盛夏火 ときわ座演劇
『熱病夢見舞い』
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2024年8月9日(金)〜12日(月・祝)
ときわ座
脚本・演出:金内健樹
脚本補佐:三葉虫マーチ、中村ナツ子
演出補佐:新山志保、増山紗弓、相根優貴、小野力ズマ、三葉虫マーチ
タイトル原案:増山紗弓
アートワーク:金内健樹
平面図作成:三葉虫マーチ
Adobe llustrator Tech:中村ナツ子
編曲・選曲:金内健樹 撮影 : 杉浦仁輝
Air Conditioning Coordinator:福島健太
車両協力:カネタガク 超監督:金内健樹
出演:
小野カズマ[劇団「地蔵中毒」](ライター・拓海学)
相根優貴(編集者・想葉酉夕)
金内健樹(アマチュア劇作家・凪津間眼月)
新山志保(アマチュア俳優・常盤七々ノ花)
増山紗弓(巫女の末裔・失河紗矢)
三葉虫マーチ[劇団「地蔵中毒」](ソフォンとも子)
声の出演:金田陸(オカルトライター・穂村VTR)
STORY
高田馬場ときわ座の年内での閉館が決まった2024年盛夏、盆前。新興カルチャー系WEBメディア「マチルダ」の演劇部門「ステージマチルダ」が主催した、ときわ座の歴史展示イベント「ときわ座を偲ぶ会」が、まさにここ、ときわ座で開かれた。ときわ座に薄〜く縁のある関係者たちと、その歴史を振り返る中、奇妙な事象が頻発する。果たして、59年前にこの家で発生した未解決密室失踪事件との関係はあるのか?【SNS公式アカウントより】
これまで団地などで演劇公演を行ってきた盛夏火による新作公演。
本作は「ときわ座公演」ではなく「ときわ座演劇」と銘打たれているが、その意味合いがよく分かる公演だった。
高田馬場にあるときわ座というのは、元々は花屋だった建物を現オーナーの歌川恵子さん(松森モヘーさんの作品でもおなじみ)がイベントスペースとして改築したもの。残念ながら、今年いっぱいでの閉館が決まっており、本作は「ときわ座を偲ぶ会」という擬似イベントを通して虚実織り交ぜてときわ座と青柳家の歴史を振り返っていく。
まさに今、ここでしか出来ない、ここでしか観られないという点において実に演劇的。途中、建物の2階、3階に上がっていくくだりがあり、そこでは観客から希望者2名(ちなみにこの日はコンプソンズの金子鈴幸さんだった。笑)が同行し、1階の客席ではその様子をパソコンの画面で見るという趣向もあり(ちなみに客席には金子修介監督の姿も)。
謎解き要素もきちんとこの建物を踏まえたものになっていて、世界規模の話にまで風呂敷を広げるあたりも面白い。最後は観客も混じっての盆踊りで締めくくり。再演不可能なこの作品の上演に立ち会えて実に幸運であった。
キャストではいちばん台詞回しが怪しかったのが金内健樹さんで、後で脚本・演出なんかい!とツッこんだのは言うまでもない。あと、壁に貼られた年表を読んでいく相根優貴さんも危なっかしかったなぁ。堂々と読み間違えて他の方から指摘されても気づいていなかったし。ま、そういうのもイベントでの出来事としてみれば、ままあることなのでさほど気にはならなかったけど。
その点、小野カズマさんは安定感があり、本当のイベントのような感覚を味あわせてくれたし、花屋と思って墓参りの花を買いに来たソフォンとも子役の三葉虫マーチさんはなかなかいい感じだった。