エンニュイ performance『口』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

エンニュイ performance

『口』



2024年3月5日(火)〜10日(日)
王子スタジオ1

脚本・演出:長谷川優貴(クレオパトラ/エンニュイ)
ドラマトゥルク・撮影:青木省二
制作協力:平井寛人(studuio hiari)
音響・照明:スタジオヒアリ
フライヤーデザイン:長谷川優貴
フライヤーイラスト:zzzpeaker

出演:
市川フー[エンニュイ](上司・信念/ギブソン)
zzzpeaker[エンニュイ](部下・懐疑/べアモーレ)
二田絢乃[エンニュイ](部下・噂/ヒアルロン酸)
高畑陸[エンニュイ](部下・伝道)
浦田かもめ(部下・いたわり/キャシー)
中村理(部下・危機管理)

STORY
山口さんが無断欠勤を続けて1週間。さすがに何か変だと危機管理が上司・信念に告げると、見てくるように指示される。世間では言葉が失われる奇病が拡大。懐疑の母親もその病気にかかったらしく、早退して病院へと向かう。とあるプロジェクトの打ち上げ、信念は口を開けばセクハラ、いじめだと言われ、何も言えなくなってしまう。

佐藤佐吉演劇祭2024参加作品。

タイトルは「口」と書いて「しかく」と読ませる。
天井から色々なテキストが書かれた紙が吊るされ、壁や床にも様々な文字。舞台奥にはパソコンの画面などを表示。その右横にモニター。左側には演出の長谷川さんやドラマトゥルクの青木さんらが座る長机。

開場時から役者陣が舞台上にいるのは先日のザジ・スー『MY NAME IS I LOVE YOU』と同じだが、こちらは特にアップをしている様子はなし。
この山の物とも海の物ともつかぬ団体がどんな作品を上演するのか。結論から言ってしまうと、とても面白かった。これまでに観たことのないタイプの作品で、演劇というよりperformanceと呼ぶのにふさわしく、これほど演劇を観ているという感覚が希薄だったのも初めてかも。
エチュードで作られているシーンがいくつかあり、特にzzzpeaker(ズピーカー)さんが高畑陸さんが本物かどうかを疑い始め、高畑さんが自分の存在を証明しようとするパートがよかった。
言葉というものがモチーフの1つもなっている本作。田村隆一さんの詩「帰途」(言葉なんか覚えるんじゃなかった)を思い出した。

キャストでは市川フーさんが独特の存在感で、無意識にパワハラ・セクハラをしてしまう上司役がハマっていた。あと、スタッフクレジットでよく名前を見かける高畑陸さんがWOWOWの社員ということにもびっくり。

上演時間2時間10分(これまでで一番長かったとのこと)。