『ミセスフィクションズのファッションウィーク』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『ミセスフィクションズのファッションウィーク』

Mrs. fictions no FASHION WEEK


2024年8月8日(木)〜12日(月・祝)
駅前劇場

舞台美術:三井優子 照明:黒太剛亮(黒猿)

音響:斎藤裕喜、河相朱音(Québec)
舞台監督:水澤桃花(箱馬研究所)

宣伝美術:西日

当日運営:宮野風紗音(かるがも団地)

舞台写真:赤坂久美

映像撮影:ニュービデオシステム

宣伝写真:山岸和人

宣伝ヘアメイク:海道梨乃

フライヤーモデル:大宮二郎(コンプソンズ)、根本珠里、古屋敷悠、渡辺実希、桑田佳澄

制作・主催:Mrs.fictions


なかないで、毒きのこちゃん

「ハオちゃんは、デートです。」


作・演出:鳥皮ささみ(なかないで、毒きのこちゃん)
出演:
小関えりか(長谷川ハオちゃん)
岩原正典(西くん)
武田佳奈(乙女心)
桑田佳澄(子供心)
ワタナベミノリ(老婆心)
土田有未[ナカゴー](探究心)
みしゃむーそ[なかないで、毒きのこちゃん](羞恥心)
西野優希[東京マハロ](下心)

STORY
思いを寄せる西くんから映画に誘われたハオちゃん。デート当日の朝、ハオちゃんの中の乙女心、子供心、老婆心、探究心、羞恥心、下心がそれぞれの主張をしてなかなか服が選べないまま時間が過ぎていく。

日本のラジオ
「浴室にて改」

作・演出:屋代秀樹(日本のラジオ)

出演:

渡辺実希(甲 旅人。棒で叩くのが得意)

古屋敷悠(乙 旅人。棒で叩くのは苦手)

永田佑衣(松 市民。酔っている)

日野あかり[日本のラジオ](竹 市民。酔っていない)

米田ひかり[KNOT](梅 市民。市役所の方からきた)

声の出演:安東信助[日本のラジオ]、沈ゆうこ[日本のラジオ]、田中渚[日本のラジオ]※日替わりレア


STORY

ほんとうの幸せを求めて旅をしている夫婦は、とある市民に一晩の宿を提供してもらうことになる。酔っている市民が風呂を用意している間、棒で人間を叩くことが得意な妻は叩かないで済むうちにお暇しようと持ちかけ、夫と口論になる。そのうち、市役所の方からきた市民が上がりこみ、更にはこの家の家主を名乗る酔っていない市民も現れる。


Mrs.fictions

「およそ一兆度の恋人たちへ」

(「ウル◯ラマンP◯ADA(仮)」を改題)


作・演出:中嶋康太(Mrs.fictions)

切り絵デザイン:津和野涼(アガリスクエンターテイメント)

衣装協力:熊谷有芳(アガリスクエンターテイメント)、浅利ねこ


出演:

大宮二郎[コンプソンズ](セイジ(政治))

根本珠里(U子)

齋藤碧(U子の友人・ウー/U子の上司2/マドカの母)

紺谷凪乃(ヒロイン・マドカ)

岡野康弘[Mrs.fictions](マドカの上司・営業部長/U子の上司1・円谷プロ企画部長)

今村圭佑[クレジットなし](ウルトラマンPRADA)


STORY

2011年。就職活動中の大学生・U子はウルトラマンマニアの恋人セイジのため、円谷プロの就職試験を受け、見事に入社。若い女性をターゲットにPRADAと提携した『ウルトラマンPRADA』を企画し、セイジも脚本として参加することになるが……。


「ファッション」をテーマにMrs.fictions、なかないで、毒きのこちゃん、日本のラジオの3団体が短篇を競作。

いずれも『ショート・シアター・フェス2023』で上演された、あるいはされるはずだった作品の改訂版(Mrs.fictionsは作品内と同じく2011年にリーディング公演として初演された作品)。詳しい経緯については検索されたし。


下手奥にカーテン。そこからハの字型に服がずらりと陳列され、右側には奥にも服の列。上部に靴が置いてあるエリアも。

各篇の最初に岡野さんと舞台監督の水澤桃花さんがファッションショー風に登場し、上着を脱いで背中を見せると団体名と作品名が書いてあるという趣向。


最初の「ハオちゃんは、デートです。」はいわばなかないで、毒きのこちゃん版『インサイド・ヘッド』(もしくは『脳内ポイズンベリー』)。もっともこちらは思春期の葛藤などではなく、デートにどういう服装で行ったらいいかを悩むというごくごく可愛らしいもの。ハオちゃんの6つの内面を演じるキャスト陣が個性豊かで楽しめた。


続く日本のラジオ「浴室にて改」は実に日本のラジオらしい雰囲気の作品。どことなく民話めいていて、旅人の夫婦(後で知ったけど、渡辺実希さんと古屋敷悠さんは実のご夫婦なんですな)も怪しげなら、彼らを迎え入れる市民も増殖するなど輪をかけて正体不明。

内容自体はどのあたりが「ファッション」かは不明だったが、衣裳はいちばんスタイリッシュだった。


トリのMrs.fictions「およそ一兆度の恋人たちへ」は原題からも分かる通りのウルトラマンもの(さすがにクレームを入れられるとマズイので改題したのかな。笑)。近年は映画『シン・ウルトラマン』が公開されたり、TVシリーズも毎年のように製作されているが、2011年当時は人気低迷期だったそうで。

そんな中、ウルトラマンマニアの恋人のために円谷プロに就職し、新しいウルトラマンの企画を出すU子。ところが、劇中の『ウルトラマンPRADA』は「こんなウルトラマンは嫌だ」を地で行くような作品で、子供が買えるようなおもちゃも作れない。笑

純粋に作品世界を楽しみたいファンの思いとは裏腹にこうした特撮番組には製作プロダクション、芸能事務所、放送局、おもちゃメーカーと様々な大人たちの思惑が渦巻いているのよなぁ。


『ガチゲキ!!復活前年祭』と同じく、こちらも三種三様の魅力が感じられる企画だった。


上演時間2時間10分(なか45分、日本40分、Mrs.45分)。


「おわりの会」はMrs.fictionsが仕切るアフタートークということで、鳥皮ささみさんをゲストにMrs.fictionsの今村圭佑さん、中嶋康太さん、岡野康弘さんが登壇。後半は鳥皮さんが突如、脚本を書いてきたと言い出し、即興で演じることに。自由やなぁ。