「悪魔のいけにえ」に影響を与えたというホラーをU-NEXTで観ました。初見。
ダンサーのシモーヌ、シェリー、コリンヌの3人はラスベガスで舞台に出演するためにLAを出発。しかし、女3人でのドライブ中に裏道に迷い込んで車が故障。困っていたところを長身の若者アンドレ(アンドリュー・プライン)に助けられて、彼の住む一軒家に案内されます。玄関では檻に入ったピューマがお出迎え。「キャー、動物園みたい」なんて言いながら近くの納屋に入ると、鎖に繋がれた数名の女性の姿を発見。ヤバイ奴に捕まったと思ったものの、時すでに遅し。3人もアンドレに監禁されてしまいます。女性たちは一様に美人なので、アンドレは面食いなのかもしれません。俺はサーカスの調教師なのでお前らを調教すると豪語するアンドレは、外を連れ回して女たちを手なずけようとします。ある女性は野に放たれて逃げますが、ピューマに追われて小屋に逃げ込んだところ、何者かに襲われて死亡。どうやら別の人間も暮らしているようです。
3人をショーに雇ったエージェントのデレクは、なかなかラスベガスに到着しないことを不審に思って捜索を開始。すると、ガソリンスタンド店員の目撃情報から、3人の居場所の目星がつきます。一方、アンドレは監禁したシモーネの顔を見てビックリ。10年前に家出した母親にソックリではありませんか。シモーネを母親だと思い込んだアンドレは、鎖を繋いだままとはいえ、彼女だけ特別待遇で扱います。父がやっていたサーカスを受け継いだ近況をシモーネに報告するアンドレは、その後もコリンヌを蛇の餌食にしたりして、自称調教師ライフを満喫。ようやくデレクと保安官たちが監禁場所を発見した頃、シモーネが鍵を見つけて女性たちを解放することに成功。しかし、アンドレに見つかってしまっただけでなく、逃げた女性が怪物のいる小屋の鍵を開けてしまって・・・というのが大まかなあらすじ 。
原題は「Terror Circus」。都会派で知られるアラン・ルドルフの初期監督作品。いわゆるB級ホラーですが、随所でムダにスタイリッシュな映像が見られて、サスペンス演出も意外にしっかりとしています。残酷描写はおとなしめ。殺風景で不気味な片田舎のビジュアルと不穏なBGMの一部は名作「悪魔のいけにえ」(1974)に影響を与えたのではと思えます。映画内では語られていませんが、一軒家の近くで核実験が繰り返されていた影響で、アンドレの父親が怪物になってしまって、アンドレ自身も精神に異常をきたした設定になってるようです。アンドレ演じるアンドリュー・プラインは迫真の名演もむなしく、実父である怪物に首をもぎ取られて死んでしまいます。アタマのおかしくなってしまった女性以外は怪物に皆殺しにされた事件現場から、怪物が荒野に向かって去っていく姿がエンディング。こんな顔をしていているので、すぐに職務質問されると思いますが。