艶∞ナイトポリス『見上げたらメンチカツ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

艶∞ナイトポリス Vol.3

『見上げたらメンチカツ』

―大衆居酒屋で観る演劇―



2024年5月17日(金)〜5月30日(木)
呑処 食堂ミアゲテゴラン

作・演出:岸本鮎佳
音響協力:古川直幸 宣伝美術:三ツ橋勇二
演出助手:尾形存恆 制作:佐伯凛果
制作協力:猪狩志津、野田ひまわり
企画・製作:艶∞ポリス

出演:

今林久弥(ミアゲテゴラン店長・百武牧男)

アサヌマ理紗(アルバイト店員・那須又玲美)
岸本鮎佳(同・尾俣紙子)
尾形存恆 (若い客・松永麗音)
篠原あさみ(その連れ・曽田民子)
健太くん(厨房係・健太)

STORY
大衆居酒屋ミアゲテゴランの開店を控えた店長の百武(ももたけ)牧男はアルバイト店員の那須又や尾俣とともにシミュレーションを行うが、客役の尾俣が覆面調査員を名乗りだし牧男をあきれさせる。そうこうしているうちに若い男性客がやってくる。その後、親子ほど年の離れた連れの女性が入ってくる。厨房係の健太がいない中、何とか対応する一同だったが、若者が突然、女性に付き合ってほしいと告白する。牧男はその女性の顔を見て、30年前に付き合っていた民子だと気づいて驚く。民子につまらない店と言われた牧男は、那須又や尾俣と改革に取り組む。

カフェ、美容室と上演を重ねてきた艶∞ナイトポリス第3弾。今回の舞台は東急学芸大学駅徒歩45秒に位置する大衆居酒屋で、前作『角刈りのカリスマ』でケータリングに入った縁で今回の上演となったとか。

今回も岸本鮎佳さんの面白さ全開。
冒頭、オープンに向けてのシミュレーションをしている際に覆面調査員という設定を持ち込み、アニメや海外ドラマ吹き替えの声色を披露。演劇や映画においては、登場人物のバックグラウンドが垣間見える方がよしとされているように思うが(履歴書とかを作る作家もいるし)、この尾俣という人物についてはそうしたものが一切なく、ただこの作品の1時間のために存在しているような感じさえしてしまうのが素晴らしい。

アサヌマ理紗さん扮する那須又とのコンビネーションも抜群で、2人に翻弄される店長・百武も悲哀が感じられてよかった。

3000円台で演劇を楽しんでもらいたいという岸本さんの心意気を引き続き応援していきたい。


上演時間61分。

メンチカツ、美味しゅうございました。ちなみに健太くんは本当の従業員。