「ランボー/最後の戦場」(2008)

 

20年ぶりに作られた圧巻の第四弾を観ました。

 

 

監督がシルヴェスター・スタローン。予告編はコチラ

 

タイの奥地にあるジャングルで、道先案内人をしてひっそりと暮らしていたランボー(シルヴェスター・スタローン)の元にキリスト教系NGOの一団がやって来て、ミャンマーへの道案内を依頼。「(危険だから)家に帰れ」と断固拒否するランボーですが、女性メンバーのサラ(ジュリー・ベンツ)の人助けをしたい純粋な思いにほだされて、渋々引き受けることに。NGOが向かう先には少数民族カレン族を虐殺して略奪行為を繰り返しているミャンマー軍がいるため、非常にデンジャラス。道中で海賊に遭遇したので、全員殺されると知っているランボーは海賊を皆殺し。海賊の怖さを知らないNGOのリーダーは「殺さなくてもいいじゃないか」とランボーを非難。彼らを現地に無事送り届けたランボーはタイに戻ります。NGOは現地の村で献身的な医療活動を開始するも、ミャンマー軍が急襲して村人の大量虐殺を開始。全員が捕虜になってしまいます。

 

その知らせはランボーにも届きます。NGO救出のために召集された外人傭兵部隊を現地に送り届ける依頼を受けたランボーは一緒に村に同行したいと部隊に申し入れしますが、「お前は船の見張りをしてろ」と傭兵のリーダーに言われます。生意気な傭兵たちは、道先案内人の男が"ランボー"であることを知りません。想像以上の虐殺現場の惨状を目の当たりにしてドン引きする傭兵たち。そこにミャンマー軍がやって来て、生き残った村人を虐殺をする様子を怯えながら見ていたら、突然ランボーが現れてミャンマー軍を全滅させます。逃げようとする傭兵たちを一喝して、ランボーがリーダーとなってNGO一行救出の継続を決定。アジトに潜入してサラ救出に成功したランボーは、脱出に失敗して置いてけぼりに。ランボーを待っていた狙撃兵スクールボーイにサラを託して単身でミャンマー軍壊滅作戦を実行しているうちに、傭兵たちがミャンマー軍に捕らえられます。絶体絶命の危機を救ったのは、またもやランボー。傭兵たちも応戦しての壮絶な殺戮合戦の勝敗の行方は・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Rambo」。劇場公開時、今さらランボーなんて・・・と思いつつ、期待度薄めの状態で観てビックリした記憶があります。一人残らず虐殺するミャンマー軍の極悪度を過小評価しているNGOの面々。そんなミャンマー軍を一人で始末できるランボーの最強度を過小評価する傭兵の面々。2つの過小評価が話を面白くしています。特に、ミャンマー軍の極悪度は私も過小評価していて、地雷を田んぼにバラまいてカレン族の庶民たちを走らせて楽しんだり、カレン族の集落襲撃時には女子供問わずに皆殺しにしたり、容赦なさがハンパないです。ここでの虐殺描写は映画史上屈指の酷さ(映画全編で466人が死亡)があります。やられ放題の状況下でもうダメかもと皆が思った瞬間にランボーが背後からヌーッと出てくるシーンのカッコ良さたるや。そこからの無双ぶりで一瞬だけスカッとさせてくれますが、戦いの後の虚しさも大きく感じます。暴力を暴力で制することを批判した映画で暴力に興奮してしまう厄介な代物です。

 

最初はランボーをナメていた傭兵たちのキャラが個性的な点も良いです。ランボーの凄さを知ってからは素直になって、ランボーと共に戦いに殉じていく終盤の展開はアツイです。前3作の映像を使った過去がフラッシュバックするシーンを中盤で挿入するサービスコーナーがあったり、全てが終わった後、故郷のアリゾナに戻るエンディングにも余韻があって、ランボーシリーズとして最高のフィナーレになったと思ったら、またその後のランボーを作ってしまうところがスタローンらしくて、キライじゃないです。一番インパクトがあったのは、今回のラスボスであるミャンマー軍のティント大佐。ティント大佐役の俳優さん(マウン・マウン・キン)は、実際にミャンマー軍と長年戦っていた反乱軍側の人で、身の危険を承知で敵側のラスボスを演じたとのこと。1日あたり400ドルのギャラだったそうです。その後、家族は投獄されて、さらにしばらくして自身もミャンマー政府に逮捕。5年前くらいは獄中にいたという記事が出ていましたが、現在はどうしているのでしょうか?現実世界では救出してくれるランボーのような存在はいません。。。