『あの頃、君を追いかけた』(ギデンズ・コー監督) | 新・法水堂

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『あの頃、君を追いかけた』
那些年,我們一起追的女孩/YOU ARE THE APPLE OF MY EYE



2011年台湾映画 110分
原作・脚本・監督:九把刀(ギデンズ・コー)
撮影:周宜賢(ジョウ・イーシエン)
音楽監督:薛忠銘(ジェイミー・シュエ)

音楽作曲:侯志堅(クリス・ホウ)


出演:

柯震東[クー・チェンドン](コートン・柯景騰/コー・チントン)

陳妍希[ミシェル・チェン](沈佳宜/シェン・チアイー)

郝劭文[スティーヴン・ハオ](阿和・謝明和/シエ・ミンハ)

荘濠全[ジュアン・ハオチュエン/敖犬](曹国勝/ツァオ・グオション)

鄢勝宇[イエン・ションユー](勃起・許博淳/シュー・ボーチュン)

蔡昌憲[ツァイ・チャンシエン](マタカキ・廖英宏/リャオ・インホン)

胡家瑋[フー・チアウェイ](弯弯/ワンワン・胡家瑋/フー・チアウェイ)

柯義浤(コートンの父)、王彩樺(コートンの母)、頼炳輝(校長)、李鳳新(担任)、高麗紅(国語教師)、段正平(数学教師)、李維維(英語教師)、陳継平(教官)、蔡武雄(隣人)、許麗娜(床屋)、林冠菁(ダンスの相手・許可欣)、呉冠廷(大学時代のルームメイト・建漢)、黄逸祥(オタク・義智)、陳弘璟(筋肉バカ・孝綸)、孫綻(対戦相手・建偉)、劉雨辰(建偉の恋人)、方志友(図書館の女子高生)、黄于柔(同)、張玉麟(ツァオの客)、陳永晉(勃起の父)、厳芸文(勃起の母)、邱彥翔(チアイーの結婚相手)

STORY
1994年、台湾中西部の町・彰化。男子高校生のコーチンは仲間たちとともに、しょうもないいたずらをして授業を妨害してばかりいる。業を煮やした担任の教師は優等生のチアイーにコーチンの見張りをするよう頼む。当初コーチンは勉強するように言ってくるチアイーをうるさがるが、次第に気になる存在になっていく。また、チアイーも自分とは違う視点を持つコーチンを好ましく思うようになる。しかしグループ交際から抜け出せないまま別々の大学へ進学していく二人。コーチンはどうしても素直に気持を伝えられず、すれ違いが重なっていく。やがて社会人となりそれぞれの道を歩んでいたある日、チアイーの電話によって仲間たちが再び集まることになる……。【「KINENOTE」より】


ベストセラー作家ギデンズ・コーさんが自伝的小説を自ら映画化。

この映画、予告篇も何も見ない状態で直感的に「これは好きそうな作品だ」と思っていたが、まさしくどストライク。期待通りの作品だった。
舞台は台湾の地方都市。物語は主人公たちが高校生だった1994年から始まり、大学、社会人へと成長するが、やはりメインは高校時代。
クラス一の問題児(授業中に手淫! 家では父親ともどもフルチン)とクラス一の美少女という漫画のような組み合わせながら、こんな子が勉強を教えてくれるなら張り切るよなぁと思うこと請け合い。実際、最初はそれほど可愛いとは思わなかったチアイーが、コートンとの仲が深まるにつれて輝いて見えてくる不思議。
ある時、コートンがテストの点数で勝ったら、チアイーがポニーテールにするという賭けをするのだが、当然のことながらチアイーが勝利。コートンがけじめとして坊主にした後、チアイーがポニーテールで現れたときの可愛らしさときたらもう。台湾でも日本同様、ポニーテールは人気なのね。
またある時は教材費か何かが紛失したという事件が発生した際、教官が疑わしいと思う人物の名前を書かせようとして、ツァオやコートンが反発。チアイーも反論にくわわり、結局、コートンらとともに泣きながらいわゆる空気椅子の体勢を取るというのもよかった。

最後、チアイーは別の男性と結婚してしまうが、それと重なるようにパラレルワールド的映像が展開される。「もしあの時、こうしていれば…」「もしあの時、あんなことを言わなければ…」といった後悔は誰にでもあるもの。コートンとチアイーの2人もいくらでも結ばれるチャンスはあったが、結果的にはそれは叶わなかった。それはほんのちょっとしたボタンのかけ違いかもしれないが、そうした後悔も含めて「青春」というものなのだろう。
それにしてもチアイー、いくらコートンと喧嘩別れしたドサクサとは言え、なんだって阿和と付き合ったりしたんだろう…笑

台湾だけあって日本の文化も当たり前のように出てくる。中では『スラムダンク』の作者・井上雄彦さんが交通事故死したという噂話があったり、コートンが『ドラゴンボール』に出てくる天下一武道会に従って格闘技大会を開いたりする。
また、飯島愛さん、小沢まどかさん、大浦あんなさんといったお名前も。笑
下ネタが云々という声もあるようだが、高校生だったらこれぐらい普通でしょ。少女漫画を原作にしたおとぎ話のような日本映画ばかり観ているから、この程度でも面喰うことになるのでは。