「ロサンゼルス」(1982)

 

ブロンソンの人気シリーズの第2作をWOWOWオンデマンドで観ました。初見。

 

 

第1作と第3作、第4作は観ていたようです。どれもストーリーは大体同じ。予告編はコチラ

 

タイトルを「ロサンゼルス」にしたのは、2年後のロス五輪ブームに便乗してだったのかなあ。1980年代から90年代前半まで一世を風靡したキャノンフィルムが「狼よさらば」シリーズの権利を買った今作から、1作目の煽情的な部分をエスカレートさせたB級マンネリ路線を突っ走っていきます。監督は前作に引き続いて、キャリアのほとんどがブロンソン物のマイケル・ウィナー。監督が近所付き合いをしていたジミー・ペイジに音楽を依頼したそうです。

 

前作で妻を殺害されて、凌辱された娘と新たな生活を始めるためにNYからLAに引っ越してきたポール・カージー。静かな田舎に引っ越すべきだと思うのですが、NYにヒケを取らないくらい治安の悪いLAでまたヒドイ目に遭います。休日に娘とLAでできた新しい恋人(ジル・アイアランド)買い物を楽しんでいたところをチンピラ集団のひったくりに遭ってサイフを盗まれます。財布にあったIDカードから住所を特定したチンピラがカージーの自宅を襲撃、お手伝いさんを凌辱して殺害、娘と帰ってきたカージーボコボコにされた上に娘は拉致されてしまいます。チンピラたちのアジトで凌辱された娘はスキを見て逃げ出しますが、建物から転落して悲惨な死を遂げます。前作以上に娘が可哀そうすぎます。あとは、警察への情報提供を拒んで、またしても自らの手でチンピラ集団たちに次々と復讐していくというあらすじです。

 

自警団らしき存在が悪人を退治しているパターンがNYのポール・カージー事件と酷似していると判断したLAの警察は、NYで事件を担当していたオチョア警部(ヴィンセント・ガーディニア)をLAに呼んでアドバイスを仰ぎます。襲われたポール・カージーがNYでも事件に遭った被害者であることから彼の復讐の線を疑ってもいいものですが、勘の悪いLAの警察は気づきません。わざわざやって来たオチョア警部はカージーの自警団活動を止めさせるべく尾行を続けますが、銃撃戦の巻き沿いを食ってヒドイ目に遭います。ブロンソンの周りの人たちはロクな目に遭いませんが、実生活で奥さんのジル・アイアランドだけは全くの無傷です。わりと簡単に復讐し終えたカージーが何事もなかったかのように日常生活にあっさりと戻っていって映画は終わりました。

 

喜んでるのか、困ってるのか、怒ってるのか分からないブロンソンの顔はやっぱり唯一無二ですね。ただそこにいるだけで、観てる側がブロンソンの感情を読み取るようになってきます。この映画で有名なのは無名時代のローレンス・フィッシュバーンがチンピラ軍団の一員で出演していること。嬉々とした表情で凌辱する役柄なので、当然のようにブロンソンに成敗されます。IMDBトリビアによると、同じくチンピラ役で出ていたケビン・メージャー・ハワードはこの映画の演技でキューブリックに見初められて「フルメタル・ジャケット」(1987)カメラマン役をゲットできたとのこと。前半の凌辱描写は胸糞悪く、作り手側がそれを見世物にしているのがミエミエです。昔はフツーにTVでもオンエアしてましたが、現在では地上波で放送することはもうないでしょう。