『彼方のうた』
Following the Sound
2023年日本映画 84分
脚本・監督・プロデューサー:杉田協二
プロデューサー:川村岬、槻舘南菜子、髭野純
撮影:飯岡幸子 照明:秋山恵二郎、平谷里紗
音響:黄永昌 衣裳:小里幸子、阿部勇希
ヘアメイク:齋藤恵理子
アソシエイトプロデューサー:笹木喜絵、田中佐知彦
編集:大川景子 カラリスト:田巻源太
音楽:スカンク/SKANK
スチール:小財美香子
宣伝・タイトルデザイン:篠田直樹
宣伝:平井万里子
出演:
小川あん(書店員・春)
中村優子(フリーライター・雪子)
眞島秀和(映像ディレクター・剛)
Kaya(剛の娘・咲)
野上絹代(キノコヤ常連客・絹代)
端田新菜(キノコヤ常連客・新菜)
深澤しほ(キノコヤ常連客・ゆり子)
五十嵐まりこ(美術館講座受講生・まりこ)
荒木知佳(キノコヤ店員・沙知)
黒川由美子(キノコヤ店主・由美子)
金子岳憲(沙知の叔父・タケシ)
大須みづほ(俳優・みづほ)
安楽涼(映画監督・涼)
小林えみ(マルジナリア書店店主・えみ)
石原夏実(マルジナリア書店常連客・夏実)
和田清人(世田谷美術館映画講座講師・清人)
伊東茄那(今日子)
吉川愛歩(愛歩)
伊東沙保(春の母親・緑(声))
もっち、田口聡子、泉野由紀恵、石原嘉延、石原嘉乃(夏実の娘・嘉乃)、石原庚、市川澪、三宅一樹(デッサン講座講師・一樹)、深田ツタ(講座受講生・ツタ)、江守恵子(講座受講生・恵子)、真鍋三紀子、曽根椿(講座受講生・椿)、田中久美子、西美江、安藤美樹、程島恵子、坂下佳、田原優子、川島めぐみ、山田洋子、吉藤正道、上村武雄、松本侑壬子、高橋昭(世田谷美術館学芸員)、東谷千恵子(同)、吉田絵美(同・絵美)、木暮絵理(同)、鈴木照葉(同)、今井冬太、太田達成、金桶起彬、木村恵美子、鈴木渓菜、田野真悠、寺尾万由子、髭野裕子、久田步美、宮野雄太
STORY
書店員の春は駅前のベンチに座っていた雪子に道を尋ねるふりをして声をかける。春は雪子の顔に見える悲しみを見過ごせずにいた。一方で春は剛の後をつけながら、その様子を確かめる日々を過ごしていた。春にはかつてこどもだった頃、街中で見かけた雪子や剛に声をかけた過去があった。春の行動に気づいていた剛が春の職場に現れることで、また、春自身がふたたび雪子に声をかけたことで、それぞれの関係が動き出す。春は二人と過ごす日々の中で、自分自身が抱えている母親への思い、悲しみの気持ちと向き合っていく。【公式サイトより】
杉田協士監督12年ぶりのオリジナル作品。
前作『春原さんのうた』同様、本作もなかなか謎の多い作品である。
春がなぜ雪子に声をかけるのか、春がなぜ剛の後を追っているのか。剛とはどうやら春が中学生の頃、駅のホームで何かあったらしいことは分かるのだが、詳しく語られることはない。また、春は川の音が録音されたカセットテープをいつも聴いていて、その場所がどこなのかを探ろうとするが、その理由も判然とはしない。
こんなに分からないことだらけだと下手すればストレスが溜まりかねないが、杉田監督作品においては決してそういうことがない。それは一つ一つのシーンがとても丁寧に作られていることと、実際にそこで働いている人物を出すことによって生み出される嘘のなさが関係しているのかもしれない。だからこそ、最後、雪子に抱きしめられた春の表情にもグッとくるものがあるのだろう。
上映時間の短さもあってあっという間。杉田監督の作品はソフト化や配信がないので観られるうちに観ておくが吉。
前作の主人公・沙知を演じた荒木知佳さんは同じ役名でカフェキノコヤの店員に。叔父の剛も登場。そういう繋がりを探すのもまた一興。
上映後に杉田監督、小川あんさん、中村優子さん、眞島秀和さんの舞台挨拶あり。劇中に出てくる上田市のかたやきそばの中華料理屋は大泉洋さんの行きつけらしい。笑