新国立劇場
『デカローグ』プログラムD
原作:クシシュトフ・キェシロフスキ、クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一 上演台本:須貝英
演出:上村聡史
美術:針生康 映像:栗山聡之 照明:松本大介 音楽:阿部海太郎 音響:加藤温
衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:西祐子、中嶋彩乃
舞台監督:濵野貴彦、清水浩志
総合舞台監督:齋藤英明
演出部:大平扶紀子、杉田健介、小玉珠成、三上洋介、小野寺栞、伊藤春樹
衣裳部:山中麻耶、天野文子、安河内瞳、山中由佳
ヘアメイク:前田亜耶
映像操作:オングストローム 安里奈保見、小池夏海
音響助手:浅野直斗
ヘアメイク助手:田中順子 、岩田知世
稽古場代役&プロンプ:村上佳、キクチカンキ
制作助手:林弥生、小川真理
制作:永田聖子、中柄毅志、伊澤雅子
プロデューサー:茂木令子、三崎力
デカローグ7「ある告白に関する物語」
出演:
吉田美月喜(マイカ)
三井絢[交互出演・安田世理](アニャ)
章平(ヴォイテク)
津田真澄(マイカの母エヴァ)
大滝寛(マイカの父ステファン)
田中穂先(人形劇の俳優1/ヴォイテクの友人)
堀元宗一朗(パスポート管理局の職員/人形劇の俳優3)
笹野美由紀(人形劇の俳優3/駅員)
伊海実紗(人形劇の俳優4/クローク係)
亀田佳明(男(松葉杖の男の姿をしている))
STORY
両親と同居している22歳のマイカは、最終学期中に大学を退学。彼女は6歳の妹アニャを連れてカナダに逃れたいと考えていた。実はアニャはマイカが16歳の時に生んだ子供で父親はマイカが通っていた学校の国語教師ヴォイテクであった。その学校の校長であったマイカの母エヴァは、その事実が醜聞になることを恐れ、アニャを自分の娘としていたのだった…。【公式サイトより】
デカローグ8「ある過去に関する物語」
出演:
高田聖子(ゾフィア)
岡本玲(エルジュビェタ)
大滝寛(仕立屋/切手コレクター)
田中穂先(公園で運動する人たち/ゼミの学生2/一九四三年の市民/住人(声のみ)/ゴム人間/仕立屋の従業員たち)章平(公園で運動する人たち/大学の事務員/酔っ払い/一九四三年の市民/娼婦の客(声のみ))
堀元宗一朗(公園で運動する人たち/ゼミの学生3/管理人/仕立屋の従業員たち)
笹野美由紀(公園で運動する人たち/ゼミの学生4/娼婦)伊海実紗(公園で運動する人たち/ゼミの学生1/一九四三年の市民/花屋)
亀田佳明(男(ゼミの学生、一九四三年の市民、仕立屋の従業員の姿をしている))
STORY
スポーツ好きの女性大学教授ゾフィアは、隣人の切手コレクターと親しくしている。ある日、勤務先の大学に、ゾフィアの著作の英訳者である女性大学教員エルジュビェタが来訪する。ゾフィアの倫理学講義を聴講した彼女は、議論する為の倫理的問題提起の題材として第二次大戦中にユダヤ人の少女に起こった実話を語り始めるが、その内容は二人の過去に言及したものであった......。【公式サイトより】
最終ターンに入って今更だけど、『デカローグ』を完全舞台化するという今回の企画、なかなかすごいな。新国立劇場だからこそ出来る企画であることは間違いない。
デカローグ7は自分が産んだ娘を自分の母親から取り戻そうとする女性の物語。エヴァがマイカの娘アニャを自分の娘として育てることにしたのは世間体もあってのことかも知れないが、その実、自分が産めなかったもう一人の娘と思い込むようになり、授乳しようとしていたことが明らかになって途端にホラー味が増す。
最後の駅のシーンまで惹きつけられた。
デカローグ8は「隣人に関して偽証してはならない」をモチーフにポーランドの歴史にも深く関わってくる物語。日本でもそうだけど、戦争中、何があったのかを語りたがらない人はたくさんいて、そのことがなおさら起きた出来事の深刻さを物語る。
亀田佳明さんが客席通路を通るという演出もあったけど、照明が当てられていたものの、台詞を発するわけではないので、前方の列の人たちは気づいてなかっただろうな。笑
冒頭の「SIN」と書かれた壁や最後の床に置かれた花など、演出面では上村さんの方が好みだな。
キャストではデカローグ7の吉田美月喜さんがとともよかった。チラシとかも見ていなかったので、最初、岡本玲さんかと思っていたのは秘密。笑
話題の映画『ルックバック』も観に行かねば。
ちなみに本日は新国立劇場演劇研修所出身の笹野美由紀さんのお誕生日。ひゅうひゅう。
上演時間2時間20分(「デカローグ7」55分、休憩21分、「デカローグ8」1時間4分)。