『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』(井上淳一監督) | 新・法水堂

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『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』



2024年日本映画 119分
企画・脚本・監督:井上淳一
企画・プロデューサー:木全純治
企画:尾崎宗子 プロデューサー:片嶋一貴
撮影:蔦井孝洋 照明:石田健司
美術:原田恭明 装飾:寺尾淳
録音・整音:臼井勝 音響効果:勝亦さくら

編集:蛭田智子 衣装:橋爪里佳、鈴木沙季

ヘアメイク:清水美穂 助監督:小原直樹

制作担当:伊藤成人 演出応援:村谷嘉則

音楽:宮田岳


出演:
井浦新(若松孝二/井浦新)
東出昌大(木全純治)
芋生悠(金(金本)法子)
杉田雷麟(井上淳一)
有森也実(淳一の母・井上千束)
田中要次(淳一の父・井上進一)
田口トモロヲ(『噂の眞相』編集長・岡留安則)
門脇麦(吉積めぐみ)
田中麗奈(ゴールデンダストのママ)
竹中直人(竹中直人)
コムアイ(純治の妻・木全雅子)
田中俊介(法子の先輩・磯崎真人)
向里祐香(『燃えろ青春の一年』主演・美加里)
成田浬(河合塾講師・牧野剛)
吉岡睦雄(赤塚不二夫)
大西信満(大和屋竺/大西信満)
タモト清嵐(田本清嵐)
山崎竜太郎(淳一の友人・石原祥吾)
田中偉登(同・横井英樹)
高橋雄祐(淳一の先輩・澤田浩明)
碧木愛莉(淳一の後輩・佐々木美紀)
笹岡ひなり(法子の妹・金由美)
上川周作(斎藤博)、西本竜樹(撮影監督・伊東英男)、柴田鷹雄(照明技師・磯貝一)、林家たこ蔵(名古屋東映支配人)、三木美毅(田川)、間根山雄太(照明技師・高屋齋)、市川洋(シネマスコーレの客)、飯島洋一(同)、岩崎聡子(ゴールデンダストの客)、西垣内牧子(立ちんぼ)、木全純治(木全純治)、坪井篤史(坪井篤史)、大浦奈都子(大浦奈都子)、鈴木茉吏奈(河合塾職員(上映会司会))、澤井一真、滝本彩葉、加藤厚志、兼久ゆかり(助監督・福島聡子)、山根樹、板野初禾、鈴木理仁、倉知淳奈、木村仁、田中正俊、大石理紗子、鈴木陸斗、前川智、佐藤そら、小川真桜、岩崎賢作、山口幸一郎、佐原範計、川合基美、森田健、森健次、市原啓、木全哲

STORY
1980年代。熱くなることを恰好悪いとするシラケ世代が台頭し、ビデオの普及に伴い映画館から人々の足が遠のき始めていた。そんな流れから逆行するように、若松孝二は名古屋にミニシアター、シネマスコーレを作る。そして、結婚を機に東京の文芸坐を辞め、地元・名古屋でビデオカメラのセールスマンをやっていた木全純治を支配人に抜擢。若松に振り回されながらも、木全は持ち前の明るさで経済的な危機を乗り越えていった。そしてそこには、若者たちが吸い寄せられていった。まだ女性監督のほとんどいない中、金本法子は自分には撮りたいものなんか何もないと言いながらも映画から離れられない。映画監督になりたい一心で若松プロの門を叩いた井上淳一は、己の才能の無さを痛感しながらも、映画を諦めきれない。これからこれから、と木全が度々口にする言葉は、周囲を救った。涙も笑いも絶望も希望も、そこにはあった。【「KINENOTE」より】

1960年代の若松プロを描いた『止められるか、俺たちを』の続篇。前作の主人公・吉積みぐみは写真と声のみで、引き続き井浦新さんが若松孝二監督を演じる。

前作の時も書いたように、シネマスコーレには足繁く通っていた私、舞台挨拶等で何度かお見かけしている井上淳一監督がご自身のことを映画にしたと聞いては見逃すわけにはいかない。
ちなみに予備校生時代の井上淳一青年が若松孝二監督を見送りに行き、そのまま新幹線に乗って弟子入り志願をしたという話はご本人が話されているのを聞いたことあり。
物語は井上青年が予備校を舞台にした映画を撮ることになるも、若松監督にことごとく横槍を入れられ…という恐らくご本人にとってはあまり思い出したくないであろうエピソードが中心となっているが、それでも映画作りにかける熱意は前作の若松プロの面々と変わらず、幾度となく胸が熱くなった。
そんな中で実在の人物ではない金本法子の存在感には惹きつけられ、スコーレの屋上でのシーンはひときわ印象的だった(芋生悠さんがいいのよ)。

木全純治さんがシネマスコーレの支配人になってくれ、ピンク映画路線だった番組編成を自主映画、アジア映画にシフトしてくれたことで私自身、どれほどの恩恵を受けたか知れない。今は『シネマ狂騒曲』の主人公・坪井篤史さんが支配人を受け継いで頑張っているけど、これからも名古屋のミニシアター界を牽引してもらいたい。