『赤い糸 輪廻のひみつ』(ギデンズ・コー監督) | 新・法水堂

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『赤い糸 輪廻のひみつ』

月老/Till We Meet Again



2021年台湾映画 128分
原作・脚本・監督:九把刀[ギデンズ・コー]
撮影:周宜賢[チョウ・イーシエン]
音楽:侯志堅[クリス・ホウ]
主題歌:「如果可以」韋禮安[ウェイ・リーアン]
視覚効果:嚴振欽
日本語字幕:神部明世

出演:
柯震東[クー・チェンドン](石孝綸)
宋芸樺[ビビアン・ソン](洪菁晴(小咪))
王浄[ジングル・ワン](ピンキー)

馬志翔[マー・ジーシアン](鬼頭成/グイトウチェン)

蔡昌憲[特別出演](獣医)、拉卡・巫茂(閻魔)、洪都拉斯(馬頭)、陸明君(牛頭)、侯彥西(月老・チョップナイフ男)、陳妤(同・タイヤマーク女)、張再興(阿興仔)、陳昭妃(海亀の少女)、林志儒[特別出演](小咪の父)


STORY
落雷で命を落とし冥界に連れてこられた孝綸(シャオルン)は、同じく冥界にやってきたピンキーとともに、〈月老(ユエラオ)〉として現世で人々の縁結びをすることになる。ある日、ふたりの前に1頭の犬が現れ、孝綸(シャオルン)は失っていた生前の記憶を取り戻す。それは初恋の相手、小咪(シャオミー )の、果たせぬままに終わってしまった“ある約束”だった。【公式サイトより】

『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督による2021年ヒット作。

実を言うと昨年末に公開されていたこの映画の存在はまったく知らず、あひるなんちゃら『飲める醤油』を観た後、調べたらちょうど映画が始まる時間、しかも舞台挨拶があるというので台湾の映画らしいぐらいの知識で観ることに。
で、結果的にはこれが思わぬ掘り出し物。不慮の事故で亡くなった主人公が現世に残された恋人に再び会う、なんてのはやや手垢のついた物語ではあるが、小学校の時、一目惚れしていきなり結婚してくれと言い出した孝綸の一途さにシンプルにやられてしまう。
この作品がちょっと変わっているのはラブストーリーに留まらず、冥界を舞台にしたファンタジー要素も強く出ている点で、ややもすれば中途半端になりかねないところを両方成立させていて邪魔になっていない。
そしてもう1つ大事なポイントが犬映画であるということ。ギデンズ・コー監督は愛犬家としても知られているそうで、本作のエンディングクレジットでもキャストやスタッフが様々な動物と撮った写真が流れるのだが、本篇でも阿魯という小咪の愛犬が大活躍。とりわけ孝綸を奈落の底から救い出した時のカッコよさたるや。
ビビアン・ソンさん、ジングル・ワンさんそれぞれに魅力があり、お二人の他の出演作も観たくなった。まずはNetflixでギデンズ・コー監督の新作、クー・チェンドンさんとビビアン・ソンさんも出ている『ミス・シャンプー』を観なくては。

上映後に本作の日本上映に尽力した台湾映画社の葉山友美さんと台湾映画同好会の小島あつ子さんによる舞台挨拶。たまたま観ることにした映画で感動できたのも、こういう方たちの熱意があってこそだよなぁ。感謝。