LIZARDの若林“Waka”一彦を仲間達と送る夜――ワカさん一周忌 | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

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Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

 

昨2023年1月27日に急逝した元LIZARDのワカさんこと、若林“Waka”一彦。一昨夜、2月1日(木)に彼と所縁のものが下北沢「Flowers LOFT」に集結。この“イベント”を企てた西村茂樹によると彼の“一周忌”にあたる1月27日に新宿「LOFT」で開催したかったらしいが、企画した時点で、同日の新宿LOFTは既にブッキングされていて、スケジュールを押さえることができず、日をずらして新宿LOFTの系列である下北沢のFlowers LOFTでの開催になったらしい。その企ては「Last Ceremony / 1st Anniversary LOUD MACHINE最後のライヴとワカさん一周忌」とタイトルされた。若林“Waka”一彦トリビュートバンド(krishnablue feat. ZIN)と、ワカさんの最後のバンドメイト、西村茂樹のラウドマシーンのラストライヴが行われた。

 

 

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/flowersloft/date/2024/02/01

 

 

 

マダムエドワルダのZINや元AUTOMODのYUKINO、犬神サアカス団の犬神明、 RAPのROUGE、8 1/2の久保田慎吾、キースなどが駆け付け、彼をロックンロールで送っている。ZINは「セレブレーション」や「T.V.マジック」、「マーケットリサーチ」、「まっぷたつ」、「ガイアナ」を見事に歌いきる。彼はLIZARDに影響を受け、“SAVE MOMOYO”にも参加したらしい。トリビュートバンドの静謐でいて強靭な「王国」の演奏後、モモヨがプロデュースしたRAPのROUGEが登場し、「エイシャ」を披露。さらに19歳でLIZARDの『変易の書』(1986年)にドラムで参加している犬神明とともに、KERAもカバーした「サカナ」を歌う。さらに8 1/2の久保田慎吾が「ロック・クリテック」(紅蜥蜴時代からのレパートリーで、LIZARDの「浅草六区」のオリジナル)で思いの籠った激しい歌を聞かせてくれた。

 

 

改めて、LIZARDの音楽の豊潤さ、そしてワカの革新的なベースワークを再確認する。“東京ROCKERS”の時代(勿論、LIZARDの活動は同時代に留まらない。ストラングラーズのジャン・ジャックのプロデュースなど、いち早く“国際化”していた)を超えて、いま、聞かれるべき音楽だろう。この日、披露された「王国」や「ガイアナ」などは彼の白眉とも言えるプレイ。多くのバンドマンが憧れるのがわかる。

 

トリビュートバンド後、ラウドマシーンのラストライヴが行われたが、同演奏時に後期LIZARDでワカさんとリズムセクションを組んでいたキースがドラムで参加、西村が「さらば相棒」を歌っている。まさに、この日でなければ実現しない場面だろう。キースが自ら同曲でワカさんを送りたいと、強く望み、実現したという。そしてKENZI & THE TRIPS、バッドメサイア、KEN BAND(横山健)の JUN GRAY(B)、ブラッドサースティ・ブッチャーズでバッファロードーターのツアーメンバーでもある小松正宏(Dr)の演奏もラウドマシーンの“ラストライヴ”に華を添えた。西村は、これからはヴォーカリストとして活動するといっていたが、“新しい希望の歌”を歌い継いで欲しい。“反社”ですいませんと言っていたが、見事な反社ぶりだ(笑)。

 

 

LIZARDの再評価――そんなことを考えていたら、こんなニュースが飛び込んできた。“LIZARDと前身バンド・紅蜥蜴のレア音源、アナログで多数リリース”されるという。

 

 

 

モモヨ自身も拡散している。これは勝手に作られたものではなく、彼が関わっている。原作者の意志が反映された作品だろう。偶然と言えば偶然でしかないが、時機とは不思議なものだ。いま、彼らのサウンドとメッセージを世の中が求められ始めている。懐メロではない。そこにはモモヨやワカの息吹が閉じ込められ、世間が気付き、封印(誰も封印などしてないが)が解かれるのを待っている。彼らのしてきたこと(日本のロックの革命、偉業だと思っている)が多くの方に知れ渡ることを望む。現在、闘病中のモモヨだが、その復活を改めて祈る。まだ、送るには早過ぎるだろう。