『映画 ◯月◯日、区長になる女。』先行上映会 | 新・法水堂

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『映画 ◯月◯日、区長になる女。』

She is going to be a Mayor on ◯/◯, the Movie


2024年日本映画 110分
監督:ペヤンヌマキ
音楽:黒猫同盟(上田ケンジと小泉今日子)、向島ゆり子、ブランシャー明日香
主題歌:「黒猫同盟のミュニシパリズム」(作詞・作曲:ブランシャー明日香、歌唱・編曲:黒猫同盟)
プロデューサー:松尾雅人
出演:岸本聡子(立候補者)、内田聖子(NGO職員、選対本部長)、東本久子(選対事務局長)、小関啓子(市民活動家)、小池めぐみ(サポーター)、てらだはるか(サポーター)、ブランシャー明日香(サポーター)、田中良(杉並区長)、田中ゆうたろう(立候補者)、畠山理仁(選挙ライター)

STORY
東京都杉並区。57万人が暮らす緑豊かな街で、行政主導の再開発、道路拡張、施設再編計画が進んでいた。そんな状況のなか迎えた2022年6月の杉並区長選挙。住民たちは、ひとりの候補者を擁立する。ヨーロッパに暮らし、NGO職員として世界の自治体における「公共の再生」を調査してきた岸本聡子だ。地縁なし、政治経験なしの彼女の相手は3期12年続く現職区長。しかも岸本が日本に帰国したのは投票日2ヶ月前。ここから岸本と彼女を擁立した住民との当選を目指しての本気の対話が始まる。【公式サイトより】

2022年の杉並区長選挙に立候補した岸本聡子さんを追ったドキュメンタリー。来年1月2日、ポレポレ東中野での公開に先駆けて、阿佐ヶ谷ロフトAにて開催された先行上映会にて鑑賞。

ペヤンヌマキさんが岸本さんのドキュメンタリーを撮影していることは、ブス会*『The VOICE』で初めて知ったのだけど、その公演での映像も使用。
187票差という僅差で岸本さんが勝利することは分かっていても、選挙活動の方針を巡る支援者との対立やカメラの前だけで語られる葛藤、ひとりで街宣活動をしているサポーターたちの姿なども描かれている分、結果が出たときには込み上げてくるものがあった。
本作の主役はもちろん岸本聡子さんではあるけど、彼女が区長になってめでたしめでたしで終わる話ではない。『◯月◯日、区長になる女。』というタイトルになっているのも、7月7日(初登庁の日)に区長になった岸本さんに続いて区長になる女性が生まれることを願ってのものだろう(今年4月には一挙に3人の女性区長が誕生したが、そのうちの江東区長は辞職、逮捕者まで出る始末だが……)。
最後、サポーターたちが何人か杉並区議会議員選挙に出馬するという流れは、岸本さんが提唱するミュニシパリズムの可能性が感じられるものだった。
まさに「選挙はつづくよどこまでも」。自治体レベルで出来たことなのだから、国政選挙でも投票率がアップしてより民意が反映される形になればよいのだけど。とりあえず過去最低の投票率となった江東区長の出直し選挙に行かなかった人はこの映画を観るべし。

上映後はプロデューサーの松尾雅人さん(カンパニー松尾監督)司会進行のもと、ペヤンヌマキ監督と時事芸人のプチ鹿島さんをゲストに迎えてのトーク。本篇に登場する小関啓子さんや現在は杉並区議となった小池めぐみさんも登壇。小関さんは過去に杉並区長選挙に出たこともあるそうで(20年前)、その分、岸本さんへの思いも強いのだろうな。