「スーパー・マグナム」(1985)

 

ブロンソンの人気シリーズ第三弾を観ました。

 

 

監督はマイケル・ウィナー。予告編はコチラ

 

戦友チャーリーに会うため、忌まわしいニューヨークに戻って来たポール・カージー(チャールズ・ブロンソン)。チャーリーの家に着くと、チャーリーは近所のギャングに襲われ後で、すぐに絶命。そこに警察がやって来て誤認逮捕されてしまうポール。すぐに犯人じゃないと分かりますが、彼の過去を知る警察署長(エド・ローター)が釈放を条件にある提案をします。チャーリーが住んでいたアパート一帯はフレイカー率いるギャング団我が物顔で跋扈しているエリアで、住民たちが怯えながら暮らしています。そのギャング団をポールに一掃してほしいというわけです。チャーリーの復讐を果たしたいポールは二つ返事で引き受けて、チャーリーと同じアパートに住むベネット(マーティン・バルサム)の斡旋で、チャーリーの部屋で暮らし始めます。

 

そのエリアの治安を憂う官選弁護士キャサリン(デボラ・ラフィン)と知り合って仲良くなりながら、通信販売で"475ウィルディ・マグナム"を入手、着々と準備を進めて恋愛と復讐の両立を図るポール。ギャング団の一味を一人ずつ始末していくと、敵も報復を開始。隣人ロドリゲスの妻が強姦されて死亡、恋人になったキャサリンも爆殺されるわ、ベネットも仕事場を放火されて自身も重傷を負わされるわで、ポールが来たことでアパート住民の恐怖は倍増。さらに、フレイカーはギャングの援軍を増やして大軍を形成していきます。ポールはチャーリーが部屋に遺したブローニングM1919重機関銃を取り出して、妻を殺されたロドリゲスと反撃を開始。すると、他の住民たちも立ち上がって応戦。アパート周辺は全面戦争の場へと発展していき・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Death Wish 3」。1作目で妻を、2作目で娘を亡くして、悲しみの感情や生きる目的を失くしたポール・カージーに製作陣が新たな試練を与える3作目。友人に会うためにNYに行くと、いきなり死体でご対面。周囲の大切な人間が次々と死んでいく運命を悟っているので、劇中で戦友、隣人、恋人をコンスタントに亡くしても全く動じません。マイペースに軍備を整えて、(家賃がものすごく安いからなんでしょうが)マッドマックスの世界みたいな無法地帯から引っ越そうとしない住民たちと共に戦うのみ。略奪する物が少ない土地に居座るギャング団もたいした目的がなく、ブロンソンに恨みを買われたばっかりに無益な殺し合いを荒れ果てた住宅地で繰り広げます。予算節約のため、住宅地のシーンはロンドンで撮影したとのこと。製作費は1000万ドルで、ブロンソンのギャラは150万ドルとのこと。その分の仕事はキッチリとしていて、全力疾走するシーンもあって体調管理もバッチリのブロンソン。当時64才。

 

ギャング団退治をポールに丸投げした警察署長を演じるエド・ローターが、クライマックスの戦いでブロンソンを援護する展開はちょっとだけ胸アツ。渋いオッサンの2ショットです。撃ち合い爆発の量は、この手の映画としては及第点以上。逆モヒカンスタイルの悪玉フレイカーを仕留めるラストのバトルにもシンプルな爽快さがあります。移民や老人を引き連れたポールがギャング団と真っ向勝負をする戦いにはどこか清々しさを感じるものがあり、シリーズの中ではカルト化した人気を誇っているそうです。ギャング団のチンピラの1人として「ビルとテッドの大冒険」(1989)でブレイクしたアレックス・ウィンターが出演。前作のジミー・ペイジの音楽を一部流用しています。なお、撮影現場でパワハラ三昧のマイケル・ウィナーに嫌気が差して、本作を最後に監督・主演のタッグを解消。以降はJ・リー・トンプソンがメインパートナーになって、ブロンソンのアクション路線はもうしばらく続いていきます。