BEATS GO ON~吠える言葉たち――The Subterraneans | Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Let's Go Steady――Jポップス黄金時代 !

Jポップスの黄金時代は80年代から始まった。

そんな時代を活写した幻の音楽雑誌『MUSIC STEADY』をネットで再現します。

 

THE SHAKESの黒水伸一(Vo,G)、the LEATHERSのCROSS(Vo、G)、THE BRICK'S TONEの篠原太郎(Vo、B、Kb)、そしてthe LEATHERSの久保田敏明(Dr)という、この街でストリートロックやビートを愛するものの噂になっている4人。彼らが結成したバンドがThe Subterraneans (ザ・サブタレニアンズ)。その名前の由来はジャック・ケルアックの小説『地下街の人びと』である。彼らは遅れてきた“ビートジェネレーション”であり、2024年の期待の新人バンド(!)である。

ザ・サブタレニアンズは佐野元春の評伝『路上のイノセンス』で知られる故・下村誠が始めたビートジェネレーションをリスペクトするイベントを継承したポエトリーリーディングとアコースティックライブのイベント「NAKED SONGS」から生まれている。同イベントの主催者、若松samiの3人で共作して、4人でバンドで演奏して欲しいという“むちゃぶり”が生んだものだが、そんなむちゃぶりからいつしか、彼らは自主的に友好を深めていった。黒水は“この歳になって嬉しかったのは、こいつのためなら何でしてやろうという友達が出来たこと”だそうだ。そんな彼らがアルバム『All Doors are Open(オール・ドアーズ・アー・オープン)』を完成させ、一足早いレコ発ライブ(実際のリリースは3月8日になる。同月9日<土>に「下北沢Lown」レコ発ライブがある)を昨日、1月21日(日)に高円寺ショーボートで行った。

各々、80年代にデビューし、30年以上のキャリアを持つ彼らだが、会場には自らのファンだけでなく、新しい動きに敏感な若者や彼らを優しく見守る熟年ビートニクが駆け付ける。

街のNOISEから始まったライブは新作『オール・ドアーズ・アー・オープン』の収録曲を中心に披露される。詳述は避けるが、「若さという幻」(篠原太郎)、「夜明けのフリーバーズ」(CROSS・黒水)、「愛の惑星」(黒水)という前半の3曲の連なり、各人の個性が色濃く出た曲たちを聞いた時、確かに各々が彼ららしいが、それらが一つに溶け合い、ザ・サブタレニアンズとしての色彩を放つ。1+1+1=3ではつまらない。10にも100にも1000にもなる。化学反応が起きているのだ。黒水、CROSS、篠原という、わがままな3人を支える久保田というバンドの要があってこそかもしれない。自由奔放に振舞う彼らの手綱をしっかりと握っているのだ。

 

SET LIST

黒水伸一TRIO (kuromizushinichitrio.com)

 

 


この日、一足早く仕入れた(3月8日の発売日に先駆け、会場で先行発売された!)アルバム『オール・ドアーズ・アー・オープン』(発売はディスクユニオン)。“すべての扉は開かれている”――と、私達を挑発する。アントニオ猪木のように“さあ、かかってこい”と言っているのか、桂三枝のように“いらっしゃーい”と言っているのか、わからないが、いずれにしろ、彼らは曝け出し、自らのメッセージを発信している。2024年という“激動”と“憂い”の時代をサバイバルするには、いまこそ、彼らの“ビート”と“ソング”が必要ではないだろうか。

同作については、いずれ、もう少し詳しく書く機会もあると考えている。ただ、正式な発売まで2か月近くある。フライングは避けておく。その代わりにその始まりの瞬間をかつてブログで書き記しているので、リンクしておく。お手隙の時にでも読んで欲しい。何故、「ゴー・ストレート・ニルヴァーナ」のクレジットが“篠原太郎&***”になっているか、わかるはずだ。

また、この日、最後に披露されたアルバム未収録曲「BEAT GOES ON~吠える言葉~」についても言及している。

繋ぐ、生まれる――『NAKED SONGS vol.10』

https://ameblo.jp/letsgosteady/entry-12416292468.html

 

 


そして、若松samiが主催する『NAKED SONGS』の契機となった下村誠のことも知ってもらいたい。下村のイベントにも関わり、若松とも親交のある編集者&ライターの大泉洋子が作った下村誠の原稿などを編纂した『音楽(ビート)ライター 下村誠アンソロジー 永遠の無垢』のことも知ってもらいたい。「シンプジャーナル」などに書いた原稿、対談などをまとめている。また、西本明やスズキコウジ、佐藤奈々子など、生前に交流があったミュージシャン、「シンプジャーナル」の元編集長・大越正実のインタビューやメッセージ、田家秀樹や山本智志、中川五郎などの寄稿もある。さらに吉原聖洋が下村誠のアルバムに書いたライナーノートも転載されている。

音楽(ビート)ライター下村誠アンソロジー 永遠の無垢

 


https://diskunion.net/jp/ct/detail/1008798083?fbclid=IwAR2XKfT-QBn_ktnrtXzAnqOzZMrxK22ZOI-IAzCS3D8LpAWeUKq2KSLJE5U