新国立劇場
『エンジェルス・イン・アメリカ』
第一部「ミレニアム迫る」
ANGELS IN AMERICA Part I: Millennium Approaches
坂本慶介[阿佐ヶ谷スパイダース](首席秘書官ジョゼフ(ジョー)・ポーター・ピット/17世紀のプライアー・ウォルターの亡霊/エスキモー)
鈴木杏(ジョーの妻ハーパー・アマティ・ピット/司法省の広報担当マーティン・ヘラー)
長村航希(第二巡回裁判区ワープロ係ルイス・アイアンソン)
岩永達也(ルイスの恋人プライアー・ウォルター/公園の男)
那須佐代子(ジョーの母親ハンナ・ポーター・ピット/正統派ユダヤ教のラビ・イジドア・ケメルヴィッツ/ロイの担当医師ヘンリー/エセル・ローゼンバーグ)
浅野雅博[文学座](正看護師、元ドラァグクイーン・ベリーズ/ハーパーの想像上の友人ミスター・ライズ)
水夏希(アメリカ大陸権天使/天使の声/プライアーの担当看護師エミリー/ソルトレーク・シティの不動産セールス担当シスター・エラ・チャプター/ホームレスの女性)
STORY
1985年ニューヨーク。青年ルイスは同棲中の恋人プライアーからエイズ感染を告白され、自身も感染することへの怯えからプライアーを一人残して逃げてしまう。モルモン教徒で裁判所書記官のジョーは、情緒不安定で薬物依存の妻ハーパーと暮らしている。彼は、師と仰ぐ大物弁護士のロイ・コーンから司法省への栄転を持ちかけられる。やがてハーパーは幻覚の中で夫がゲイであることを告げられ、ロイ・コーンは医者からエイズであると診断されてしまう。職場で出会ったルイスとジョーが交流を深めていく一方で、ルイスに捨てられたプライアーは天使から自分が預言者だと告げられ......【公式サイトより】
1991年初演、トニー賞&ピュリッツァー賞を受賞した作品をフルオーディションにて選ばれた俳優陣によって上演。トニー・クシュナーさん自ら脚本を手がけたテレビドラマ版は見ているが、舞台版は初めて。
第一部、第二部合わせて7時間半の上演時間ではあるが、第一部に関しては全三幕構成でそれぞれ1時間ずつなので、結構あっという間。
第一部は1985年10月〜12月のニューヨークが舞台で、その当時、社会問題となりつつあったエイズが取り扱われたり、主人公の一人、ルイスの妻ハーパーが薬物依存になっていたりと題材としては重めながら笑えるところも随所にある。
実在の人物であるロイ・コーンが出てくる一方、天使やらハーパーの想像上の友人であるミスター・ライズ(スペルはLiesなのでいわば嘘つき男)やら出てくる人物も個性的で現実と非現実の境目が曖昧になる。
のっけから那須佐代子さんがラビに扮したり、鈴木杏さんが付け髭をして司法省のマーティン・ヘラーを演じたり(途中で外してしまうけど)といったあたりにも遊び心が感じられた。
翻訳の小田島創志さんは『ブレイキング・ザ・コード』、『ラビット・ホール』に続いて今月3本目。たまたまとは言え、こんなこともあるんですなぁ。
上演時間3時間28分(一幕1時間、休憩15分、二幕59分、休憩15分、三幕59分)。