「真夜中の殺人パーティー」(1982)

 

やたら手錠をかけたがる殺人鬼の映画をひさびさに観ました。

 

 

監督はアーマンド・マストロヤンニ 。予告編はコチラ

 

NYハドソン川手錠をかけられたまま殺された女性の死体を発見。そして、プール工事現場でも、それぞれ手錠をかけられた男性が殺されます。この一連の殺人事件に関心を寄せたTVのトークショー司会者のマーク(ペリー・キング)が、番組で事件の詳細を紹介。TVでペラペラと手口を話しているマークを見て苦々しく思っているのが、事件担当刑事のラリー(ノーマン・パーカー)。同じ頃、アートスクールに通うヴァーナ(エリザベス・ケンプ)が、無意識で描いていた絵が報道されていた殺人の手口デッサンしているのではと友人に指摘されてビックリ。昔から予知能力(透視能力)を持っている自覚があったヴァーナは、さっそく警察に出向いて自分の絵を見せますラリー刑事はヴァーナに事件への協力を求めると同時に、個人的に気に入ったため、口説いて一夜を共にします。一方、たまたま警察へ情報収集に来ていたマークもヴァーナの存在に気づいて、自分の番組に出演してもらう約束を取りつけると同時に、食事に誘った後チューをしてきます。モテモテのヴァーナの争奪戦が勃発。

 

やがて、ウィリーというチンピラから手錠を買った男の情報を入手した警察。この男が犯人かと思いきや、手錠をかけられた状態で殺されてしまいます。警察はウィリーを追い詰めるも、逃亡時に射殺してしまって、手がかりゼロに逆戻り。しばらくして、友人を手錠にかけたまま殺すぞという脅迫電話がかかってきたんで、慌てて外に飛び出したヴァーナが路上で何者かの車に轢かれそうになるピンチ。その後、友人は本当に手錠をかけられたまま、乗っていた自家用車が川に沈んで死亡。ヴァーナがマークの生放送番組出演中に起きた出来事でした。オンエア中にトランス状態となって、車のハンドルらしき物に手錠をかけられている女性の絵を描いていたヴァーナ。放送後、心配したマークが身柄の安全を確保するためにヴァーナを自宅に泊めます。自分のカノジョだと思っているラリーはこっそり付き合ってる手前もあり、連れ戻すわけにもいかず、犯人の特定に専念。すると、意外な犯人が浮かび上がってきて・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「The Clairvoyant」。"千里眼"という意味。アメリカではほぼビデオスルー扱いで、のちに「The Killing Hour」のタイトルでリリース。日本でも劇場未公開で、1986年3月2日に日曜洋画劇場で初オンエア。VHSビデオ発売時タイトルは「真夜中の殺人パーティー/キリング・アワー」。「真夜中のパーティー」(1976)から連想したザツな邦題。イタリアのジャッロ映画を思わせる雰囲気が不気味で、赤い照明のプールの手すりに足首を手錠で繋げられて窒息死した被害者男性の場面に生々しい怖さがあって、軽いトラウマを覚えた映画でした。そんな死に方はイヤだと心に強く刻まれたまま、現在まで生きています。手錠をかけられてエレベーターの下敷きになるシーン、事件の真相、ラストシーンに驚いた記憶も蘇りました。なお、ヴァーナ役の女優さんは、のちにアクターズスタジオのコーチとしてブラッドリー・クーパー、レディ・ガガ、ヒュー・ジャックマン等を指導して2017年に死去。「アリー/スター誕生」(2018)のエンドロールでは、彼女への献辞クレジットがありました。

 

犯人捜しよりもヴァーナをめぐるラリー刑事との戦いに執念を燃やすマークを演じるのはペリー・キング「処刑教室」(1982)が印象的な俳優さん。ラリー刑事にはスタンダップコメディアンを目指しているという不思議な設定があって、ライブハウスで漫談を披露するシーンがあります。レパートリーのウディ・アレン物真似が結構上手くて、自宅には「アニー・ホール」「All Through the Night」のポスターが貼られていました。ほかに、ラリー刑事の同僚役で「ターミネーター2」(1991)などのジョー・モートンが共演。映画のネタバレをすると・・・、女性をホテルに連れ込んでベッドの手すりに手錠で繋いで羽交い絞めにして窒息死させたのが最初の被害者。真犯人はマークでした。女性を騙して合意のない性加害をする極悪芸能人が彼の正体で、凶行に加担した仲間も裏切って皆殺しにします。真相に気づいてマークの家に泊まるヴァーナを助けに来たラリーが、殺されそうになっていたヴァーナを助けて、マークアパート屋上から突き落として一件落着という結末。恋の行方もラリーが勝利しました。