールする3者の夢の競演「リクオ・プレゼンツ 〜 JIROKICHI HOBO CONNECTION 〜 第2夜 CRAZY PIANO NIGHT」だった。それ以後、この2月3日(金)のアカネ&トントンマクートのライブまでは足を踏み入れていないが、次郎吉のYoutubeチャンネルはチェックさせてもらっていた。そんな中で、これはと思ったのが3月22日(水)に同所で行われたライブを収録した「【最高のブルーズバンドに世界の山岸潤史】blues.the-butcher-590213 <ゲスト>山岸潤史」という“番組”だった。永井ホトケ隆 (Vo、G)、沼澤尚( Dr )、中條卓 (B)、KOTEZ (Vo、Harp)という強者揃いのblues.the-butcher-590213にゲストとして山岸潤史(G)が加わる。永井と山岸という、ウエスト・ロード・ブルース・バンドの盟友の共演など、まさに日本のブルースの歴史が凝縮されたかのようだ。同時に目を引いたのがblues.the-butcher-590213の面々が黒のスーツをお洒落に着こなし、髪などもきちんとしていて、まさにイケおじ状態(永井は70代だが、他のメンバーは50代、60代と若手!?)。えっ、この人達、こんなカッコ良かったかと驚く。

彼らのプロフィールやセットリストなどはリンク先で確認いただきたいが、まさに永井ホトケ隆率いる全日本選抜のダンディなブルース集団に、ブルースの本場、ニューオリーズで活躍するメジャーリーガー、山岸潤史が加わる。粋で鯔背な男たち(ブルースマン)の夢の共演だ。ブルースはカッコいいを改めて感じさせるライブである。無料視聴は本日、3月25日(土)23時まで。特典映像付き後売りチケットもある。絶対見るべき、ブルースのWBCやー。

 

 

 

 

【最高のブルーズバンドに世界の山岸潤史】blues.the-butcher-590213 <ゲスト>山岸潤史 - YouTube

 

2月10日(金)に放送された鮎川誠さんのドキュメンタリー『シーナ&ロケッツ 鮎川誠と家族の見た夢』の拡大版が3月17日(金)より東京「ヒューマントラストシネマ渋谷」にて開催されている『TBSドキュメンタリー映画祭』で3月19日(日)、20日(月)、22日(水)の3日間のみ東京限定上映されている。

同上映ではテレビの放送版に加え、博多の伝説のロック喫茶「ぱわぁはうす」のエピソード、博多の音楽シーンを長年支えた“ロックの図書館”とでもいうべき「ジュークレコード」の松本康さんと鮎川誠さんの交流と友情、シーナ&ロケッツ「45周年記念ライブ」(2022年11月23日新宿ロフト)の模様、鮎川誠さんの「ロック葬」の模様(2023年2月4日)など、30分以上の映像が追加されているという。

昨日、3月19日(日)は同作を制作したTBSの系列局であるRKB毎日放送の寺井到監督(福岡出身!)、鮎川さんの愛娘、長女の陽子さん、次女の純子さん、三女の知慧子さん、愛孫の唯子さんも舞挨拶に出席。鮎川さんへの深い思いとたくさんの感謝を語る。また、昨2022年のツアーにも同行したという、鮎川さんとシーナさんの遺伝子を継承する唯子さんの利発さに驚かされ、会場が沸いた。


3月19日(日)12時からの回は、その舞台挨拶から始まり、同映画が上映された。約1時間15分。内容は詳述しないが、いずれも貴重映像ばかり。同ドキュメンタリーのテレビクルーだけでなく、長年、シーナ&ロケッツを追いかけてきたクルーが撮影した映像もふんだんに使用されている。大袈裟な誇張も感動の押し売りもない、むしろ、淡々としたものかもしれない。しかし、ロックムービーというと、絵空事のサクセスストーリーや破天荒なセックス・ドラック&ロックンロールなどを題材にした、紋切り型のものが多いが、そうすればそうするほど、ロックから遠ざかる。本作はロックンロールドリームとは何かを鮎川誠さんとシーナさん、そしてその家族の生き方を通して雄弁に物語る。これは絶対に見るべき、ロックムービーである。やはり、暗い映画館の中で映像と向き合う。そして心と身体の奥底を揺さぶられる。会場が明るくなると、多くの方が涙ぐむ――そんな映像体験をして欲しい。今回は3日間のみの東京限定上映だが、もっと、多くの方が見るべき作品ではないだろうか。寺井監督は全国展開の際は、さらなる未公開映像も加えるという。同作の成長と同時に波及を期待している。まずは足を運んで、皆様にご吹聴いただきたい。



https://twitter.com/rokketduction/status/1634140628375175169

 

 


この日、舞台挨拶で5月2日(火)に東京・下北沢シャングリラで「鮎川誠 追悼ライブ <音楽葬>MAKOTO AYUKAWA FAREWELL LIVE」を開催することも発表された。鮎川を敬愛するギタリストをスペシャルゲストとして呼ぶと言う。彼への尊敬と愛情が溢れる音楽葬になること必至。見逃せない。

https://twitter.com/rokketduction/status/1637375641569095680

 

 


 

■下北沢・聖地巡礼ーーとんかつと珈琲


たまたま、偶然だが、昨日、3月19日(日)、上映館のロビーで、上映を待っていると、エレベーターから出てきた音楽関係の旧知の方に声をかけられた。シーナ&ロケッツ所縁の方でもある。その方からこの後、私も知る方と下北沢で待ち合わせして、とんかつを食べに行くので一緒に行こうと誘われたのだ。その店は、NHKの番組で見ていて、一度行ってみたいと思っていた、シーナさんが愛した下北沢のとんかつ専門店「かつ良」。ご家族で通い詰めたところだという。当然、鮎川さんも食べている。故人所縁の場所を尋ねる、聖地巡礼ではないが、何か、偶然で突然のことだが、何か、必然のようなものを感じ、下北沢へ足を向けた。茶沢通りにある同店、店自体は入ったことはなかったが、数年前にたまたま、店の前を通り、ここかと、場所だけはチェックしていた。

シーナさんはかつ煮定食が好きだったらしいが、ここはヒレかつ定食を頼む。がっつり系を受け付けなくなった身体に脂は少なく、衣も薄い。すこぶる優しい、しつらえだ。胸やけもせず、なめこ汁やおしんこなども美味しくいただける。食べた後、罪悪感ではなく、満足感が身体を駆け巡る。ヒレではなく、ロースならどう感じたかわからないが、たぶん、次もヒレになるだろう。ご馳走様でした。

 



https://www.facebook.com/sheenarokkets/posts/907646799330957:0

 

 


とんかつの後は一服(私は喫煙者ではないが、下北沢に誘っていただいた方が喫煙者)と、鮎川さん行きつけの喫茶店「トロワ・シャンブル」へ行く。同店はこのご時世には珍しく喫煙できる喫茶店である。店内にはジャズもさりげなく流れる。以前、鮎川さんの取材で、ここを指定されたことがあった。いつもの席があり、居心地がいいところだったことを覚えている。イタリアチームのようにエスプレッソと行きたかったが、ここは手堅くアイスコーヒーを選択。とんかつの後のコーヒー、なんとなく、身体に良さそうな感じがする(笑)。


https://www.facebook.com/sheenarokkets/posts/243241185822270/?locale=ja_JP

 

 

(同ページにリンクされたインタビューの中に鮎川さんが行きつけの店について語ってもいる)

同店を出て、下北沢の駅へ向かうと、何故か、奈良敏博さんに会った。下北沢ならそういうこともありえるかもしれないが、鮎川さんのドキュメンタリー映画を見た後、奈良さんに偶然、対面するなんて、出来過ぎだろう。ここは親不孝通りか――。

私にとっては久しぶりの杉真理のリアルライブになる。本来であれば昨2022年5月1日(月)に東京・六本木「ビルボードライブ東京」で行われた杉真理と伊藤銀次の共演ライブ「トライアングル・ソングス」(シークレットゲストに佐野元春!)を見る予定だったが、諸事情で見ることが出来ず、それ以来、遠ざかっていた。杉がゲスト出演した松尾清憲の「松尾清憲アルバム完全再現ライブ「BRAIN PARK」(2022年6月10日<金>東京・青山「月見ル君想フ」)や同じく杉がゲスト出演した伊藤銀次の「伊藤銀次のWINTER WONDER MEETING2022」(2022年12月25日<日>東京・吉祥寺「Star Pine’s Cafe」)などは配信で見たものの(配信といえば同じく2022年9月7日<水>に東京・渋谷「LOFT9 Shibuya」で開催された杉真理も出演した、彼の盟友、川原伸司の『ジョージ・マーティンになりたくて~プロデューサー、川原伸司 素顔の仕事録~』の出版を記念したトークイベントも見ている)、“杉真理不足”は心と身体によくない。どこか、杉真理成分を補給しなければならなかった。ましてや、昨年11月23日に杉真理デビュー45周年記念企画となる、「ウイスキーが、お好きでしょ 」( SAYURI<石川さゆり>)や「雨のリゾート」(松田聖子)、「あいつのブラウンシューズ 」(松原みき)、「素直になりたい 」(ハイ・ファイ・セット)、「Love Again」(須藤薫)、「ホールド・オン 」(竹内まりや)……など、提供曲116曲を集めた6枚組CD BOX『Mr. Melody~杉真理提供曲集~』が出たばかり。年末は6枚のCDを順繰りに聞いて、栄養不足をなだめ、すかしていた。同BOX、音を聞くだけでも楽しいが、杉の曲目解説も楽しかった。彼の脅威の記憶力に驚く。

 

 

そんな風に年末年始をやりくりしたが、本当にリアルライブを体験する機会が訪れた。すっかり報告が遅れたが、本2023年1月25日(水) に東京・渋谷「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」にて、なかの綾、野田幹子、鈴木雄大をゲストに招き、行われた杉真理のライブ「Masamichi Sugi LIVE 2023 Winter~Mr.Melodyのメロディー祭!」を見ることができた。昨2022年12月17日(土)に同じく東京・渋谷「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」にて、伊豆田洋之、松尾清憲、鈴木聖美をゲストに招き、行われた杉真理のライブ「Masamichi Sugi Live2022 Winter Mr. MelodyのHappy Holiday」の“続編”になる。

 

 

両公演ともタイトルから明らかなように6枚組CD BOX『Mr. Melody~杉真理提供曲集~』のエッセンスを抽出したダイジェストライブと言っていいだろう(いつか、シリーズ化して、同BOXの“完全再現ライブ”も見たいもの。完全再現にはゲストも曲数も多くなるので1週間以上、かかるかもしれない)。

 

 

彼の“ホームグラウンド”「SHIBUYA PLEASURE  PLEASURE」で見る、久しぶりの杉真理ライブは相変わらずの賑わいが懐かしく、かつ、嬉しくなる。デビュー45周年になるにも関わらず、この盛況ぶりは彼が長年に渡って、愛され続け、支持されていることの証である。彼を見つけ出した音楽ファンはそのことを誇るべきだろう。

 

彼を演奏で支えるのは、藤田哲也(B)、橋本哲(G)、小泉信彦(Kb)、清水淳(Dr)、高橋結子(Perc)、宮崎隆睦(Sax)という気心の知れたお馴染みのメンバー。そして前述通り、野田幹子、なかの綾、鈴木雄大がゲストとして加わる。

 

この日のライブは「クラブ・ロビーナ」から始まった。杉真理が須藤薫に提供したナンバーである。ソングライター、杉真理にとって、その曲を最高に輝かしてくれるシンガー、須藤薫との出会いは奇跡にして幸運なことではないだろうか。同曲、元々は1995年に渡辺満里奈のアルバムのために彼女からオリジナル・サヴァンナ・バンド(キッド・クレオール&ココナッツの前身バンド)のような曲をと言われ、書いたものらしい。それが回り回って、彼女の曲になる。須藤薫の2000年のマキシシングル『最後のデート~Last Rendezvous』に収録されている。同曲については6枚組CD BOX『Mr. Melody~杉真理提供曲集~』に掲載された杉のライナーノートに詳しい。同曲に限らず、この日、演奏される杉が提供曲として作ったナンバーの多くが同BOXに収録され、かつ、ライナーノートも読み応えたっぷりで解説されている。これは、買うしかないだろう(笑)。

 

続いて、杉真理のオリジナルアルバム『Wonderful Life』(1990年)に収録された「Happy Ending」を披露する。提供曲が続くかと思いきや、オリジナルである。曲調的にはマンハッタン・トランスファーを彷彿させるスウィングナンバーで、サヴァンナ・バンドからの流れもばっちり。

 

3曲目は提供曲で「We were born to run」。同曲は富山県トラックカンパニーソング(社歌!)である。「富山県トラック(株)」の50周年を記念したもので、同社社長の先輩が杉真理だったという縁らしい。 “トラック野郎”も元気が出ること、請け合いのアッパーなナンバーだ。Youtubeにもプロモーションビデオ(!?)がある。見られる方はご覧いただきたい。

 

http://xn--https-u53dvh7f6e//www.youtube.com/watch?v=8_IMNtJbJAg&t=159s

 

 

 

デビュー40周年を記念するアニバーサリーアルバム『Music Life』(2019 年)から「Your Kiss」、新曲「Human Distance」(2021年12月17日(金)、東京「SHIBUYA PLEASURE PLEASURE」で開催された「杉真理 LIVE 2021-WINTER SONG SELECTION」で披露されている。同ライブは同曲以外にも「It’s Show Time」、「アナログマン」<アナログマンの告白>など、未発表の新曲が多数、披露された)、さらに愛すべき“後輩”にして“妹分”、そして“バンドメイト”だった竹内まりやの1979年のアルバム『UNIVERSITY STREET』への提供曲をセルフカヴァーしたバラードの名曲「ホールド・オン」(杉ヴァージョンは1980年のアルバム『SONG WRITER』に収録されている)……と、おそらく杉自身も愛着のある名曲を惜しげもなく披露する。

 

 

そして、この日一人目のゲストが登場。昭和歌謡の歌姫、なかの綾が紹介される。彼女がステージに現れるだけで会場が華やぎ、いい意味での“お水”っぽい空気に満たされる。杉から提供された「スナック鯉~エピソード2」(なかのの2018年のアルバム『ダブルゲーム』に収録。シングルカットもされている)を歌う。昭和歌謡を平成歌謡に“アップデート”したもので、役者や歌手として明日を夢見る女性が働く「スナック鯉」の人間模様を描く。同曲もCD BOXに収録されている。続く、「エピソード1」はなかの綾へ杉真理が初めて提供したナンバー。なかのは「ウイスキーが、お好きでしょ」をカヴァーしているが同曲の雰囲気で昭和とお酒をテーマというリクエストで生まれている。歌詞は“ウイスキーが、お好きでしょ”の物語の前日譚(だから『STAR WARS』のように“エピソード1”としたらしい)になる。2005年になかのがシングルとしてリリースしている。同じくCD BOXに収録。3曲目はなかの綾がラテン・バンド"CENTRAL"とともにリリースしたアルバム『リバース』(2019年)に収録された「楽園のMoon Bar」(楽曲は前2曲同様、杉真理&田口俊のコンビが提供)。ラテン風味がグランドキャバレー感を醸しつつ、ガレージな音がコンテンポラリーな色合いを滲ます。何か、祭りが始まる浮遊感と期待感が会場を思い切り満たし、第一部は終わった。休憩と換気の時間となる。

 

 

15分ほどのインターバルの後、第二部が始まる。「アナログマンの告白」(新曲)、デビュー30周年を記念するアルバム『魔法の領域』(2008年)に収録された「シャローナに片想い」を畳みかける。杉真理らしさを堪能したところで、二人目のゲスト、野田幹子が登場する。シンガーソングライターとしてだけでなく、ソムリエとしても活躍する彼女がステージに現れると、やはり夜の雰囲気(ライブの開始は午後7時と既に夜だが、彼女の登場によって、夜が深まった!?)が立ち込め、ステージは六本木や赤坂、麻布などにありそうな、こ洒落たワインバーに様変わり。これまた、お水っぽさが増していく。

 

 

野田の1990年のシングル「8月の砂時計」を披露する。CD BOXにも収録。杉はフレンチポップスに地中海の雰囲気を加えて作ったという。何か、ワインバーにいるような気分になる(実際、野田は大人のためのシャンパーニュ&ワインバーを六本木で経営している)。

 


2021年2月17日にフジテレビNextにて放送された番組『しおこうじ玉井詩織×坂崎幸之助のお台場フォーク村』で初披露された「歌はどこへ行ったの」を披露する。同番組の司会を務める坂崎幸之助(THE ALFEE )と玉井詩織(ももいろクローバーZ)のフォークディオ「しおこうじ」に提供したナンバー。同番組には作曲した杉真理と、作詞した田口俊も出演。コロナ禍に光をあてる歌詞にPP&M(ピーター・ポール&マリー)やジョーン・バエズ、ディランなどを彷彿させるツーフィンガー、スリーフィンガー奏法をフィーチャーしている。さらに新曲「Are You Really Happy? 」を披露する。ゴージャスな時間と大人な空気は野田幹子ならではだが、どこか、シャンとさせるところもあるのが彼女だろう。
 

 

アダルトなムードを変えたのが三人目のゲスト、鈴木雄大だった。彼は杉の2002年のアルバム『LOVE MIX』に収録されたナンバー「世界の中心」をカヴァーする。昨2022年10月12日(水)、目黒の「ブルース・アレイ・ジャパン」で開催された「デビュ-40周年記念ライブ」(10月12日<水>、11月2日<水>、11月29日<火>の3DAYS公演。10月12日は“僕の好きな先輩 〜Love&Peace〜”というサブタイトルで杉も南佳孝とともにゲストとして出演)でも歌っている。続く「美しき緑の星」は2021年の鈴木の配信シングルで、曲を鈴木、歌詞を鈴木と杉が手掛けている。同題のフランス映画にインスパイアされているという。シングルでは杉と伊豆田洋之がコーラスとして参加している。勿論、CD BOXにも収録されている。

 

鈴木と杉。鈴木は1959年12月29日生まれの63歳、杉は1954年3月14日生まれ68歳と、実際はそんなに年齢差はないものの(5歳ならあるか?)、鈴木の若々しい声のせいか、彼が歌うと、爽やか青春ポップスの香りが漂ってくる。それに煽られ、青春ポップの巨匠たる杉の歌声もさらに爽やかさが倍増される。それまでの夜の帳が下りたはずが、一転、目の前に青空が広がる。杉の代表曲「いとしのテラ」では空から宇宙へと景色が変わる。そして、ネオンではない、星の輝きが増していく。そして大谷翔平の応援歌「It's Show Time」では、きっと彼は“WBC”でもやってくれる、そんな確信を抱かす勢いがある。まるで彼がバックスクリーンへホームランをぶち込んだかのような“快挙”にマスク越しの歓声が上がる。杉の“ホームグラウンド”は、この日も大盛況だ。

 

同曲を終えると、観客の大きな拍手とマスク越しの歓声に見送られ、メンバーはステージの袖に消えて行く。何か、心の檻を溶かし、胸のすくような瞬間である。アンコールの“声”にメンバーがステージに帰って来る。

 

ゲストも加わり、杉がハイ・ファイ・セットに提供した「素直になりたい 」を披露する。勿論、CD BOXに収録されている。続いて、BOXの「ブルーベリーヒルへ帰ろう」(CD BOXには「Temptation Girl」が収録されている)、そして杉の2014年にリリースされた、彼の還暦を祝うため、須藤薫、松尾清憲、伊藤銀次、EPO、安部恭弘、根本要らが集結したアルバム『THIS IS POP』に収録されている「ミュージシャン行進曲」が披露される。当然の如く、会場は大盛り上がり。封印されていた(!?)クラッカーやプラカードも解禁。まるで祭り状態である。興奮の坩堝だ。

 

1回目(!?)のアンコールが終わると、メンバーはステージから消える。拍手と歓声の中、杉とメンバーが登場。杉は”温まるような曲をやります”と告げ、1992年にシングルとしてリリースした「Best of my love」を披露する。そしてゲストも加わり、堂島孝平と共作した「Good News」を畳みかける。“うれしい知らせ 今夜 届けにきたんだ”と歌われるが、まさにうれしい知らせが届く――そんな多幸感に会場は包まれる。

 

 

同曲で、この日のライブは終わる。名残惜しさもあるが、この日、視界が広がり、新しい扉が開かれる。“Mr.Melodey”の元に、また、仲間が集まり、新しいことが始まる。ゲストが入れ替わり、バラエティー豊かな曲が披露される。ステージに人が溢れる様は、まるでコロナ禍以前は杉が年始の恒例行事として開催してきた“杉まつり”を思い出す。

 

この日、6枚組CD BOX『Mr. Melody~杉真理提供曲集~』に収録されたナンバーから多数、披露されたが、同BOXとともにソロ作品でも杉が仲間達とコラボレーションしたアニバーサリーなアルバム群(『THIS IS POP』や『魔法の領域』、『Music Life』など)からピックアップしたナンバーも多数、披露されている。『魔法の領域』では杉の音楽活動の原点、レッドストライプスの名義が復活している。何か、仲間達と何かを作る、共同作業――そんなことを改めて意識しているかのようだ。

 

また、この日、披露された曲たちは提供曲、オリジナルを問わず、多種多様、種々雑多(失礼!)、ラテン風もあれば、ビートルズ風もある。ジャズ風もあれば、昭和歌謡風もある。ソングライター、杉真理の面目躍如だろう。しかし、千変万化しつつもそこには杉真理らしさが滲み出る。しっかりと、杉真理印の刻印がされているのだ。改めて、杉真理という稀有の作家としての実力と才能を再確認すべきだろう。

 

いまのところの“Good News”は来月、4月22日(土) に東京「かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホール」で開催される「杉 真理 LIVE 2023 "STARGAZER”発売40周年記念 全曲再現ライブ “SHOW GOES ON”」ではないだろうか。彼のオリジナルをたんまり聞けそうだ。

 

また、5月には昨年デビュー45周年を迎えた杉真理がその半生を振り返る初の自伝!『魔法を信じるかい 杉真理自伝(仮)』(構成:佐々木美夏)がDU BOOKSから発売されるという。マニアックな書籍の出版で知られるDU BOOKSと誠実な仕事で知られるライター、佐々木美夏が組んだ自伝、いまから楽しみでならない。

 

今年の年末には2024年1月の“杉まつり”の再開なんていう、うれしい知らせが入ってくることを祈る。いずれにしろ、今年は楽しいことの目白押しになりそうだ。そろそろ、“想定外”や“未曾有”のことなんて、なしにしてもらいたいもの。私たちは杉真理の“魔法”を信じている。

 

 

https://amass.jp/164909/

 

 

 

 

杉 真理 LIVE 2023 "STARGAZER”発売40周年記念 全曲再現ライブ “SHOW GOES ON”

2023年4月22日(土) 開演17:00

東京「かつしかシンフォニーヒルズ・モーツァルトホール」

http://www.masamichi-sugi.net/news/live.html

 

 

 

 

 

 

 

杉真理 LIVE 2023 Winter~Mr.Melodyのメロディー祭!

2023年1月25日(水) 渋谷PLEASURE PLEASURE OPEN 18:15 START  19:00

 

 

<第一部>

01.クラブ・ロビーナ

02.Happy Ending

03.We were born to run

04.Your Kiss

05.Human Distance

06.Hold On

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ゲストコーナー なかの綾

07.スナック鯉~エピソード2

08.エピソード1

09.楽園のMoon Bar

 

休憩・換気タイム

 

<第二部>

10.アナログマンの告白

11.シャローナに片想い

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ゲストコーナー 野田幹子

12.8月の砂時計

13.歌はどこへ行ったの

14.Are You Really Happy? (新曲)

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ゲストコーナー 鈴木雄大

15.世界の中心

16.美しき緑の星

17.いとしのテラ

18.It's Show Time

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EN1

01.素直になりたい      with all Guest

02.ブルーベリーヒルへ帰ろう ''

03.ミュージシャン行進曲   ''

 

EN2

04.Best of my love

05.Good News        with all Guest