『男はつらいよ 寅次郎の縁談』(山田洋次監督) | 新・法水堂

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年間300本以上の演劇作品を観る観劇人です。ネタバレご容赦。

『男はつらいよ 寅次郎の縁談』


1993年日本映画 104分

原作・監督・脚本:山田洋次

脚本:朝間義隆 製作:櫻井洋三

プロデューサー:丸山富之、島津清

企画:小林俊一 撮影監督:高羽哲夫

音楽:山本直純 美術:出川三男、横山豊

撮影:池谷秀行 照明:野田正博 編集:石井巌

録音:鈴木功 調音:松本隆司

スチール:金田正 進行:副田稔

製作担当:峰順一

装置:森篤信 装飾:露木幸次 美粧:宮沢兼子

衣裳:松竹衣裳 振付:灰原明彦

現像:東京現像所 Panavision

監督助手:阿部勉 撮影助手:近森真史

録音助手:原田真一 照明助手:青本隆司

編集助手:石島一秀 美術助手:加藤史子

協力:香川県

撮影協力:栃木県烏山町、全日空、柴又新明会

主題歌(クレジットなし):「男はつらいよ」作詩:星野哲郎、作曲:山本直純、唄:渥美清

 

出演:

渥美清(車寅次郎)

倍賞千恵子(諏訪さくら)

吉岡秀隆(諏訪満男)

松坂慶子(坂出葉子)

島田正吾(葉子の父・田宮善右衛門)

下條正巳(車竜造)

三崎千恵子[三﨑千恵子](車つね)

前田吟(諏訪博)

城山美佳子(看護婦・上田亜矢)

光本幸子(御前様の娘・冬子)

太宰久雄(朝日印刷社長・桂梅太郎)

佐藤蛾次郎(源吉)

関敬六(ポンシュウ)

すまけい(花嫁の父)

西田敏行[クレジットなし](浜崎伝助)

笹野高史(駐在)、桜井センリ(和尚)、松金よね子(千代子)、神戸浩(連絡船係・誠)、小形雄二(琴島診療所の医師)、関時男(寝台特急の車掌)、人見明(寝台特急の客)、笠井一彦(印刷工・葛西)、マキノ佐代子(朝日印刷職員・ゆかり)、北山雅康(くるまや店員・北上三平)、古本新之輔[現・古本新乃輔](満男の友人・吉田)、白鳥勇人(同・渡辺)、いとう可奈子、川井みどり(花嫁の母)、鈴木美恵(新店員・木村佳代)、露木幸次[クレジットなし](備後屋)


STORY

来年大学を卒業し、就職しなければならない満男は、不況の追い風を受けて採用試験に苦戦していた。さくらと博は苛立つ満男をハラハラしながら見守るだけ。そのうち、自分自身にも嫌気がさした満男は旅に出てしまうのだった。ひさしぶりに葛飾に帰った寅は、事情を聞いて満男を連れ戻すことを安請け合い。さっそく、瀬戸内海の小島・琴島へ出掛けた。満男を見つけ出し、説教してみたものの、当の本人は看護婦の亜矢に恋してしまい、帰る気がないらしい。寅はその晩、とりあえず、満男の居候先に泊まった。そこに年老いた当主とその娘、葉子がいた。葉子は絶世の美女で、神戸では料理屋もやっていたという。しかし、不況のために借金を作ってしまい、それを返すために働き過ぎて体を壊し、この島に帰って来たのだった。疲れ切った様子の葉子を、寅は一生懸命勇気づける。葉子は寅の優しさに次第に惹かれていった。ある日、葉子は満男に寅への気持ちを伝えた。満男自身もまた亜矢から告白され、尻ごみしてしまう。そして明け方、寅は洋子に置き手紙を残し、満男も就職するために東京へ帰るのだった。【「KINENOTE」より】


シリーズ第46作。


シリーズも残りわずか。

『学校』とともにあの栄えある日本アカデミー賞最優秀脚本賞を受賞している本作だけど、正直なところ、それほどいい出来映えではない。一応、寅さんにもいい仲になる相手は出てくるが、「縁談」というサブタイトルもよく分からない。

シリーズ後期は満男がメインになることも多いけど、就職活動がうまく行かないから親に当たり、旅に出るあたり、単なるわがまま坊っちゃんだし、琴島では泉という存在がありながら、亜矢とキスまでしてしまうし、寅さんと違って応援する気になれないのよな。


甥の面倒を見る伯父さんとしての寅さんは本作でも健在。中では、どうやって満男を連れ戻すかと聞かれた寅さんが、「満男。伯父さんの顔をよーく見るんだぞ。分かるな? これが一生就職しなかった人間の成れの果てだ。こうなりたいか?」と言ってやると答えるのが可笑しかった。

それにしても寅さん、「去るべきか留まるべきかそれが問題だ」なんてシェイクスピアを引用するあたり、さしづめインテリだな?笑


本作には『釣りバカ日誌』の浜ちゃんこと浜崎伝助が雨の中、くるまやの店の前を通るシーンがあるが、残念ながら寅さんとの絡みはなし。