新国立劇場
『デカローグ』プログラムA
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原作:クシシュトフ・キェシロフスキ、クシシュトフ・ピェシェヴィチ
翻訳:久山宏一 上演台本:須貝英
演出:小川絵梨子
美術:針生康 映像:栗山聡之 照明:松本大介 音楽:阿部海太郎 音響:加藤温
衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:長町多寿子
舞台監督:濵野貴彦、清水浩志
総合舞台監督:齋藤英明
演出部:大平扶紀子、杉田健介、小玉珠成、三上洋介、小野寺栞、伊藤春樹
衣裳部:山中麻耶、天野文子、安河内瞳、山中由佳
ヘアメイク:前田亜耶
映像操作:オングストローム 安里奈保見、小池夏海
音響助手:竹田雄
ヘアメイク助手:田中順子 、岩田知世
稽古場代役&プロンプ:池田倫太朗、奥田一平
稽古場代役:岸朱紗
制作助手:林弥生、小川真理
制作:永田聖子、中柄毅志、伊澤雅子
プロデューサー:茂木令子、三崎力
デカローグ 1「ある運命に関する物語」
出演:
ノゾエ征爾(大学教授・クシシュトフ)
石井舜(クシシュトフの息子・パヴェウ)
高橋惠子(パヴェウの伯母・イレナ)
宮下楽七[交互出演・木下希羽](パヴェウの友人・オラ)
浅野令子(パヴェウの友人の母親エヴァ・イェジェルスカ/英語教師(声のみ)/群衆)鈴木勝大(隣人の夫婦/群衆)
森川由樹(隣人の夫婦/群衆)
チョウ ヨンホ(近所の住人/群衆)
片岡蒼哉[交互出演・関大輝](パヴェウの友人・ヤツェク)
亀田佳明(男(若い男の姿をしている))
STORY
大学教授の父と、世の中で起きることを数学で解いていく息子。彼らを待ち受ける苛酷な運命。大学の言語学の教授で無神論者の父クシシュトフは、12歳になる息子パヴェウと二人暮らしをしており、信心深い伯母イレナが父子を気にかけていた。パヴェウは父からの手ほどきでPCを使った数々のプログラム実験を重ねていたが......。【公式サイトより】
デカローグ3「あるクリスマス・イヴに関する物語」
出演:
千葉哲也(タクシー運転手・ヤヌシュ)
小島聖(ヤヌシュの元恋人・エヴァ)
鈴木勝大(酔っ払いの男性/当直医2/警官1)
ノゾエ征爾(大学教授・クシシュトフ)
浅野令子(ヤヌシュの妻)片岡蒼哉[交互出演・関大輝](ヤヌシュの息子・アントシ/子供2)
宮下楽七[交互出演・木下希羽](ヤヌシュの娘・カシャ /子供1)
森川由樹(当直医3/受付(声のみ)/駅員)
亀田佳明(男(路面電車の運転士の姿をしている))
STORY
クリスマス・イヴ。妻子とともにイヴを過ごすべく、タクシー運転手のヤヌシュが帰宅する。子供たちの為にサンタクロース役を演じたりと仲睦まじい家族の時間を過ごすが、その夜遅くヤヌシュの自宅に元恋人の女性エヴァが現れ、ヤヌシュに失踪した夫を一緒に探してほしいと訴える......。【公式サイトより】
1989年から1990年にかけてクシシュトフ・キェシロフスキ監督がテレビシリーズとして製作し、後に劇場公開された作品を完全舞台化。「デカローグ」はモーセの十戒のこと。
舞台には6つに区切られた団地の壁が中央から上手にかけて。建物の向かって右側には階段があり、左側の1階部分に部屋。2階部分にはスクリーンがかけられ、映像が映し出される。
「デカローグ3」になると上手にクリスマスツリー。部屋にも小さなツリー。上手にタクシーの座席に見立てたスツールが2つ。建物の右側上部に1から10までの数字があり、駅のシーンで点灯。また、2階の右側には洗面台が取り付けられ、左側はエヴァの部屋としても使用。
原作映画はWOWOWで放送された際に録画して全部観た…はず。だけどすっかり内容は忘れている。
「デカローグ1」では建物の前に古い型のパソコンが置かれ、2階部分のスクリーンに昔懐かしいコマンド画面が映し出される。パソコンで池の氷の厚さを調べ、スケートをしても大丈夫だと思っていたのにパヴェウは小さな命を落とすことになる。
クシシュトフはコンピューターが神にとって代わられるものではないと講義の中で述べていたが、結果的にはコンピューターを信じ切ってしまったがための悲劇と言えなくもない。原作映画が作られてから30年以上が経つが、AIの進化も目覚ましい中、本作で描かれていることはよりリアルさを感じた。
「デカローグ3」は一転、大人の男女のやりとりだけで惹きつけられる作品で、タクシー運転手のヤヌシュがクリスマス・イヴに突然現れた元恋人エヴァの頼みで失踪したエヴァの夫エドヴァルトを捜すという物語。
ヤヌシュ役の千葉哲也さんが実にうまい。…と思っていたら、最後にエヴァの夫が失踪したというのはすべて狂言でクリスマス・イヴを独りで過ごすやるせなさを埋めるためにヤヌシュに逢いに来たと分かり、俄然小島聖さん株が急上昇。エヴァに幸あれ。
亀田佳明さんは天使として、人間たちを見守るという役どころ。台詞もわずかで全エピソードに出演というのもなかなか大変そうだけど、小川・上村両演出家からの信頼の程が窺えるな。
上演時間1時間56分(「デカローグ1」50分、休憩20分、「デカローグ3」46分)。