「バトルガンM‐16」(1987)

 

デス・ウィッシュシリーズ第4弾をAmazonプライムビデオで観ました。初見。

 

 

監督はJ・リー・トンプソン。予告編はコチラ。淀川長治の解説はコチラ

 

1作目で妻を殺されて、2作目で娘を亡くして、3作目に訪れたNYでギャングと殺し合いを繰り広げたポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)はLAに戻って、穏やかに設計士として過ごしていました。ちゃっかりと新聞記者の美女カレン(ケイ・レンツ)を恋人にしていて、建築家を目指している彼女の娘エリカを可愛がってたりしています。一方で、自警団として人を殺めた悪夢を見る夜もあるようです。ある日、エリカが彼氏とのデート中にドラッグに手を出してオーバードーズで急死。カージーはエリカにドラッグを売りつけた男を見つけて殺害。またまた自警団に逆戻りのカージー。殺人事件を捜査するLA市警は容疑者の一人としてカージーをマークし始めます。

 

しばらくして、カージーの元に使者が現れて、ある男の豪邸に招かれます。ネイサン・ホワイト(ジョン・P・ライアン)という新聞社を経営する男で、カージーと同じく、娘を麻薬で失った罪滅ぼしとして、私財を投じてLAに君臨する二大麻薬組織を壊滅しようとしていました。カージーの仕事ぶりに心酔したネイサンは、麻薬組織幹部たちの粛清を依頼。快諾したカージーはネイサンが収集した情報を元に、二大組織の対立を上手く煽りながら、一人ずつ悪党を始末していきます。やがて、それぞれの組織のボスを倒した後、全ては仕組まれたワナだと知ったカージー。拉致された恋人カレンを奪還すべく、黒幕との戦いに単身で乗り込んでいくのであったが・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Death Wish 4:The Crackdown」。サブタイトルは"取り締まり"の意味。「用心棒」をストーリーのモチーフにしてるようですが、ほとんど気づきません。もう足を洗ったつもりでいたカージーが新たに出来た恋人の娘がドラッグに手を染めたことをキッカケに自警団に戻ってしまう本作。資金を持つスポンサーとなったのが、新聞社主であるネイサン。娘を失った者どうしだという共感を利用して、カージーに仕事を依頼。演じるジョン・P・ライアンは「悪魔の赤ちゃん」シリーズでも愛する子供を失って、同じ悲劇を繰り返さないために自腹で社会悪と戦っていました。アツい組み合わせだなあと思っていたところ、実は、ネイサンの名を騙る偽物で、二大勢力を潰して新たに麻薬王として君臨しようとしていた悪党だったことが終盤で分かります。油断して観ていたのですっかり騙されてしまいました。

 

60代中盤に差しかかっていたチャールズ・ブロンソンは本作でも大暴れいろんな場所潜入しながら、麻薬組織の幹部をビルから突き落としてふざけた誕生日パーティーをしているボスは寂れた工事現場に追い詰めて射殺。黒幕(ハリボテ)ランチャー付きのM16自動小銃木っ端みじんにします。助けようとした恋人が黒幕にあっさり殺されてしまうのはチャールズ・ブロンソン映画あるある。虚しい復讐を遂げたカージーが寂しそうに去っていくところで映画は終わり。麻薬組織に内通している刑事役でスーン=テック・オーが出演。カージーに殺されます。麻薬組織幹部の一人でダニー・トレホも出演。ワインの訪問販売員に扮したカージーのワイン爆弾で死亡します。あと、ブロンソンの愛妻ジル・アイアランドの前夫の子供たちが作曲したという映画音楽は生ぬるい仕上がりです。なお、シリーズ中唯一ブロンソンの裸の上半身が拝めない映画だそうです。