ドリルチョコレート
『レッドホットセックスピストルニルヴァーナ』
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ザ・スズナリ
脚本・演出:櫻井智也
舞台監督:金安凌平、西山みのり
照明:久保田つばさ
音響:葵能人(ノアノオモチャバコ)
票券・運営:松本悠(青春事情)
web管理:松下哲
出演:
櫻井智也(おじさん・櫻井)
堀靖明(おじさん・堀)
三澤さき(高校生・三澤さき)
大石とも子[みそじん](櫻井の知人・大石(主婦))
わたなべあきこ[劇26.25団](堀の知人・わたなべ(疲れ))
加茂井彩音(加茂井(奔放))
西野優希[東京マハロ](堀の知人・西野(快方))徳橋みのり(櫻井の元恋人・みのり(怖い))
若月海里(みのりの友人、三澤の知人・海里(現役))
STORY
櫻井と堀、いい歳をした二人の男がひたすらに、ただひたすらに。恋がしたい、今更ながら恋がしたい、恋に体重を傾けられなくなってきたからこそ、今更ながら恋をしなければならない、しなければならないんだ、しなくてもいいけれど、しなくてもいい事だからしなくてはならないんだ、今更そこまでしたくはないけれど、今だから恋をしなければならない、しなければならないということはないかもしれないけれど、しなければならないような気がする、それより早く横になりたい、だめだ立ち上がれ、恋をしよう、さあ恋をするんだ、奮い立て、奮い立たなきゃ恋ができない、だって膝も腰も痛いんだもん、それでもやっぱり血を燃やせ、俺たちは恋をするんだ。【公演チラシより】
MCR本公演『前髪』から1ヶ月、3年ぶりのドリルチョコレート。
舞台は素舞台。左右の壁際に水の入ったペットボトルが4本ずつ。左右奥にある劇場自体のドアの手前にステップが置かれ、出入口として使用。
冒頭、おじさんの櫻井と堀がキャッチボールをしながら最近恋をしているかという話をする。恋が始まる予感しかしないトーストをくわえて「いっけなーい、遅刻遅刻〜」と走り去る女子高生にぶつかることは最終手段にして、ひとまずお互いに知人の女性を紹介していく。
おっさんが恋の話をして何が面白いんだと思われるかもしれないが、そこは櫻井智也さん、やっぱり面白い。笑。登場する女性たちは役名に(主婦)(疲れ)(奔放)(快方)(怖い)(現役)などと特徴が記されているのだが、いずれも個性的で、とりわけ恋をしていないと言っていた堀が実は告白して振られていた加茂井ちゃんが特にいいキャラクターをしていた。
そんな中、女子高生さきがどうして毎日のようにトーストをくわえて「遅刻遅刻〜」などとやっているのかという理由が明らかになるのだが、この人物設定には唸らされたし、この役を演じた三澤さきさんも凄かった(特に殺気立ったその目つき)。
演劇界的には大きく注目されることはないだろうけど、個人的には今年の年間ベストに確実に入る作品だった。
最後にBiSHの「オーケストラ」に合わせて女性陣が踊るシーンもよかったが、大石とも子さんはベリーダンスの衣裳で後から登場。ひょっとして『セクシー田中さん』オマージュ?
上演時間1時間26分。