『男はつらいよ 拝啓車寅次郎様』

1994年日本映画 101分
原作・監督・脚本:山田洋次
脚本:朝間義隆
企画:小林俊一 製作:櫻井洋三
プロデューサー:野村芳樹、深澤宏
音楽:山本直純、山本純ノ介
美術:出川三男、横山豊
撮影監督:高羽哲夫
撮影:池谷秀行 照明:野田正博 編集:石井巌
監督助手:阿部勉 録音:鈴木功
調音:松本隆 スチール:金田正
進行:副田稔 製作担当:峰順一
装置:秋元重矩 装飾:露木幸次
美粧:宮沢兼子 衣裳:松竹衣裳
現像:東京現像所 PANAVISION
ファッションアドバイザー:ピーコ
ステディカムオペレーター:佐光朗
撮影助手:近森真史 録音助手:原田真一
照明助手:青本隆司 編集助手:石島一秀
美術助手:土志田佳世
協力:滋賀県、長浜市他湖北十二町
撮影協力:上越市、全国特定郵便局長会、柴又新明会
特別協力:郵政省貯金局
主題歌(クレジットなし):「男はつらいよ」作詩:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清
出演:
渥美清(車寅次郎)
倍賞千恵子(諏訪さくら)
吉岡秀隆(諏訪満男)
かたせ梨乃(宮典子)
牧瀬里穂(信夫の妹・川井菜穂)
小林幸子(演歌歌手・小林さち子)
下條正巳(車竜造)
三﨑千恵子(車つね)
前田吟(諏訪博)
太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎)
佐藤蛾次郎(源吉)
関敬六(ポンシュウ)
すまけい(満男の会社の専務・向井)
山田雅人(満男の大学の先輩・川井信夫)、八木昌子(菜穂の母・川井千鶴)、河原崎長一郎(菜穂の父・川井晋)、岩下浩(柔道の先生)、平泉成(典子の夫・宮幸之助)、笠井一彦(印刷工・葛西)、マキノ佐代子(朝日印刷職員・ゆかり)、北山雅康(くるまや店員・北上三平)、鈴木美恵(同・木村佳代)、平田京子(江戸屋)、篠原靖治、神戸浩(民宿栄次郎の従業員)、関谷次朗(小林さち子のマネージャー)、橋本淳、渡部夏樹(テキヤ仲間・サブ)、光映子(行商のおばちゃん)、谷よしの(民宿栄次郎のおばあちゃん)
STORY
地方都市の繁華街で歌う演歌歌手の応援をした寅は、ふらりと柴又へ帰って来た。甥の満男は就職して半年が過ぎ、セールスマン仕事にすっかり嫌気がさしていたが、そんな彼を寅はやんわり諭す。ある日、長浜市で家業を継ぐ大学時代の先輩・川井信夫から誘われ、満男は休日を利用して地元のお祭りを観に行った。そこで出会った信夫の妹・菜穂に町の案内をしてもらい、2人は急速に打ち解け合っていく。一方、寅も同じ長浜に来ていて、大きな撮影機材を抱えた宮典子がケガをしたのを助けた。年に一度撮影旅行に出かけるのを楽しみにしている典子と寅は周囲から見ると夫婦のように親しくなるが、ケガを聞いて典子の夫・幸之助が迎えに駆けつけ、典子は突然帰ることになった。何も言わず、送り出す寅。一方、地元の曳山祭りたけなわの夜、菜穂と二人きりになり、彼女に何げなく恋人はいるかどうか聞く。そんな満男の姿を見かけた寅は、満男にひと言声をかけて励ました後、すうっと人混みの中に消えていった。その晩、信夫から「よかったら妹をもらってくれないか」と言われ、驚きながらもまんざらでもない満男。だが、東京へ戻ってきた後、それが信夫のひとりよがりだったことを知らされがっくりし、やはり柴又に戻ってきていた寅と恋をめぐって語り合うことに。年が明け、もう会えないと思っていた菜穂がひょっこり満男の元を訪ねてきて、満男は大喜びする。そんな満男を知ってか知らずか、遠くまた旅に出た寅であった。【「KINENOTE」より】
シリーズ第47作。
前作から実に1年5ヶ月ぶりの鑑賞。
期せずしてピーコさんの追悼となってしまった。
今回も寅さんと満男、双方の恋が描かれるが、U-NEXTのサムネイル画面に小林幸子さんが映っているからてっきりマドンナかと思っていたら、全然関係なかった。笑
ちなみにさち子がヒットしたと言っていた「おもいで酒」は小林幸子さんが1976年に発表した初めてのヒット曲なんだそうで。
その後、マドンナ・かたせ梨乃さんのご登場。
『マディソン郡の橋』をモチーフにしているとのことで、かたせさん扮する典子には夫と娘がいる。寅さんはどうやら夫との間にすきま風が吹き、どこか寂しげな典子と親しくなるも、夫が怪我をした典子を迎えに東京からやってくる。平泉成さん、若い!
一方、靴のメーカーに就職した満男だが、辞めたそうにしているのを専務に見抜かれる始末。
柴又に帰ってきていた寅さんから鉛筆を売ってみろと言われてもなすすべもなし。ここで寅さんがお手本を見せるわけだけど、これぞまさに最近ビジネスの世界でも重要視されているストーリーのいい例ですな。
その満男が大学時代の先輩・信夫に頼まれて長浜市に行き、そこで出会うのが牧瀬里穂さん扮する菜穂(牧瀬さんの関西弁がなかなか新鮮)。最初は昼寝していて寝顔を見られたことに憤慨しつつも、すぐに満男と打ち解ける菜穂。
ところが、兄が勝手に満男との結婚話を進めようとしていたことを知ってこれまた菜穂は激怒。
菜穂に振られて「くたびれた」などと強がってみせる満男に寅さんが「くたびれたなんていうのはな、何十遍も失恋した男の言う言葉なんだよ。お前、まだ若いじゃないか。燃えるような恋をしろ。大声出して、のたうち回るような、恥ずかしくて死んじゃいたいような恋をするんだよ」と説教するシーンは実によかった。これはもう寅さんだからこそ言える台詞だろう。
嗚呼、次はいよいよ渥美清さんの遺作となった第48作。今年は阪神淡路大震災から30年でもあるし、それまでには観ておきたい。