Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 ! -21ページ目

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

 

 

一昨日、2月25日(日)は下北沢「BAR?CCO」でソウルフラワーユニオンやリクオなどでお馴染みのギタリスト、高木克の56歳のバースデイライブ『Katsu's 56th birthday gathering』(高木の誕生日は1968年2月23日、東京都清瀬市生まれ)。スペシャルゲストは石橋凌や三宅伸治、THE MODS、ザ・マックショウ、土屋公平などのサポートでお馴染みロックンロールピアノマン、伊東ミキオ(彼の誕生日は1967年1月23日、熊本県熊本市生まれ)。高木は「SHADY DOLLS」(シェイディドールズ)で1987年にデビュー、伊東は1990年、「GROUND NUTS」(グランドナッツ)でデビュー。ともにバンドブームのサバイバーでもある。

 

構成は2部構成で、1部が高木、2部が高木と伊東の共演という構成になっている。シェイディドールズの懐かしいナンバー(「雨上がりのラララ」高木が作曲した曲で、伊東がシェイディで大好きな曲と言ってくれたそうだ)から二人の出会いの契機になったロニー・レイン(1990年3月にクラブチッタ川崎で行われたロニー・レインのライブに二人とも行き、そこで彼のTシャツを購入。翌日、都内のスタジオへ二人とも別のバンドで行くと、何故か、同じTシャツ着ている二人が鉢合わせ。それが意気投合するきっかけだという)のお馴染み曲(「HOW COME」)、昨年、来日したダン・ペン&スプーナー・オールダムのライブを見て生まれた新曲(「寺に行った」というナンバー。ダン・ペンとスプーナー・オールダムに「I Met Her in Church」という曲があり、アメリカが教会なら日本なら寺だろうということで作ったそうだ)まで、アメリカ深南部を深掘りながらも懐古趣味に陥ることなく、コンテンポラリーなブルースやロックンロール、ブギーを聞かせてくれた。伊東のオリジナル「TRY AGAIN]」や三宅伸治のカバー「真夜中」なども心に突き刺さってくる。

 

 

二人ともに縁の下の力持ち的なところもあるが、この日はフロントに2人がいる、それだけで安心感と高揚感を抱かせる。堂々たるフロントマンぶり。歌も演奏も聞くものを引き込んでいく。

 

MCなども高木は花田裕之みたいに“男は黙って――”に憧れがあるようだが、サービス精神いっぱい、いろいろ伝えたいことが溢れ出て、言葉が上滑りするところも親しみが湧いてくる。ライブそのものは6時10分に始まり、9時10分前に終ることになるが、地方から来ている人を気にして、終電は大丈夫ですか、と、声をかける、そんな気遣いも彼ららしいだろう。

 

そんないい空気感に包まれる中、アンコール前に伊東がピアノでバースデイソングを奏で、そうするとバースデイケーキがステージに運びこまれる。お約束ではあるが、会場のみんなが高木の誕生日を心から祝福していた。とても微笑ましい光景に見えた。同時にそのやり取りを見て、二人の友情物語がいまも続いていることを再確認する。

 

下北沢のいかしたバーで、これまた、いかしたホンキートンクミュージックを聞かせてもらった。酒は飲んでないが、グッドミュージックに酔いしれる感じだろうか。アーシーでロールする素敵な時間を堪能した。

 

アンコールの後はCDやタオル、アクスタ(アクリルスタンド。アクリル板に人物やキャラクターの画像を印刷して切り抜き、台座に差して自立できるようにしたもの)などの実演販売である。アクスタは伊東がスタッフにそそのかされ(!?)、作ったものらしいが、鎌倉で撮影した写真を使っているそうだ。ところが高木は「鎌倉」を「キャバクラ」と聞き違い、何故、キャバクラで撮影したのか、不思議がる。そんな高木の天然さもまわりを笑顔にさせる。この実演販売、SNSなどでも事前に告知されたが、高木と伊東が2000年代に組んだジャムバンド「HI-Rollers」の現在入手困難の幻のアルバムが何故か、伊東の家から出てきたらしく、限定15枚が販売された。

 

実演販売でHI-Rollersのアルバムも手に入れることができた。伊東は1993年に自らがヴォーカルを担当するバンド“SAILIN' SHOES”を結成している。“SAILIN' SHOES”に“Hi Roller”ときたら「LittleFeet」だろう。帰宅後、早速、聞いたが、ご機嫌なサザンファンクを聞かせてくれる。家の猫も気にいったようだ。CDをかけながらジャケットを撮影していると、すぐ寄ってきて、思い切り、ダンスしている(笑)。

 

なお、出会った当初、高木と伊東はお互いに好きな曲をカセットテープにダビングして交換していたというエピソードも披露してくれた。伊東から高木へ送ったテープには熊本の伝説のストリートロッカー、野田敏率いるメインストリートと、米音楽をごった煮した世界最高最強のバンドと言われ、キースやディラン、コステロなども愛したNRBQの曲が入っていたという。何か、いまの彼らが見えてくるようだ。

 

 

 

 

 

昨2023年1月27日に急逝した元LIZARDのワカさんこと、若林“Waka”一彦。一昨夜、2月1日(木)に彼と所縁のものが下北沢「Flowers LOFT」に集結。この“イベント”を企てた西村茂樹によると彼の“一周忌”にあたる1月27日に新宿「LOFT」で開催したかったらしいが、企画した時点で、同日の新宿LOFTは既にブッキングされていて、スケジュールを押さえることができず、日をずらして新宿LOFTの系列である下北沢のFlowers LOFTでの開催になったらしい。その企ては「Last Ceremony / 1st Anniversary LOUD MACHINE最後のライヴとワカさん一周忌」とタイトルされた。若林“Waka”一彦トリビュートバンド(krishnablue feat. ZIN)と、ワカさんの最後のバンドメイト、西村茂樹のラウドマシーンのラストライヴが行われた。

 

 

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/flowersloft/date/2024/02/01

 

 

 

マダムエドワルダのZINや元AUTOMODのYUKINO、犬神サアカス団の犬神明、 RAPのROUGE、8 1/2の久保田慎吾、キースなどが駆け付け、彼をロックンロールで送っている。ZINは「セレブレーション」や「T.V.マジック」、「マーケットリサーチ」、「まっぷたつ」、「ガイアナ」を見事に歌いきる。彼はLIZARDに影響を受け、“SAVE MOMOYO”にも参加したらしい。トリビュートバンドの静謐でいて強靭な「王国」の演奏後、モモヨがプロデュースしたRAPのROUGEが登場し、「エイシャ」を披露。さらに19歳でLIZARDの『変易の書』(1986年)にドラムで参加している犬神明とともに、KERAもカバーした「サカナ」を歌う。さらに8 1/2の久保田慎吾が「ロック・クリテック」(紅蜥蜴時代からのレパートリーで、LIZARDの「浅草六区」のオリジナル)で思いの籠った激しい歌を聞かせてくれた。

 

 

改めて、LIZARDの音楽の豊潤さ、そしてワカの革新的なベースワークを再確認する。“東京ROCKERS”の時代(勿論、LIZARDの活動は同時代に留まらない。ストラングラーズのジャン・ジャックのプロデュースなど、いち早く“国際化”していた)を超えて、いま、聞かれるべき音楽だろう。この日、披露された「王国」や「ガイアナ」などは彼の白眉とも言えるプレイ。多くのバンドマンが憧れるのがわかる。

 

トリビュートバンド後、ラウドマシーンのラストライヴが行われたが、同演奏時に後期LIZARDでワカさんとリズムセクションを組んでいたキースがドラムで参加、西村が「さらば相棒」を歌っている。まさに、この日でなければ実現しない場面だろう。キースが自ら同曲でワカさんを送りたいと、強く望み、実現したという。そしてKENZI & THE TRIPS、バッドメサイア、KEN BAND(横山健)の JUN GRAY(B)、ブラッドサースティ・ブッチャーズでバッファロードーターのツアーメンバーでもある小松正宏(Dr)の演奏もラウドマシーンの“ラストライヴ”に華を添えた。西村は、これからはヴォーカリストとして活動するといっていたが、“新しい希望の歌”を歌い継いで欲しい。“反社”ですいませんと言っていたが、見事な反社ぶりだ(笑)。

 

 

LIZARDの再評価――そんなことを考えていたら、こんなニュースが飛び込んできた。“LIZARDと前身バンド・紅蜥蜴のレア音源、アナログで多数リリース”されるという。

 

 

 

モモヨ自身も拡散している。これは勝手に作られたものではなく、彼が関わっている。原作者の意志が反映された作品だろう。偶然と言えば偶然でしかないが、時機とは不思議なものだ。いま、彼らのサウンドとメッセージを世の中が求められ始めている。懐メロではない。そこにはモモヨやワカの息吹が閉じ込められ、世間が気付き、封印(誰も封印などしてないが)が解かれるのを待っている。彼らのしてきたこと(日本のロックの革命、偉業だと思っている)が多くの方に知れ渡ることを望む。現在、闘病中のモモヨだが、その復活を改めて祈る。まだ、送るには早過ぎるだろう。

 

THE SHAKESの黒水伸一(Vo,G)、the LEATHERSのCROSS(Vo、G)、THE BRICK'S TONEの篠原太郎(Vo、B、Kb)、そしてthe LEATHERSの久保田敏明(Dr)という、この街でストリートロックやビートを愛するものの噂になっている4人。彼らが結成したバンドがThe Subterraneans (ザ・サブタレニアンズ)。その名前の由来はジャック・ケルアックの小説『地下街の人びと』である。彼らは遅れてきた“ビートジェネレーション”であり、2024年の期待の新人バンド(!)である。

ザ・サブタレニアンズは佐野元春の評伝『路上のイノセンス』で知られる故・下村誠が始めたビートジェネレーションをリスペクトするイベントを継承したポエトリーリーディングとアコースティックライブのイベント「NAKED SONGS」から生まれている。同イベントの主催者、若松samiの3人で共作して、4人でバンドで演奏して欲しいという“むちゃぶり”が生んだものだが、そんなむちゃぶりからいつしか、彼らは自主的に友好を深めていった。黒水は“この歳になって嬉しかったのは、こいつのためなら何でしてやろうという友達が出来たこと”だそうだ。そんな彼らがアルバム『All Doors are Open(オール・ドアーズ・アー・オープン)』を完成させ、一足早いレコ発ライブ(実際のリリースは3月8日になる。同月9日<土>に「下北沢Lown」レコ発ライブがある)を昨日、1月21日(日)に高円寺ショーボートで行った。

各々、80年代にデビューし、30年以上のキャリアを持つ彼らだが、会場には自らのファンだけでなく、新しい動きに敏感な若者や彼らを優しく見守る熟年ビートニクが駆け付ける。

街のNOISEから始まったライブは新作『オール・ドアーズ・アー・オープン』の収録曲を中心に披露される。詳述は避けるが、「若さという幻」(篠原太郎)、「夜明けのフリーバーズ」(CROSS・黒水)、「愛の惑星」(黒水)という前半の3曲の連なり、各人の個性が色濃く出た曲たちを聞いた時、確かに各々が彼ららしいが、それらが一つに溶け合い、ザ・サブタレニアンズとしての色彩を放つ。1+1+1=3ではつまらない。10にも100にも1000にもなる。化学反応が起きているのだ。黒水、CROSS、篠原という、わがままな3人を支える久保田というバンドの要があってこそかもしれない。自由奔放に振舞う彼らの手綱をしっかりと握っているのだ。

 

SET LIST

黒水伸一TRIO (kuromizushinichitrio.com)

 

 


この日、一足早く仕入れた(3月8日の発売日に先駆け、会場で先行発売された!)アルバム『オール・ドアーズ・アー・オープン』(発売はディスクユニオン)。“すべての扉は開かれている”――と、私達を挑発する。アントニオ猪木のように“さあ、かかってこい”と言っているのか、桂三枝のように“いらっしゃーい”と言っているのか、わからないが、いずれにしろ、彼らは曝け出し、自らのメッセージを発信している。2024年という“激動”と“憂い”の時代をサバイバルするには、いまこそ、彼らの“ビート”と“ソング”が必要ではないだろうか。

同作については、いずれ、もう少し詳しく書く機会もあると考えている。ただ、正式な発売まで2か月近くある。フライングは避けておく。その代わりにその始まりの瞬間をかつてブログで書き記しているので、リンクしておく。お手隙の時にでも読んで欲しい。何故、「ゴー・ストレート・ニルヴァーナ」のクレジットが“篠原太郎&***”になっているか、わかるはずだ。

また、この日、最後に披露されたアルバム未収録曲「BEAT GOES ON~吠える言葉~」についても言及している。

繋ぐ、生まれる――『NAKED SONGS vol.10』

https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12416292468.html

 

 


そして、若松samiが主催する『NAKED SONGS』の契機となった下村誠のことも知ってもらいたい。下村のイベントにも関わり、若松とも親交のある編集者&ライターの大泉洋子が作った下村誠の原稿などを編纂した『音楽(ビート)ライター 下村誠アンソロジー 永遠の無垢』のことも知ってもらいたい。「シンプジャーナル」などに書いた原稿、対談などをまとめている。また、西本明やスズキコウジ、佐藤奈々子など、生前に交流があったミュージシャン、「シンプジャーナル」の元編集長・大越正実のインタビューやメッセージ、田家秀樹や山本智志、中川五郎などの寄稿もある。さらに吉原聖洋が下村誠のアルバムに書いたライナーノートも転載されている。

音楽(ビート)ライター下村誠アンソロジー 永遠の無垢

 


https://diskunion.net/jp/ct/detail/1008798083?fbclid=IwAR2XKfT-QBn_ktnrtXzAnqOzZMrxK22ZOI-IAzCS3D8LpAWeUKq2KSLJE5U