江戸糸あやつり人形 結城座
ザ・スズナリ
原作:フランツ・カフカ
脚本・演出:シライケイタ
人形美術・宣伝作画:谷原菜摘子
舞台美術:松村あや
照明プラン:奥田賢太(colore)
照明オペ:南方悠里
音響プラン:佐久間修一(POCO)
音響オペ:平井隆史
舞台監督:青木規雄(箱馬研究所)
演出助手:島田香澄
人形・衣裳・小道具:結城座人形遣い
人形頭製作:籾倉梢恵 人形衣裳製作:田中友紀
宣伝美術:小田善久 舞台写真:石橋俊治
記録映像:コラボニクス
制作:前田玲衣、結城有子
出演:
結城孫三郎(グレゴール・ザムザ)
両川船遊(父)
結城育子(母)
湯本アキ(妹グレーテ)
大浦恵実(家政婦/アンナ)
小貫泰明(部長)
中村つぐみ(間借り人)
STORY
グレゴール・ザムザはある朝目覚めると、虫になっていた。おぞましい姿に母親は悲鳴を上げ、父親はザムザを部屋へ追い立てる。ある日、父親の留守中にグレゴールが母親と鉢合わせ、グレゴールの姿を見た母親は気を失ってしまう。帰宅した父親はそれを聞くとグレゴールにリンゴを投げつける。さらにザムザ家の間借人がグレゴールと鉢合わせ、大混乱が生まれるに至り、かろうじて保たれていたバランスは崩壊し、一家は「排斥」へと傾斜していく。そして、ついに家族はグレゴールの死に直面する。グレゴールが死んだその日、父、母、グレーテの三人は郊外にピクニックに出かけ、未来への希望に溢れた新生活について語り合う。彼らの足下には、虐げられた弱者が美しい布に覆われて横たわっているが、誰一人として、自分たちの幸福が誰かの犠牲の上に成り立っていることを顧みることはなかった…。【公式サイトより】
2022年初演作の再演だが、演出は大幅に変更しているとのこと(初演未見)。
客席は対面式で、従来の客席から見て右手にグレゴールのベッド、机と椅子、左手にダイニングテーブルなど。部屋の間に壁やドアはなし。
『変身』を翻案した作品は色々と観てきたが、あやつり人形だからこそ出来る表現の数々が実に興味深かった(逆にリンゴを投げつけたり、机を運んだりという人形には難しい表現を人間がやってしまうのも面白い)。
グレーテなんかはもう少し優しい妹というイメージもあったけど、結構冷徹。ま、あんな姿を見てしまってはねぇ。
最後に花などが描かれたカラフルな布が広げられ、グレゴールのベッドも覆われる。その上で繰り広げられるザムザ一家のピクニックのなんと醜悪なことよ……(ちょっと公式のあらすじは説明し過ぎよね)。
客席には外国人の姿もあったのだけど、プロジェクションマッピングなんかよりこういう作品に英語字幕をつけることに税金を使う方がよっぽど有益だと思うのだけどねぇ。
結城孫三郎さんが3年前の襲名披露公演『十一夜』の頃に比べて落ち着きが感じられ、座長としての風格が出てきた(偉そうにすみませんね)。
上演時間1時間22分。