Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

2023年7月7日にPANTAが星になって、3年が経つ。もう3年なのか、まだ、3年なのか、わからないが、いまだに喪失感はなくならない。こんな時代に彼がいればどんな言葉を発し、どんな音を紡ぐか、つい考えてしまう。

今年も7月7日(火)に“七夕忌” が行われた。今年から会場は東京「渋谷ラママ(La.mama)になった。“催事”の正式名称は『PANTA四回忌追善公演「七夕忌」』になる。会場は立錐の余地もない、満員御礼状態。会場が狭すぎたかもしれないが、やはり、この日はこの場所に誰もが駆けつけたかったのだろう。会場の入り口には渡辺えりの花も出ていた。出演者は今年も彼に縁あるものが揃い、思いと愛しさと悼みの籠った“熱演”が繰り広げられる。そこには、3年の間に生まれ、育ったものもお披露目される。PANTAは不在ながらその仲間が彼の思いを引き継ぎ、2026年に新たに届けられたものがたくさんあった。

 

 

この日、最初に演奏をしたアップアップガールズ(2)の鍛治島彩はPANTAに導かれ、ロックバンド「KAJI ROCK」を結成している。アイドルからロッカーとして生きようと覚悟する。彼によって、鍛冶島はいい意味で人生を180度(か、わからないが、90度以上だろう。とりあせず360度ではない!)変えられた。PANTAのメッセージやアティテュードは人に多大な影響を及ぼす。

 

 

新生・頭脳警察をPANTAとともに立ち上げ、彼の晩年を支えたプロデューサーの田原章雄が司会・進行を務め、彼は作家の伊東潤を呼び出した。伊東はPANTAに「氷川丸の小説を書いてほしい」という要請を受け、『海峡の女神』を書きあげている。PANTAの母親は病院船「氷川丸」にペナン島から看護師として乗船している。この8月19日に光文社から新刊として刊行されるという。

 

 

▲トーキョーキラー

 

次のトーキョーキラーはPANTAの地元・所沢の「MOJO」や「渋谷ラママ」でも度々、共演、彼の秘蔵っ子とでもいうべきギタリスト、kemeが率いるロックバンドである。PANTAや頭脳警察のロックンロールを新しい世代に引き継ぐ。鮮烈で切れ味するどい音の塊は懐古や郷愁ではなく、いまという時代をしっかりと照射する。

 

 

▲PANTAから仲野茂に贈られた

ヘルメット

 

▲仲野茂バンド

 

 

仲野茂バンドはPANTAが仲野のために歌詞を書下ろし、それをレコーディングしたアルバム『に』に収録された「穴の空きまくりアナーキー」、「太陽」、「泣くんじゃねえ」を畳みかける。ステージには仲野茂がPANTAから形見分けとして生前に貰ったバイクのヘルメットが飾ってある。その風景をバックに歌詞にカワサキやスズキなどがある「穴の開きまくりアナーキー」が歌われる。同曲は仲野に当て書きしたもので、その歌詞を貰った時、仲野は“穴の開きまくりアナーキーだから、俺が曲をつけるしかないじゃん”と語っている。仲野茂を始め、下山淳、岡本雅彦、梶浦雅弘、竹内理恵はPANTAへの思いを込め、それを1枚のアルバム『に』を結実させ、それを彼へ捧げた。彼らはPANTAの新しい歌を私達に届けてくれるのだ。ちなみにこの日、下山のギターストラップが切れてしまうというハプニングがあったが、仲野は“PANTAが来ている。いたずらをしたんだよ”と嬉しそうに話す。

 

▲アキマツネオ

 

ステージにはPANTAの盟友というべき、アキマツネオが頭脳警察を率いて登場する。“コンサートの最後にやりそうな曲を選んでしまった”と、自嘲気味に話し、「万物流転」、「オリオン頌歌第2章」を披露する。この時にもハプニングが起きる。アキマ自身、何度もそれらの曲を歌っているはずだが、途中で歌詞につまり、歌えなくなる。譜面が途中から入れ子になって、順番が狂ってしまったようだ。アキマも“PANTAのいたずらだと”叫ぶ。「万物流転」は最初から歌い直し、2度目の披露になるが、観客にとっては嬉しいハプニングだろう。

 

▲うじきつよし

 

アキマに続き、うじきつよしが登場する。いままさに聞くべき、日本の生命線であるオイルロード「マラッカ」を歌った同曲をPANTAへの思いに、エロティシズムとプロテストをぶち込み、観客に放つ。会場の熱が一際、高くなるのを感じる。うじきはバンド活動だけでなく、ユイットやソロで全国をツアーして回っているが、その際、PANTAの歌を歌っているという。それを聞いて、喜んでいる人がたくさんいることを報告する。観客も嬉しそうに頷き、歓声と拍手を送る。うじきは一人ではない、たくさんの人達が彼のメッセージを受け取っている。きっと、それを歌う度に実感しているはず。だから全国を回れる。

 

 

▲(写真左端)宮地大介

 

 

PANTAは2022年10月に上演された深作組(深作健太)の『オルレアンの少女-ジャンヌ・ダルク-』大阪公演に出演しているが、そのPANTAの最後の舞台で共演した宮地大介が詩を朗読する。同朗読は「アメリカよ〜時代はサーカスの象にのって」というメドレーにして届けられる。

 

 

「時代はサーカスの象にのって」は1969年、渋谷・並木橋にオープンした「天井桟敷館」のこけら落としとして地下小劇場で上演された寺山修司の戯曲で、ベトナム戦争の時代を背景に8つのストーリーが展開され、アメリカへの憧憬と反発などが描かれる。

 

2002年、高取英の月蝕歌劇団による『時代はサーカスの象にのって』のミュージカル化にあたり、PANTAが「時代はサーカスの象にのって」の作曲を担当した(作詞は寺山修司と高取英)。その後、2008年に頭脳警察のシングル「時代はサーカスの象にのって」としてリリースされ、2013年のアルバム『暗転』にも収録された。

 

煽情的な宮地の朗読の後、うじきが「時代はサーカスの象にのって」を歌い繋ぐ。寺山など、演劇空間との融合、これも頭脳警察ならではだろう。PANTAは宮地との共演舞台で、「さようなら世界夫人よ」を歌っている。

 

▲頭脳警察

 

うじきに続き、TOSHIを始め、澤竜二、宮田岳、樋口素之助、竹内理恵、おおくぼけいという頭脳警察のメンバーが改めてステージに登場する。彼らはPANTAのヴァーカルパートをメンバーで振り分け、各々、その歌声を聞かせる。そこにPANTAの歌はないが、「銃をとれ」や「ふざけるんじゃねえよ」など、希代の名曲が新しい佇まいで披露される。

「ハイエナ」は1973年に発売された頭脳警察の5枚目のオリジナル・アルバム『仮面劇のヒーローを告訴しろ』に収録された名曲で、近年では和製レアグルーヴとして再評価が著しい楽曲だが、同曲をJagatara2020のメンバーでもある宮田岳によってトライバルでファンキーな意匠が施される。このメンバーでなければできないファンクネスを醸し、新たな光と輝きを放つ。最後はPANTAのファーストアルバム『PANTAX’S WORLD』(1976年)に収録された希代の名曲「マーラーズ・パーラー」を新生・頭脳警察が自分達の十八番として高らかに歌い、この日の演奏を締める。

 

▲PANTA WITH 頭脳警察

 

メンバーはステージから消えるが、アンコールを求める拍手と歓声はやまず、それにこたえる形でメンバーがステージに上がる。ステージのスクリーンにはPANTAの歌う姿が映し出される。メンバーはその歌に演奏を付ける。頭脳警察のメンバーの勢揃いだ。「絶景かな」がPANTAの歌に合わせ、合奏される。PANTAとの再会に会場が沸き立つと同時にこれまでこらえていた人達の頬に涙がこぼれる。この日、この場にいる、メンバーやゲストミュージシャン、スタッフ、オーディエンスなど……立場や環境、歴史は違えど、その思いは同じ。それぞれの人達の涙腺の決壊である。まさにPANTAが見せてくれた“絶景”だろう。

 

 

PANTA不在で頭脳警察の歌が歌われることにいろいろ毀誉褒貶があるらしい。田原は、それらの雑音を振り払うように“TOSHIがいる限り、俺達は頭脳警察だ”と叫ぶ。生前、PANTAが言った言葉が駆け巡る。「歌は死なない」と、かつて、言っている。この日、私達はその歌が歌い継がれ、同時に新しい力によって、芽吹き、成長をしていることを目の当たりにする。彼の言葉に間違いはない。また、来年、2027年7月7日に集まろう。PANTAが待っている。

なお、PANTAの四回忌、七夕忌公演は渋谷ラママにて18時開演。平日開催でご来場いただけない全国のファンの皆様に今回は配信をしている。

 

 

https://premier.twitcasting.tv/c:shibuya.../shopcart/438169

 

 

 

 

是非ご覧いただきたい。

 

 

https://x.com/pantazkofficial/status/2075252017036185856

 

 

 

 

 

 

 

 

『PANTA四回忌追善公演「七夕忌」』2026年7月7日(月)東京「渋谷La.mama」セットリスト

 

●KAJIROCK

恋したキョンシー君に夢中

カンフーUFO

幸運序曲

 

●トーキョーキラー

サーフスナイパー

マウント

真夜中のマリア

ハヤブサ

 

●仲野茂バンド

穴の空きまくりアナーキー

太陽

泣くんじゃねえ

 

●アキマツネオ

万物流転

オリオン頌歌第2章

 

●うじきつよし

マラッカ

アメリカよ〜時代はサーカスの象にのって

 

●頭脳警察

銃をとれ

ふざけるんじゃねえよ

風の旅団

ハイエナ

光輝く少女よ

マーラーズパーラー

 

EC

PANTA映像

 

絶景かな

▲(写真左から)和久井光司、稀月真皓、根本久子、川原伸司、平松加奈、

小川美潮、spicy-marico、窪田晴男

 

 

別に1980年代に戻り、懐かしい気分に浸りたいわけではないが、このところの“ストリート・キングダム祭り”か、“80年代の音楽”の“現在”を目の当たりにする機会が増えた。音楽以外でもドラマや映画なども80年代を売りにするものが多くなった気がする。懐古と郷愁を主題にするには、丁度いい時代なのかもしれない。三谷幸喜は昨2025年10月1日(水)から自らの脚本、主演は菅田将暉、共演は二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波という豪華布陣で新・水10ドラマ『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系)を作っている。同作は1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇で、三谷の半自伝的要素を含む完全オリジナルストーリー。バブル前夜の渋谷を舞台に野心に燃えた演劇人が群雄割拠する。同時代の渋谷百軒店商店街を完全再現したオープンセットも話題になった。

 

 

また、2026年1月14日から3月25日まで同じくフジテレビ系「水曜10時枠の連続ドラマ」枠で放送された『ラムネモンキー』(主演は反町隆史、大森南朋、津田健次郎)は2026年を舞台にした現代劇にも関わらず、実年齢51歳の主人公3人の中学生時代(1988年8月21日 - 1989年3月24日)がしきりに描かれ、物語の鍵になっている。主人公の3人は神奈川県丹辺市立丹辺中学校の映画研究部仲間で、カンフー映画『ラムネモンキー 炭酸拳』を制作していた。ユン(反町)、チェン(大森)、キンポ―(津田)の3人のニックネームはユン・ピョウ、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポーが由来で、映画作中の役名でもある。また、ヒロインの丹辺中学校の臨時教員・映画研究部の顧問のニックネームの「マチルダ」は『機動戦士ガンダム』のマチルダ・アジャンが由来になっている。カンフー映画(ブルース・リーの『燃えよドラゴン』の公開は1973年だった)や『機動戦士ガンダム』(最初のテレビ放送は1979年4月7日 - 1980年1月26日。映画公開は1981年3月14日)、『未知との遭遇』(スティーヴン・スピルバーグ監督作品。1977年11月16日米国公開。日本での公開は1978年2月25日)、レンタルビデオショップ、レトロ珈琲店、マイケル・ジャクソン東京ドーム公演……など、80年代を喚起するものが随所に溢れる。

 

 

上記の2作品、我慢(!?)して見続けたが、正直、ピンと来るものはなかった。ところどころは楽しめたが、連続ドラマとして見ていると、じれったかった。あまり懐古や郷愁に興味がないからかもしれないが、時代を超え、現代の作品や催事として発表する――おそらく、そんな矜持はあったはずだが、私の心や身体を振るわせることはなかった。残念である。特に『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』の舞台の渋谷はかつて私が通っていた会社が道玄坂を登った大坂上や246沿いの桜が丘町にあったため、通い慣れたところでもあった。『ラムネモンキー』は主演3人に大森南朋(井出靖のミリオンで見たが、格好良かった。それ以前に私は彼のNHK初主演作『ハゲタカ』を愛している)、そして脚本は古沢良太だった。ドラマ『相棒』シリーズや映画『探偵はBARにいる』シリーズを手掛けていただけに期待していたが、ちゃんとお付き合いできず、申し訳ない。この12月に公開される「探偵はBARにいる」シリーズ最新作『BYE BYE LOVE 探偵はBARにいる』に期待している。

 

▲(写真左から)平松加奈、小川美潮

 

と、長々と前振りをしてしまったが、和久井光司がこのところ、仕掛けるシリーズイベントは再発見がありつつ、刺激的な風景を見せてくれる。温故知新だけではなく、温故革新する。そこには更新、変革した新しい体験があったのだ。

 

多分、同シリーズ初体験は昨2025年11月1日(土)、原宿クロコダイル(定期開催場所!)で行われた東京暮色(和久井光司・窪田晴男・根本久子・spicy-marico・平松加奈)が、小川美潮(exチャクラ)と、川原伸司(ビクターでチャクラのA&Rを担当)をゲストに迎えるスペシャル・ショウだった。和久井は同イベントを“東京ニュー・ウェイヴ45周年を祝す一夜限りのメニュー”と紹介している。和久井は1958年10月2日、東京・渋谷で生まれ、横浜で育つ。1980年にスクリーンを結成。スクリーンは翌1981年、自身のレーベル、スマート・ルッキンからアルバム『ペルソナ/仮面』でデビューしている。1980、81年を起点に45周年とは素晴らしい思い付きだ。“東京ロッカーズ”を端緒に始まり、活性化した東京のニュー・ウェイヴ・ムーブメントも45年か、と、改めて思う。それが再び、徐々にだが、脚光を浴びる。勿論、”ストリート・キングダム祭り”も関係あるが、和久井はちゃんと先んじている。流石、和久井光司である。

 

 

チャクラを初めて聞いた時、奇想天外で驚天動地、その珍妙な音に驚いたものだが、逆説的な言い方になるが、ちょっと、パンクやニュー・ウェイブの枠を外し、日本の大衆音楽史という観点から遠目にみると、違和感がないかもしれない。むしろ、そんな姿勢がニュー・ウェイヴ的と言えるだろう。多分、彼らのデビューアルバム『CHAKRA』(1980年に日本ビクターから発売)は川原伸司から貰ったはずだ。

 

 

川原は杉真理や竹内まりやを見つけ出し、後に井上陽水の「少年時代」や松田聖子の「瑠璃色の地球」の作者と知られる平井夏美と同一人物である。彼が杉真理のレッドストライプスを手掛けていた当時は同一人物とは知らなかった。実は1983年に『MUSIC STEADY』で杉真理の“徹底研究”をやった時、杉真理&レッド・ストラプスのアルバムにソングライターとして参加していた平井夏美を電話取材している。その連絡先を聞いたのが川原で、彼から平井は電話での取材しか、うけつけないと言われた。私は同一人物とは気づかず、川原に電話して彼に平井のことを聞いていた。いまならおまぬけな話だ(笑)。

 

 

チャクラはナベプロ出身だが、いわゆる芸能セクションではなく、ノンストップという音楽セクションに所属していた。ナベプロが関わる芸能番組に出演しつつ、自由奔放にその音楽を紡いでいた。同時代は過渡期でもあったのだ。いわゆる頑なパンク精神に囚われず、自由気まま、好きなことをやる、なんでもありであった。小川美潮、板倉文、近藤達郎という音楽自由人がいたからなし得たことではないだろうか。勿論、そこには福岡智彦や藤井和貴という、後にイベント“サイケデリック物理学”を開催した会社内自由人の暗躍も見逃せない。福岡は1986年にエピックからリリースされたコンピレーションアルバム『別天地』を制作している。日本のニュー・ウェイヴ史に残る名盤だろう。当時新進気鋭だった5人のアーティスト達――板倉文(キリング・タイム)、小西康陽(ピチカート・ファイヴ、ヤング・オデオン)、重藤功(デイト・オブ・バース)、バナナ(EP-4、UPLM)、そして和久井光司(スクリーン)による録り下ろし音源を2曲ずつ収録。太田裕美、中西俊夫、福岡ユタカなどがゲスト参加している。

 

 

当日も同アルバムの話が出ていたが、この日の白眉はやはりチャクラの「福の種」だろう。和久井はライブの数日前にFBに同曲をアップして“45年前のチャクラである。衝撃だった。日本で欧米の真似ではない“ニュー・ウェイヴ”をやることの意味を、こんなに明確に示した曲はこれ以前にも以後にもない。翌年スクリーンでデビューする私も、ビブラトーンズでデビューする窪田晴男も、板倉文と小川美潮は凄いと思ったのだ、まったく別のところで。”と書いている。

改めて「福の種」の破壊力を知ることになる。同イベントを契機に川原や小川は和久井のライブの常連となり、スペシャルゲストとして度々、飛び入りしている。和久井のイベント以外にもあちらこちらでチャクラの種まきの成果にぶち当たることになる。そのことについては別のエントリーで近々、紹介するつもり。暫く、お待ちいただきたい。

 

https://www.facebook.com/koji.wakui.5/posts/pfbid0L8pk7SQtHab7DNBLsNhQQzFRJvhGkQSVg1JycqszwJoxTi8CkufwZwmbZc7Vcgnvl?__cft__[0]=AZa5TsIgVnVYKpG22Eseo1cdZHUKkMetF5wsNG7npsmLbrGTyGPJrogN8nngB34oJuBiwCudJXnrqBc1GFTh4Wnh9EsQuWYahu7l1Lp-CpfMO_XVSsdXXovUNjH8-y290y9pvboRfGy3BfopmnEqbZCJxbj7EC75HYVmF7sEMJhIRQ9uK94rmGNUlAA_YRYMmDc&__tn__=%2CO%2CP-R

 

 

 

 

和久井の東京ニュー・ウェイヴを巡るイベントは続く。2025年12月26日(金)原宿「 クロコダイル」で東京暮色(和久井光司・窪田晴男・根本久子・spicy-marico・平松加奈) with 川原伸司の「歳末大売り出し」は、ゲストに金津ヒロシ(プラチナ・キット/ポータプル・ロック)、オープニング・アクトに詩人の稀月真皓という布陣である。金津ヒロシは、東京ニュー・ウェイヴ界隈では知る人ぞ知るミュージシャンではないだろうか。私自身、彼メインのライブを見た記憶はないが、赤城忠治や久保田慎吾、手塚眞(金津は”星くず兄弟”にもスターダストブラザーズのマネージャー役で出演!)、野宮真貴などのイベントでは必ず見かける。随分前だが、手塚の“星くず兄弟”のイベントで見た赤城忠治と金津ヒロシの絡みは絶品だった。和久井は“東京ニュー・ウェイヴ界きってのオシャレな色男 である”と断言する。そんな男をさり気なく推すところが和久井ならではだろう。

 

 

https://www.facebook.com/koji.wakui.5/posts/pfbid0qBAsfx3rh9XWzmcwu7GjmE8Ffce3d5c3gn4W45HL9oXyo1T4BdUMTJwhnZn7ptYml?__cft__[0]=AZbci5U4LdIYO03_U5WATh8JMae8rtvkv_dd0fOTkhYK8Ru-ENlF0d0Jppb89BxV4MFJBAasDOSjtLrfetn6Vt3s_EsW37jheLMA8E33hHU2yiZsG-IrFVFWkT1G6-Pn3kP3emUgqsE9UhCtgAnsADlRh8oaZcKACMMVEgUHzC9XpzXaMpykYbhAXQ8hPuQOwTw&__tn__=%2CO%2CP-R

 

 

 

▲(写真左から)和久井光司、さいとういんこ、平松加奈、

一色進、spicy-marico、窪田晴男

 

▲(写真左から)和久井光司、根本久子、平松加奈、

さいとういんこ、spicy-marico、窪田晴男(写真中央)

一色進

 

 

 

今年の4月1日(水)は“エイプリフール(4月バカ)”に相応しい、東京ニュー・ウェイヴ界の“ジョーカー”を、お馴染み、原宿「 クロコダイル」に呼んでくれた。東京暮色(和久井光司・窪田晴男・根本久子・spicy-marico・平松加奈) がお届けする「Tokyo April Fool 2026」は、それに最も相応しいゲストとして、一色進(シネマ、タイツ、ジャック達、13<ワンサン> ほか)を迎えて、笑いとペーソスが効いた唯一無二のロック・ショウになると宣言。その言葉には嘘はなく、切れのいい演奏とダルな歌声を難解な歌詞と難度高めの曲に乗せ、披露する。和久井や窪田は一色の曲は難しいと嘆くというか、文句を言いつつ、知恵の輪やジグソーパズルを解くように挑んでみせる。この辺はパンクの思い込みや勢いだけでは成立しない、確かな演奏技術と高度な音楽理論、ニュー・ウェイヴ以降のテクノロジーの変化にも対応してみせる。和久井は一色のことを“我々の師匠。生きてるうちにライブをいっぱいやろう”と語った。

 

 

一色はウォッカコリンズの「Automatic Pilot」を歌い、タイツのアルバム『スラッピィ・スティッキー』(1997年)から「モンキー・ロリータ」、『ハード・ボイルド・アルバム』(1994年)から「君の中のヘヴン」、『ラジオ・デリカテッセン』(1988年)から「棘 (A Song For U.W.F.)」、『ゲット・カルト』(1992年)から「僕はここにいるよ」など、タイツの80年代、90年代の名曲を披露する。

 

この日は何故か、元タンゴ・ヨーロッパの斉藤美和子(現・詩人のさいとういんこ)も飛び入り出演。彼女は東京暮色で「金曜日の天使」(近田春夫&ビブラトーンズ)、暮色+一色のアンコールでタイツの「ハロウィン」(『ラジオ・デリカテッセン』収録)を歌った。

 

 

こんな飛び入りがあるのも和久井光司らしい。飛び入りといいつつも単なる顔見世興行ではなく、ちゃんと、それぞれがそこにいることに意味がある。和久井や一色の人を惹きつける力を再確認。引力魔人か。牛に惹かれて原宿詣ではやめられない。

 

 

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▲(写真左から)藤原マヒト、和久井光司、平松加奈、ちわきまゆみ、根本久子、

spicy-marico、窪田晴男、なお、写真には写っていないが、後ろには根本の代わりに

伴慶充がサポートとしてドラムを叩いている

▲上記写真の後方に伴慶充の姿が確認できる!

 

そして、先月、2026年6月17日(水) 原宿「クロコダイル」でちわきまゆみを迎えて東京暮色(和久井光司・窪田晴男・根本久子・spicy-marico・平松加奈) がお届けする「from GLAM to NEW WAVE」が行われた。ちわきは大学在学中にバンド活動を始め、テクノポップ・バンド「MENU」のヴォーカリストを経て、1985年にファースト・ソロ・シングル「Good Morning I Love You」をリリースしている。2025年10月15日には、東芝EMI在籍時代にリリースされた全カタログがデジタル配信された。昨年がソロ・デビュー40周年になる。2025年10月19日、西麻布「RED SHOES」でソロ・デビュー40周年アニバーサリー・ライヴ」を開催。

 

本2026年にはちわきまゆみ自身の誕生日、2月2日に丸の内「コットンクラブ」で「Solo Debut 40th Anniversary & Birthday Live」を開催。バンド・メンバーには、Der ZibetのHIKARU(吉田光)とMAHITO(藤原マヒト)、TOSHI NAGAI、ドクロズのおやびんを迎えた強力なラインナップが集結。同時にゲストに岡野ハジメ(B)、DIE (Kb)(B)、釘屋玄<暴動クラブ)>(Vo)らが駆けつけた(2月14日<土>には大坂なんば「Yogibo HOLY MOUNTAIN」で同ライブの大阪公演を開催)。

 

 

さらに4月22日にはちわきまゆみのアルバム『Remix-Remodel』(ユニバーサル)がリリースされた。同アルバムはオリジナル音源をベースにリミックス&リモデルした作品で、「A-Girl -Teenage Unfiltered MIX-」を吉田 仁 (Salon Music)、「Pistol Song -type 2026- 」を今井寿(BUCK∞TICK)、「Aurora Girl -Ring Ding to the sky Remix–」を 小林祐介(The Novembers)、「月をながめて-HT.YT mix- 」を高野 寛、「Angel Blue -Teenage Dreams Mix-」を上田剛士(AA=)、「遊星少女フィオラ -暴動REMODEL-」を暴動クラブ、「CiNEMACHiNEBULA -UKG REMIX-」を星野英彦(BUCK∞TICK)、「禁じられた唇 -Hard Candy Mix- 」を片寄明人(GREAT3)、「Little Susie -SpectraLayers MIX-」を吉田 仁 (Salon Music)、「あなたなくなる-NATION IS NOTHING remix-」をアーバンギャルド、「Good Morning I Love You -Good Night MIx-」をYuki Saito(髭)、「Good Morning I Love You -Remix Côte d’Azur-」を Nel Gabrielなど、錚々たる面々がリミックス&リモデルに挑み、2026年の作品としてアップデートしている。

 

 

ちわきまゆみに関しては周年ということもあり、様々なイベントやリリースが目白押しで、やりつくされた感もあるが、同じことなどをしないところが和久井らしいだろう。

 

この日は東京暮色から始まり、オープニングナンバーはデビッド・ボウイの「Rebel Rebel」が演奏される。オリジナル忠実というより、暮色らしい色合いを添え、「from GLAM to NEW WAVE」というテーマらしい捻りを加える。

 

ちわきはデルジベットなどの活動で知られる藤原マヒトを率いて登場。ちわきまゆみ・藤原マヒト・東京暮色で「from GLAM to NEW WAVE」な音を聞かせる……前に和久井とちわきのトークセッションで盛り上がる。二人は同郷。東京・渋谷生まれである。局地的な話で盛り上がりつつ、ちわきの元祖ビジュアル系、グラムな追っかけ時代の意外な話をしてくれる。地は血より、濃しか。元祖・推し活の好奇心がミュージシャンとしてだけでなく、現在はMCやDJ、パーソナリティーとして躍動する彼女の下地になったのではないだろうか。

 

 

彼らは話が一通り盛り上がったところで竹中仁美(作詞)、吉田仁(作曲)というサロンミュージックの二人が手掛けた「Marble Eyes」(1985年リリースのミニアルバム『Jewels 』収録)、「 Diamond Is My Best Friend 」(同じく1985年リリースのミニアルバム『Jewels 』収録。作詞:中森明夫、作曲:白浜久、ちわきまゆみ)、「Rock ’n’ Roll Love Letter」(1986年リリースのシングル「よごれたいのに」のカップリング曲。ティム・ムーアのオリジナルでベイ・シティ・ローラーズがカヴァーし、大ヒットしている) などを披露している。『Remix-Remodel』とは被りなし。コットンクラブなどのライブでは暴動クラブの釘屋玄(Vo)をゲストに「Rock ’n’ Roll Love Letter」を歌っている。

 

 

実は和久井とちわきは過去にテレビなどでの共演経験はあるものの、ライブを一緒にするのは初めてだという。地元は同じながら意外に近そうで、遠い存在だったのだ。そんな初対面、下手は打てない。和久井と窪田は岡野ハジメのアレンジがすごく、ちわきの曲のスピードやテンポが速いことを嘆く(!?)。BPMが早すぎ、ミディアム、スローが多い暮色とは真逆で、演奏していると腕が痛くなり、息が上がるという。それでも“人力”でちわきまゆみの新世界を更新してみせる。流石、長年、一線で活躍してきた強者だけのことはある。機械に頼らずの人力ニュー・ウェイヴの可能性を見せてくれた。この日はアンコールの全員集合でボウイの「スターマン」も披露された。最初と最後の選曲、ちわきへの敬意と愛情を感じる。

 

ちなみにこの日は東京暮色のドラムスである根本久子の最後のステージになる。最後の最後、東京暮色の「街角でコヨーテを聴いた」では普段、後ろに下がり、撮影してもあまり写らない位置にいる彼女をフロントにそえて、そのドラムスをスースー&バンチョーズ (鈴木亜紀/和久井光司/菊池琢己/伴 慶充)の伴慶充がサポートした。そんな配慮は出来るバンドリーダー、和久井光司らしい采配だ。既に後任は密かに決めているらしいが、これからも根本は飛び入りしてくれるかもしれないという。細野晴臣はバンドを解散させるのが趣味と、かつて言っていたが、バンドを作り、育てるのが和久井の趣味かもしれない。“東京ニュー・ウェイヴ45周年”、これからも継続していく予定らしい。和久井光司のFacebookや原宿クロコダイルのスケジュールをチェックして欲しい。郷愁や懐古に頼らない、いま、聞くべき、見るべきものを体験させてくれるはずだ。

 

 

https://www.facebook.com/koji.wakui.5/posts/pfbid07MceTAfbHPUAji5VYoLQqwxDejFDXfwvM6Xqq88afvFfe7kcW6KXLiKd56z1gTMLl?__cft__[0]=AZbFmKH-EmrGx_VZYpN7yxZCMPM6S_Z2JXznRXSk41YBGQUKWCtVE2YzX_zoyhp-Q2HBcvUXFYcLmZrgpMamV6DXrYocxf9q3v_neb1cpf6qJ1e2w2ToazVHZK7ArwK2Z_2g46iuFVFw2HbPmRv_NpbwnC9U-jFahe5NPVqv6pWjag&__tn__=%2CO%2CP-R

 

 

 

 

当日の告知になって、申し訳ないが、今夜、6月12日(金)、東京「渋谷La.mama(ラママ)」で開催される「SOUND STREET LIVE VOL.7」に出演するシンガーソングライターを見ておいて欲しい。それは新谷隼平というシンガーソングライター。おそらく、知らない方も多いと思うので、彼のプロフィールをオフィシャルウェブから引用しておく。

 

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「平成元年(1989年)5月7日生まれ 青森県五所川原市出身

シンガーソングライター 現役書店員

2014年、1st mini album「孤独を愛するうたうたい。」でインディーズデビュー。

2016年〜2021年、地元青森県五所川原市の無料音楽フェス「やってまれフェスティバル」を主催。

コロナ禍を経て、応援してくれるファン一人一人の大切さに改めて気付き、路上ライブからリスタート。泥くさく、新谷らしく。

2025年2月、シングル「夏帆」を全国リリース。オリコンメジャーチャート40位を記録。

2025年6月 9月 1978年~1987年にNHK-FMで放送された伝説のラジオ番組「サウンドストリート」の令和版「SOUND STREET LIVE」に出演。森重樹一(ZIGGY)、ダイアモンド☆ユカイ等と共演。

 

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彼のHPは以下になるので、詳しいプロフィールを知りたければ参照いただきたい。

 

https://www.arayajunpei.com/

 

 

彼のライブを先日、4月23日(火)に渋谷ラママ(渋谷La.mama)で見た。新進気鋭のシンガーソングライター、新谷隼平と伝説のシンガーソングライター、友川カズキとの共演である。友川カズキはロックファンの間では頭脳警察のトシこと、石塚俊明との共演でしられている。このライブ、実は昔からの知り合いからの紹介でみることになったが、これも“サンスト”(かの伝説のラジオ番組『SOUND STREET<サウンドストリート>』)絡みである。伊藤銀次のかつてのマネージャーから同番組のプロデューサー、湊剛さんが関わるイベント「GIRLS' SOUND STREET LIVE」が3月3日(火)に東京・渋谷ラママで開催されるので、見てくれと言われた。松田樹利亜 、DOLL PARTS 、PINK DIAMOND 、Aishaというガールズロッカーが顔を揃え、ZIGGYの森重樹一が黒一点、華を添える“雛祭りライブ”の模様は既にブログなどで紹介している。同イベントには出演してないが、新谷は来ていて、知り合いから紹介された。最近には珍しい(!?)、しっかり挨拶のできる若者だった。湊さんが関わるイベントは、3月に続き、2度目になるが、今回は“SOUND STREET LIVE”と銘打たれず、「友川カズキ × 新谷隼平 2マンライブ at 渋谷La.mama」となっている。今回も湊さんが関わり、新谷のリハーサルなどには湊さんも立ち会ったという。

 

https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12958770037.html

 

 

新谷の『夏帆』、『曇天』、ピアノ弾き語りSONG BOOK『無垢とグレー』などの音源は直接、本人から郵送でいただいていたが、それには綺麗な文字で丁寧な手紙が添えられていた。

 

この日、4月23日(火)、渋谷ラママのステージに登場した新谷はソロでピアノの弾き語りで「故郷を遠く離れて」を歌った。いきなり五所川原という地名が出てきて、かつて青森の三沢へ行き、寺山修司の遺品などを撮影(彼のトリビューアルバムを制作するため、同所を訪れた。まだ、1997年に開館した「三沢市寺山修司記念館」が出来る前だった)したことを思い出す。久しぶりに生のフォークソングを聞いた思いがした。彼の歌声は清冽で、ピアノの音も情感が籠もる。自らのルーツを弾き語る。“アズベリー・パークからの挨拶”ならぬ、“御所川原からの挨拶”か。

 

同曲を歌い終えると、ピアノとギターが加わるアコースティック編成になる。バラード「ハルウララ」を披露する。同曲は寺山繋がりではないが、春夏秋冬の春の歌ではなく、競馬馬「ハルウララ」の歌である。生涯1勝も挙げず、負け続け、引退している。逆に人気が出て、負け組の星と言われた。新谷の優しい眼差しを感じさせる。

 

アコースティック編成のまま、ミドルテンポの「憧れと幻想と矛盾の経済」が歌われる。トピカルソングという風合いの歌詞が並び、この世界の実相を描いて見せるのだ。

 

同曲後、バンド編成になって、キーボードとドラムス、新たにギターが加わる。同バンドにはAishaの牧元芳朗がギタリストを務めている。エンジニアリングやプログラミングなど、多芸多才のミュージシャンだが、彼が加わることで、その音の景色が鮮明になっていく。絵筆を加えたという感じだろうか。

 

バンド編成でスロウ&メロウな「ヘルプレス」、太陽の光が注ぎ、心も体もウキウキさせるアップテンポの「追憶の夏」、チェンジオブペース、少しテンポを落とし、ゆったりとしたミッドテンポの「心」を畳みかける。

 

同曲を終え、この日の友川との共演を喜びつつ、もっと彼について語りたいが、たくさんの曲を演奏するため、時間の関係で次から次へと披露しなければならないと話す。

 

そんな思いの籠った曲達がバンドと一体になって、怒涛の如く披露されていく。新谷隼平というシンガーソングライターの真骨頂というべき曲の繋がりだろう。ちょっと驚かされた。

 

ロックナンバー「ベネズエラ」、ミドルテンポの「戦争のメカニズム」が披露される。自らのメッセージを歌に込め、ロックのリズムに乗せ、客席と同時に世界に向けて放つ。それは世間への異議申し立てにも聞こえる。トランプによるベネズエラ侵攻を批判する歌を2026年にこの場所で聞けるとは思わなかった。そして不条理な戦争のメカニズムを暴いて見せるのだ。日本ではとかくロックに政治を持ち込むな――など、揶揄や批判の対象になりつつあるが、そんなものを一足飛びに越して見せる。きっと、新谷隼平の中では歌わなければいけないことだったのだろう。同時に外野のくだらない雑音も覚悟の上ではないだろうか。日本ではフォークソングがいつの間にか、骨抜きにされ、トピカルやソシアル、プロテストな視点が失われてきた。いま、改めて新世代の異議申し立てにはっとさせられてしまう。とてつもない、カウンターパンチを食らった爽快さ(撃たれ好きではない!)、と、良く言ってくれたという痛快さがある。

 

 

ブルース・スプリングスティーン&Eストリート・バンドによる「Land Of Hope And Dreams」の北米ツアー初日となった2026年3月31日のミネアポリス公演は、オープニング・ナンバーに「WAR」を披露。同曲は1970年全米1位を獲得したエドウィン・スターのカヴァーで、“War, what is it good for? Absolutely nothing!(戦争?何の役に立つんだい? まったく何の役にも立たないぜ)”という反戦歌だ。そしてのアンコールでスプリングスティーンはボブ・ディランの「自由の鐘(Chimes of Freedom)」をレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのトム・モレノとともに歌い、コンサート 終演後のBGMにはウディ・ガスリーの「わが祖国(This Land Is Your Land)」を流したという。 ちょっと、論点がずれたかもしれないが、海外に倣えと言うつもりはないものの、そんな認識を持っていてもおかしくないだろうとは言わしてもらいたい。

 

 

フルバンド編成で「バッドライフさらば」、「過ぎていく」を披露し、最後の曲である「グッドバイミーツザワールド」を歌う直前、同曲について語る。タイトルから明らかなように「第35回柴田錬三郎賞受賞作」である金原ひとみの『ミーツ・ザ・ワールド』に影響を受けたものであることを告げ、歌舞伎町の歌であるとつけ加える。流石、現役書店員である。同時代へのクリエイターへの共感を感じる。彼の歌は自閉することなく、社会に開かれているのだ。欲望と猥雑の都市を題材にするところなど、ルー・リードや寺山修司に連なるものを抱かせるのだ。

 

まだ、歌詞と曲の乖離などもあるものの、新しい世代のシンガーソングライターの登場ではないだろうか。流石、湊さん。彼の目利きとしての才を感じるのだ。彼はSNSで今度のライブで一緒にステージに立つ仲間達について“本当はこんな音楽がやりたいんだよなと思いながらも表現出来ずにいたオルタナティブロックを今のメンバーたちと出逢ったことで自然と導かれるようにそれが出来ている今に感動しています。音楽シーンを切り拓いていくんだ。ステージ楽しみにしていてください”と呟いている。

 

 

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■新谷隼平セットリスト 2026年4月、4月23日(火)東京「渋谷ラママ(渋谷La.mama)」

1.故郷を遠く離れて(ピアノ弾き語り)

2 .ハルウララ(アコースティック編成 ピアノ、ギター、ヴォーカル)

3.憧れと幻想と矛盾の経済(アコースティツク編成)

4.ヘルプレス(フルバンド編成)

5.追憶の夏(フルバンド編成)

6.心(フルバンド編成)

7.ベネズエラ(フルバンド編成)

8.戦争のメカニズム(フルバンド編成)

9.バッドライフさらば(フルバンド編成)

10.過ぎていく(フルバンド編成)

11.グッドバイミーツザワールド

 

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新谷隼平に続いて、友川カズキがギターを抱え、ひとりでふらりとステージへ現れる。椅子に座るなり、演奏を始めるかと思ったらMC(!?)が始まる。“「ベネズエラ」を歌ってくれたのは嬉しかったです。何故なら世界があれを非難しないから。ちゃんと書いてくれた”と熱を込めて語る。歌が始まる様子は暫く、新谷隼平への賛辞が続く。“自分は記事を書かない新聞記者。誰も尾行しない探偵を名乗っています”と語り、“テレビやマスメディアはどうでもいいことは騒ぎ立てるけど、大事なことは伝えない”とくさす。いつもの演奏が始まり出すと、途中でやめて、新谷のことを再び、話し始める。友川は“隼平さんの歌聞いていたらおかしくなっちゃった。変な歌を唄いやがって”と嬉しそうに語る。

 

 

漸くペースが戻ったか。お馴染みの「祭りの花を買いに行く」、「光るクレヨン」など、聞かせてくれた。歌が終わるとトークが続く。ある意味、泉谷や高田渡など、かの世代の特色か、語りと歌が込みで、その世界と言っていいだろう。

 

PANTAや遠藤ミチロウ、三上寛など、同世代の盟友たちの話を嬉しそうにする。残念ながら三上を除き、二人は既に鬼籍に入っている。そんなこともあって、彼らを追いかけるように新谷隼平のようなシンガーソングライターが現れたのが嬉しいのではないだろうか。

 

友川は自らのステージの締めに新谷を呼び出し、2人で歌を披露することになる。新谷は緊張気味しているみたいだが、友川は期待できる後進との共演が嬉しいのか、終始、にこやかである。勿論、歌はすぐに始まらず、新谷の郷里、青森の話になる。三上寛も寺山修司も青森出身である。ちなみに友川は秋田出身。東北県人会か。“ケンミンSHOW”状態に話が盛り上がる。

 

 

二人はエゴン・シーレやセザンヌ、フランシス・ベーコン、長谷川利行、関根正二、中村彝などの画家が登場する友川カズキの「一人ぼっちは絵描きになる」(2010年にリリースのアルバム『青いアイスピック』に収録)を披露する。希代の名曲を2026年に甦らせる。世代を超えた共演である。その瞬間を共有したものは様々な思いや悩みを抱えつつも至福と嘉悦に包まれたはず。今日の「渋谷La.mama」は友川カズキは出ないが、友川カズキをかくも狂わせる新谷隼平の新世界を体験して欲しい。

 

https://www.lamama.net/article/s-20260612/

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