名取事務所公演
『屠殺人ブッチャー』
2023年11月17日(金)〜12月3日(日)
「劇」小劇場
作:ニコラス・ビヨン 翻訳:吉原豊司
演出:生田みゆき
美術:杉山至
照明:桜井真澄 照明操作:鈴木啓子
音響:井出比呂之 音響操作:小林司
衣装:樋口藍 擬闘:栗原直樹
演出助手:加藤広祐(藤一色)
舞台監督:大島健司
制作担当:栗原暢隆、松井伸子、鍋嶋大輔
プロデューサー:名取敏行
出演:
髙山春夫(ヨセフ・ズブリーロヴォ)
西尾友樹(弁護士ハミルトン・バーンズ)
清水明彦(ラム警部)
万里紗(通訳エレーナ)
西山聖了(エレーナの仲間ダニエル・声)
山崎稚葉(ラム警部の娘アイリス・声)
STORY
クリスマス前夜。高級将校の軍服にサンタ帽という異様ないでたちの老人が何者かの手で警察署に運び込まれ、置き去りにされる。老人は意識朦朧。その上英語を話さず、話せるのは東欧の地方語だけのようだ。警部、弁護士、通訳の3人で、身元を割り出そうと躍起になって判明したのは…。東欧に吹き荒れた民族紛争に絡む、身の毛もよだつような恐ろしい事実だった。
現代カナダ演劇を代表するニコラス・ビヨン2作品上演。2017年、小笠原響さん演出で日本初演、2019年に再演された作品を生田みゆきさんの新演出で上演。
舞台は三方を鉄格子で覆われた警察署の一室。下手にドア。上手には棚と事務机。棚の上にはクリスマスツリー。客入れ時にはクリスマスソングが流れ続ける。
恐らく「熱演」の部類には入るのだと思う。
終盤、真実が次々に明らかになっていく様は惹きつけられたし、ゾクゾクとさせられた。ここまでの復讐をやり遂げたエレーナの胆力にはことの是非はさておき感嘆する他ない。演じる万里紗さんもカッコよかったし、架空の言語ラヴィニィア語の台詞のみを発する髙山春夫さんも貫禄あり。
ただ、少なくとも本日の上演に関しては、やや不満の残るものだった。特に前半は役者の息が合っておらず、なかなか波に乗ることが出来なかった。まぁそんな日もあるよね…ってことで。
ちなみに本作品のチラシに「第25回読売演劇大賞優秀作品賞・優秀男優賞・優秀女優賞・優秀演出賞受賞」と書かれているが、佐川和正さんは確かに出演はしていたが、対象となった作品は『ベルリンの東』なのよね……。自身の公式サイトにもそう書いてあるのに。
上演時間1時間25分。