「ランボー ラスト・ブラッド」(2019)

 

ランボー最新作をTOHOシネマズ新宿で観てきました。

 

 

今年74才ですからね。元気にアクションやってるだけでありがたいと思わないといけません。出来なんかどうでもいいんです。2作目以降はPTSD患者が見続けている悪夢だと思えば、全部愛おしくなります。

 

前作で実家に戻ってきたランボー。10年後、メキシコ系の婆さん孫の可愛い女子高生と3人で暮らしています。母親はいません。女子高生の父親がランボーというわけではなさそうですが、一家の大黒柱として2人の面倒を見ているようです。いきなり説明不足です。一見、穏やかに生活してそうですが、大切な自宅の地下に穴を掘り続けてたりもしていて、自傷行為を続けているかのようで、切ないです。ある日、母娘を捨ててメキシコに行ってしまった父親に娘が無断で会いに行くことで、今回の面倒が起きます。女子高生がメキシコのチンピラ兄弟に売春婦として売り飛ばされてしまって、怒ったランボーが単身メキシコ入りして、大暴れするというお話です。必要のないキャラが多くて、筋運びもザツで、悲しい出来事も起きて、乱暴な展開のまま、最後は実家に悪者をおびき寄せての、大人の「ホーム・アローン」(1990)というべき大バトルが開催されます。自宅を戦場にして、幸せな思い出も何もかも破壊しようとするランボーの悲しみは相当のものでしょう。

 

自ら乗り込んでくるラスボスのチンピラの兄貴は、ジョン・スノウをいかつくしたような風貌でした。監督のエイドリアン・グランバーグは「ナルコス」(2015-)の第二班監督をやっていたことが買われたんでしょうか。演出は可もなく不可もなくといった印象。ただし、怒涛の大殺戮シーンが暗くて見づらいのは減点ものです。乗馬シーンが多く、西部劇のニュアンスを入れていて、ジョン・ウェイン的な神話性を出そうとしていたのかもしれません。誘拐された娘を探しに行くということだけなら、「捜索者」(1956)と同じだし。

 

いずれにせよ、真人間の70才のパフォーマンスとしては映画史上最強だと思いますし、実際にやりかねないリアリティを肉体で表現しているスタローンは素晴らしかったです。IMDBトリビアによると、北極圏の特殊部隊で暴れるランボー、小さな町で覚醒剤ギャング軍団と闘うランボー、という案もあったそうです。それと、もともと考えていたストーリーの一部は、スタローン脚本の「バトルフロント」(2013)に一部流用されたとのこと。また、さまざまなブービートラップは、ベトナム戦争でベトコンが米軍相手に仕掛けた戦法を真似ているようです。