TBS/サンライズプロモーション東京『ロスメルスホルム』 | 新・法水堂

新・法水堂

演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

TBS/サンライズプロモーション東京

『ロスメルスホルム』

ROSMERSHOLM


【東京公演】
2023年11月15日(水)〜26日(日)
新国立劇場 小劇場

原作:ヘンリック・イプセン
脚色:ダンカン・マクミラン
演出:栗山民也 翻訳:浦辺千鶴
美術:長田佳代子 音楽:国広和毅
照明:小沢淳 音響:井上正弘
衣装:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:神野真理亜、塩屋愛実
舞台監督:下柳田龍太郎
宣伝写真:渞忠之 宣伝スタイリスト:菊池志真
宣伝ヘアメイク:林摩規子(森田剛)、山口恵理子(三浦透子)
宣伝デザイン:柳沼博雅
企画・製作:TBS/サンライズプロモーション東京

出演:
森田剛(ヨハネス・ロスメル)
三浦透子(レベッカ・ヴェスト)
浅野雅博(アンドレアス・クロル教授)
梅沢昌代(ミセス・ヘルセット)
谷田歩(ペーデル・モルテンスゴール)
櫻井章喜(ウルリック・ブレンデル)

STORY
歴史と伝統に縛られたロスメルスホルムと呼ばれる屋敷には、所有者ヨハネス・ロスメルと家政婦のヘルセット、そしてロスメルの自殺した妻ベアーテの兄・クロル教授の紹介により、レベッカという女性が下宿人として住んでいた。ある日、ロスメル家を訪ねたクロル教授は、モルテンスゴールが掲げる「新しい進歩主義」に対抗すべく、ロスメルを保守派に引き込もうとするが、ロスメルはレベッカの影響でこの古い体質から解き放たれようとしていた。ロスメルは若い頃、家庭教師だったブレンデルという自由思想家に影響されていて、レベッカは、その彼の後を継ぎ、自分こそがロスメルを自由にすることができる人物だと信じていたのだ。説得を試みるクロルはレベッカがベアーテを死に追いやった原因だと告げる。「進歩主義の同志」というレベッカへの気持ちは愛情だったのかと気づくロスメル。心に罪を抱いたロスメルとレベッカがとった道とは……。【公式サイトより】

1886年に刊行されたイプセンの戯曲を、2019年にイギリスで新翻案で上演された作品。

四幕構成で、一幕、三幕、四幕はロスメルスホルムと呼ばれる屋敷の居間で二幕はロスメルの書斎。
居間のシーンでは下手奥にドア。下手側の壁一面にロスメル家の男性の肖像画。中央奥にもう一つ部屋があり、縦長の鏡がかかっている。上手には観音開きになるガラス戸があり、水車小屋へと続く。部屋にはテーブルと椅子など。下手側に白い椅子。
書斎のシーンでは奥の壁に幕が下がり、下手壁沿いにロスメルの机。上手に本棚。テーブルはそのまま。

栗山民也さんは『人形の家 PART2』の演出も手掛けているが(梅沢昌代さんはそちらにもご出演)、壁が巨大な舞台装置は似たような印象。ただし、広々している割には閉塞感のあった『人形の〜』に比べると本作は開放感があり、特に上手側の窓から差し込む太陽の光が印象的。
前半の政治的な議論がやや退屈だったが、後半、ロスメルとレベッカ、そしてロスメルの自殺した妻ベアーテとの関係に焦点が絞られていくに従って緊迫した人間ドラマを味わうことが出来た。
とりわけ三浦透子さんは、佇まいからして一人の意思を持った女性として、もはや主人公と言ってもいいぐらいの吸引力を発揮し、三幕最後の夕陽が差すシーンは神々しさすら感じさせた。

森田剛さんは残念ながら、『FORTUNE』同様、発声からして作られたもので、そっちが気になってなかなか台詞が入ってこない。特に二幕終盤の「冷たい水の中で!」は笑いそうになってしまった。三幕でやや持ち直した感はあるものの、これを熱演だとか演技派だとか持ち上げるのは止めて欲しい。しつこいぐらいのカーテンコールを聞きながら、そんなことを思ってしまう法水なのでした(突然「きょうのワンコ」風)。
森田剛さんは演技力のある人だと思っていただけに、ここのところの舞台での演技は残念。一度、赤堀雅秋さんあたりと組んでうだつの上がらない中年男とかを演じたらいいのに(赤堀さんはかつて宮沢りえさんと噂があったけど、水野美紀さんと北村有起哉さんが共演するぐらいだから気にしない気にしない)。