しばらく放置していたシーズン5をNetflixで一気見しました。
濃密な人物描写を重ねながら、少しずつ「ブレイキング・バッド」(2008-2013)開始時の状況に近づいてきています。
シーズン4で登場したサラマンカファミリーのラロがガスの行く手を阻む存在として立ちはだかります。ラロにバレないように麻薬製造工場の建設はしばらく中断。知略をめぐらせるガスと対照的に野生の勘と経験値で危機を察知して難局を切り抜けていくラロのしぶとさが堪能できるシーズンでした。ガスはナチョを内通者にしてラロの動向を探って、マイクの働きにより刑務所に送ることに成功しますが、保釈となってメキシコに逃亡、暗殺も未遂に終わります。足を洗いたいのに逆にラロの信頼が厚くなったナチョは、最後にラロ暗殺の手助けをして四面楚歌状態になって終わりました。
ジミーはソウル・グッドマンとしての弁護士活動を開始。街のチンピラに半額セールのプロモーションを展開して大量顧客をゲットする順調な滑り出しでしたが、ラロに目をつけられて弁護を引き受けざるを得ない状況に追い込まれます。キムと共謀したときのジミーらしい悪知恵を働かせた弁護活動は面白かったですが、メキシコ麻薬カルテルの世界にどっぷりとハマっていきます。ジミーが道に捨てたアイスに大量の蟻が群がるシーンがあり、悪が次第に忍び寄って群がってくるジミー自身の状況を象徴するいい演出です。ラロの保釈金(700万ドル)の運び屋をやらされて命の危険にさらされる第8話はシーズン随一のみどころです。
マイクはシーズン終盤でようやく反発していたガスの腹心として生きる決意をしたようです。酔っぱらっていてもチンピラをなぎ倒すパワーは健在で、第8話ではジミーの命を助ける存在となります。ガスにとってのシーズン5はラロの横暴にひたすら耐えるターンとなっており、暗闇の中で怖い形相で立ちすくすショットが多かったです。また、ラロの手下を弁護するジミーと対峙する捜査チームとしてハンクがこのドラマシリーズに初登場。
キムは大手銀行顧客との金儲け仕事に疑問を感じており、貧しい市民のための無料裁判を引き受け始めます。ジミーの力を借りて自分の大事な顧客を困らせようとしますが、エスカレートしたジミーがキムの裏をかくような突飛な行動をするので、大げんかとなります。行き詰った二人の関係に終止符を打ちそうな言葉を言い出すタイミングで、逆にジミーにプロポーズをするサプライズがあり、いきなり結婚したのには驚きました。結局、大手事務所を退職、悪の道に踏み入れ始めたジミーと共に行動することになっていきます。
ジミーとマイクがどうなるのかは決まってるので、「ブレイキング・バッド」に出てこないラロとキムとナチョがシーズン6でどうなってしまうのか、来年が待ち遠しいです。キムが悲しい末路を迎えたら、かなり落ち込むと思う。