優しい劇団の大恋愛『口笛町のおそいおそい夕暮れ』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

優しい劇団の大恋愛volume 1

『口笛町のおそいおそい夕暮れ』



2024年5月18日(土)

多摩川河川敷


作・演出:尾﨑優人

演出助手:千賀百子 宣伝美術:小野寺マリー

照明:五十部裕明(宇宙論☆講座)

制作:優しい劇団 協力:田中雄大(ニガバナ)


出演:

新部聖子[FUKAIPRODUCE羽衣/少年王者舘](口笛太郎)

小野寺マリー[優しい劇団](三代目小林少年)

尾﨑優人[優しい劇団](博士)

千賀百子[優しい劇団](セクシーキャット)

南朱夏(涙が早い少女)

高見駿(炎に恋する男)

海国りん(炎のくノ一)

佐藤昼寝[昼寝企画](自転車狂い)

加納遥陽(狂気の女・栞)

空風ナギ(ドラゴン)


シークレットキャスト:

田中雄大ニガバナ/コメディアス]

池田豊


STORY

毎日夕方になると口笛が聞こえてくることから、いつしか口笛町と呼ばれるようになった町。2年前、あの子の口笛に返し口笛が出来なかった口笛太郎は、これは恋ではないかと同級生の三代目小林少年に調査を依頼する。小林少年は様々な人と出会いながら恋とは何かを調べていくのだが……。


優しい劇団、1日限りの野外劇。


観客は小田急の和泉多摩川駅を出たところでチケット代わりのしるこサンドを受け取り、徒歩で河川敷へ。私が着いた時には既に尾﨑さんが前説中。既にバンドマンがいるという通報を受けた警察から注意をされていたそうで、90名ほどの人数が集まっているとまた注意をされかねないからなるべくぎゅっと集まって少なく見えるようお願い。


キャストは当日に初めて顔合わせをし、場当たりをし、本番を1回だけやっておしまい。まさに疾風(はやて)のように現れて疾風のように去っていく、月光仮面の如き演劇。

小田急が通過すれば台詞を発するタイミングをずらし、台詞が出てこなければ挙手してプロンプター(尾﨑さん)に助けを求め、照明が落ちれば、手持ちのライトに切り替えてしのぐ。日が沈んで時々刻々と変化していく景色も含め、ここには設備が整った快適な大劇場では決して味わえない演劇の楽しさがある。

内容自体も唐作品へのオマージュに溢れ、口笛太郎が自転車で去っていく時には一抹の寂寥感とともに爽快感が残った。

本作はシリーズ化され、7月に今度は室内で上演があるとのこと。楽しみに待ちたい。


新部聖子さんは野外劇であろうとまったく関係なく、高架に反響するほどの声量。他のキャストも全力投球っぷりが好もしい。


上演時間40分。


今回も撮影・録画自由。YouTubeにもアップされているので観に行けなかった方は是非。