「ステイン・アライブ」(1983)

 

「サタデー・ナイト・フィーバー」の続編を観ました。初見。

 

 

監督はシルヴェスター・スタローン。予告編はコチラ

 

NYブルックリンでディスコ・キングだったトニー・マネロ(ジョン・トラボルタ)は、マンハッタンでダンス教室の先生クラブのウェイターをして生活費を稼ぎながら、ブロードウェイでの成功を夢見ています。同じダンス教室の講師仲間で、ダンサーと歌手を目指すジャッキー(シンシア・ローズ)が現在の彼女。トニーのシェイプアップされた肉体はプロそのものですが、スターになるにはほど遠い状況で、オーディションは落っこちてばかり。ある日、ジャッキーがバックダンサーを務めるブロードウェイの舞台に出ていた主演ダンサーのローラ(フィノラ・ヒューズ)を見て一目惚れ。チャラい性格だけは昔から変わらないトニーは、強引に口説いてデートに誘って、ローラと一夜を共にします

 

しばらくして、ローラが主演する新作ミュージカルのバックダンサー役をゲット。自分を本気で愛してくれているジャッキーとはテキトーに付き合いながら、ローラに肩入れしていくトニー。でも、ローラの方はトニーとの関係を遊びだとしか思っておらず、冷たくあしらわれます。別れる決心をした時にようやく気づいたのが、かけがいのないジャッキーの存在。そんな私生活と裏腹に、新作ミュージカルの舞台で主役ダンサー(ローラの相手役)の代役になるチャンスを得たトニー。舞台を成功させたいトニーはジャッキーに助けを求めて、ダンスに磨きをかけていきます。そして、いよいよ、本番当日。情熱むき出しでステージに挑むトニーに釣られるようにローラも激しいダンスを披露。二人のハーモニーは最高潮に達して、初演の夜は大成功に終わりましたとさ・・・というのが大まかなあらすじ。

 

原題は「Staying Alive」。ヒットした前作でも使われたビージーズの曲名でもあります。ディスコの兄ちゃんだったトニーが、売れないプロのダンサーをしている日常と、千載一遇のチャンスを掴んで悪戦苦闘する様子を描いたストーリー。前作から6年経って、何度も挫折を経験しているからか、純真な主人公像ではありません。一緒に夢を見る女性(ジャッキー)との等身大の恋愛が身の丈に合ってると思いつつも、すでに高みに立っている女性(ローラ)との打算的な恋愛に活路を見出そうとするトニーの行動はリアル。結局、不釣り合いな女性をあきらめて、大切な女性を選択。主役の座も運良くモノにして成功する展開は都合良すぎ。バックステージ物をスポ根物のように描くスタローンの演出は凡庸で、舞台のフィニッシュシーンでは必殺技を繰り出すかのようなスローモーションでビシッと決めてますが、そもそもブロードウェイの演目自体が面白いミュージカルには全く感じません。

 

トラボルタは鍛え抜かれたボディを披露。ダサさとワイルドさが共存する2枚目としてピークを迎えていた頃で、まだ20代だったんですね。オープニングのオーディション場面で流れるフランク・スタローンのダサかっこいい「Far From Over」の曲調との相性がバツグン。トニーを健気に愛して、自身も歌にダンスに一生懸命のジャッキーを演じているのはシンシア・ローズ。1980年代のダンス系映画の常連さんで、健康的な色気があります。彼女の恋のライバルとなるローラ役のフィノラ・ヒューズがお高くとまったセレブスターには見えず、存在感が少し弱いかな。主要登場人物がこの三人のみというのは、なんとも地味。他には、トニーのお母さんは前作に引き続いての出演。初演の成功を見届けて、客席で祝福します。それと、ジャッキーの歌手活動のパートナー役で弟フランク・スタローンが出演。ステージ姿も披露して、ビージーズ以上に映画音楽を提供しています。あと、監督スタローンもトニーと道端ですれ違う人としてカメオ出演。酷評されているほど悪い作品ではありません。