▲(写真左から)亀(G)、オカジママリコ(B)、サエキけんぞう(Vo)、
泉水敏郎(Dr)、小嶋りん(Vil)、吉田仁郎(G)
活動休止か――Perfumeではない、ジョリッツだ。先月、9月21日(日)に下北沢「Flowers Loft」で、XOXO EXTREME(キスエク)の小嶋りん(Vl)をフィーチャリングして『10周年だよ!ジョリッツ生誕祭』というバンド結成10周年のお祝いをしたばかり。まさに青天の霹靂である。サエキけんぞう(Vo)、泉水敏郎(Dr)、吉田仁郎(G)、亀(G)、オカジママリコ(B)という5人での活動は暫く行わないという。解散宣言をしたわけではないが、次の予定や計画は、いまは決まってないそうだ。
ジョリッツは10年前、ハルメンズやハルメンズX、少年ホームランズなどの“周年プロジェクト” (ジョリッツは2015年に「ハルメンズXプロジェクト」内バンドとして結成。「ハルメンズXプロジェクト」終了後もジョリッツの活動は独立して継続されている)でサエキと泉水が“再会”。2015年12月11日(金)には渋谷「スターラウンジ」で「ハルメンズ×クリスマス2015」を開催している。サエキけんぞう&Boogie theマッハモータースfeaturing泉水敏郎として出演した。他の出演者はBoogie theマッハモータース、リアル3区、テンテンコ、ジョリッツ、DJは中嶋勇二になる。同ライブには既にジョリッツも出演している。サエキに確認したところ、同イベントでのライブがジョリッツの初ステージになるそうだ。サエキはプロデューサー&サウンドクリエイターとして注目されていたHELLHEAD、野獣のリリアンの吉田と共同作業を開始、その渦中に泉水が“バンドやろうぜ”と宣言したことで、バンド構想が持ち上がる。泉水、サエキ、吉田というジョリッツの核が出来上がり、吉田の要望で、ぐしゃ人間、リアル3区の亀とカストルファンクラブのオカジママリコをメンバーに引き入れ、ジョリッツが誕生した。2017年10月にファーストアルバム『ジョリッツ登場』をリリースしている。2018年9月にメンバーが産育休のため一時活休、サポートベースを加えて活動。2018年11月には2ndアルバム『ジョリッツ暴発』、2022年12月に3rdアルバム『妖しいビルディング』リリースしている。
音楽仲間が自然と集まり、バンドが生まれる。サエキ、泉水は当時、既にキャリア40年超えのベテランながら、バンドが誕生して、成長していく物語を見せてくれた。私自身もその誕生の瞬間を目撃している。それがジョリッツのデビューライブだったかは不確かだが、少なくとも上記のライブは見ているのだ。
物語の始まりに出会える――そんな機会はそうあるものではない。出会えただけでも奇跡や僥倖というものだろう。音楽ファンの期待を背負い、バンドは徐々に人気者になっていった。だからといって、そこに変な戦略や姑息な仕掛けなどはなく、ロックバンドの正しい誕生と成長の軌跡を描いてみせる。
当然ながらロックンロールのサクセスゲームとは無縁、むしろ、インディーズ創世記のバンドのような地道ながら確かな歩みをしつつ、当時の状況や環境に的確に対応して活動していったのだ。
スモール・サークル・オブ・フレンズ――小さなネットワークを作り、それがSNSやリアルで少しづつ広がって、やがて緩やかで適正規模のサークルになる。そうして作られた観客と演者の距離は近く、まるでジュリッツ・ファミリーのような関係が生まれる。いい意味でのサークル活動、そんなことをこの日のライブを見て、改めて感じた。10年目にして気づくこともある。
この日のライブはオープニングに音楽と映像をコラージュしたヒストリー映像(!?)が流れ、周年気分を盛り上げる。同映像の音楽を作ったのは吉田である。演奏が始まってからもところどころでジョリッツの専属カメラマン(!?)が撮影したという貴重写真や映像が紹介される。まるでサークルの活動報告か。
ジュリッツを足掛かりにして全国制覇や芸能界参入など、“ロックンロールドリーム”を実現する時機や機会はいくらでもあったと思う、それだけの逸材が揃っている。しかし、それを敢えてしなかった、と書くのが正しいかわからないが、生活ベースに同バンドがある。あくまでもバンド仲間の生活や活動を最優先する。ジョリッツは前述通り、デビュー直後に出産、育休のため、一時、活動を休止したメンバーがいる。その間、サポートを入れ、活動するものの、あくまでもサポートで、代わりにメンバーを入れることはしなかった。産休、育休がちゃんとある……まるで優良企業のようだ。ロックンロールの世界にはブラック企業的な発想や体質が付きまとうが、それとは無縁である。メンバーの復帰をじっくりと待つ。何か、新しいバンドの在り方を感じさせる。“お前の代わりはいくらでもいる”というパワハラ発言もないだろう。そんな姿勢も実に清々しい。この日、そのメンバーが仲間に感謝の言葉を伝えていたが、何かとても、微笑ましいものに感じた。
ライブそのものは後半に向かって、メンバーも観客も大盛り上がり。メンバーの振付にオーディエンスが合わせて踊ったり、メンバーの動きに合せ、観客もカメラの撮影位置を縦横無尽に替えたりもする。ある意味、“芸”である。アイドルのライブでのオタ芸的な作法や約束にも通じる(かのヨン様の韓流ブーム時の熱狂も彷彿とさせたりする)。演者と観客がコール&レスポンスしているのだ。サエキけんぞうは日本のロックの歴史や若者文化についてトークイベントや大学での講演、講座などを頻繁に開催、かつ、関連の書籍も数多い。ある意味、サブカルチャーの前線にいる。そのライブや活動を見ると、サエキがサブカルとオタクの橋渡しをしているようにも感じる。特にアイドルに強い興味を抱いているわけではないが、アイドルとプログレの関係など、ジュリッツのライブで両者の近似値を感じることが何度もあった。実際、過去のライブリポートでもエマーソン・レイク&パーマーやキング・クリムゾンなどの名前を引き合いに出している。この日もキスエクの小嶋りんがヴァイオリン(というか、フィドル扱い!?)でソロを取る「ホウダウン」におけるホンキートンクやブルーグラスからプログレへという演奏はかのキース・エマーソンを思い出したりもする。
アニメやアイドルなど、オタク的な関りで言えばサエキはかなり早い時期(初出展は2013年12月31日「コミケ85」国際展示場。 現在コミケは106、85から106まで全て出展している。ちなみに2013年12月31日の「コミケ85」の会場で大滝詠一の訃報を知る)からコミケに出展していたし、モーニング娘。を始め、アイドルにも数多、歌詞を提供している。
また、コミュニケーションツールとしてTik Tokやチェキ(バンドとファンとの撮影会で使用)なども利用している。常に突出した現場に足を運び、リアルなムーブメントが起こる場所に顔を出す。先取の気風を纏い、創作活動に勤しむ。そんなところがジョリッツの音楽には含有され、いつも気分は“NEW WAVE”であろうとしている。
有志が募って周年祝いのお花を出したり、10周年のバースデイケーキなどを用意して、彼らの “誕生日”を祝い、お手製のジョリッツTシャツをプレゼントするなど、どこか、ほのぼのしつつ、サークルの催しのようでもある。
10周年のお祝いのライブは「ジョリッツ・ウォンチュー」でライブを締めて見せたが、会場にいた観客にしてみれば“ウィ・ウォント・ジュリッツ”だろうか。世界はジョリッツの復活を待っている。本来なら活動休止になるので、総括やまとめをすべきかもしれないが、まだ、早過ぎる気がする。それ以前に活動休止の“休止”なんていうのもありそうだ。
ちなみにまとめの代わりに過去に彼らについて書いたエントリーをリンクしておく。私のブログで“ジョリッツ”と検索したら結構な数があった。中にはジョリッツの名前だけ出てくるものもあるが、なんとなく、NEW WAVEな雰囲気は伝わるはず。長いから時間がある時に読んでいただければ幸い。時間が“たっぷり”ある時がお勧め。
▲観客有志からプレゼントされたオリジナルジョリッツ
Tシャツを着ているメンバー。各メンバーの色は本人の
イメージに合せ、有志がセレクトしている。
気分はニューウェイブ――戸川純・ハルメンズ・星くず兄弟の伝説
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12103150949.html
oNEWnoNEWWAVE(オニュウノニューウェイヴ)――ジョリッツの“暴発”
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12423756192.html
豪華絢爛! ニューウェイブの祭典「oNEWnoWAVE(オニュウノウェイヴ)」
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12424132126.html
下北沢で“ロアッソ熊本へチア”――テクノの歌姫サトウトモミ『サトウの日vol.6~dawn~』
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12449241377.html
ハルメンズ再生――「『20世紀』から40周年 ハルメンズ復活ライブ第二弾」
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12715762369.html
21世紀の電気の武者・地下室のダンディズム――Francis
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12729027440.html
ニュー・ウェイヴの“希望の矢”となって、私達を射抜く――ジョリッツ「妖しいビルディング」
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12781144445.html
人生、いろいろ――『パール兄弟・結成40周年 〜ありがとう、ヤッシー〜』
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12824348002.html
異形のビートルズ『アンダーグラウンド・ビートルズ』(藤本国彦+本橋信宏)発売記念トーク&サイン会
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12856676783.html
2025年の少年ホームランズ――津田沼PARCOとニューウエイブ時代のソフト&メロウ
https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12904248590.html


























