新国立劇場
『エンジェルス・イン・アメリカ』
第二部「ペレストロイカ」
ANGELS IN AMERICA Part II: Perestroika
坂本慶介[阿佐ヶ谷スパイダース](首席秘書官ジョゼフ(ジョー)・ポーター・ピット/ジオラマに置かれたマネキン・父親/ヨーロッパ大陸権天使)
鈴木杏(ジョーの妻ハーパー・アマティ・ピット/アフリカ大陸権天使)
長村航希(第二巡回裁判区ワープロ係ルイス・アイアンソン/オーストラリア大陸権天使)
岩永達也(ルイスの恋人プライアー・ウォルター)
那須佐代子(ジョーの母親ハンナ・ポーター・ピット/世界最年長のボルシェヴィキ、アレクシ・アンテディルヴィアーノヴィチ・プレラプサリアノフ/ロイの担当医師ヘンリー/エセル・ローゼンバーグ/アジア大陸権天使)
浅野雅博[文学座](正看護師、元ドラァグクイーン・ベリーズ/ハーパーの想像上の友人ミスター・ライズ/ジオラマに置かれたマネキン・カレブの声(息子)/オセアニア大陸権天使)
水夏希(アメリカ大陸権天使/ジオラマに置かれたマネキン・オーリンの声(もう一人の息子)/同・母親/看護師エミリー/プレラプサリアノフを紹介する声/モルモン・ビジター・センターの館内アナウンス/大陸権天使を紹介する声/BBCレポーターの声)
STORY
ジョーの母ハンナは、幻覚症状の悪化が著しいハーパーをモルモン教ビジターセンターに招く。一方、入院を余儀なくされたロイ・コーンは、元ドラァグクイーンの看護師ベリーズと出会う。友人としてプライアーの世話をするベリーズは、「プライアーの助けが必要だ」という天使の訪れの顛末を聞かされる。そんな中、進展したかに思えたルイスとジョーの関係にも変化の兆しが見え始める。【公式サイトより】
1992年初演、第一部に続いてトニー賞を受賞した作品。
第二部は全五幕で1985年12月から翌年1月までと、エピローグで1990年1月の出来事が描かれる。
物語としては、エイズにかかったプライアーとロイ・コーンの病状が悪化し、ジョーの妻ハーパーの幻覚症状も悪化する一方、プライアーの恋人ルイスとジョーの関係が深まっていく。
本作で描かれる80年代半ばのアメリカの社会状況は決して明るいものではない。エイズという未知の病気も、新型コロナウイルス同様、不安を与える要素であっただろう。それでも、第一部、第二部を通して終始描かれているのは、生きることの尊さ、変化していくことの大切さ(ペレストロイカはまさにその象徴)。
観る前はこれほどまでに前向きにさせてくれる作品とは思っていなかったが、カーテンコールも生きていることをお互いに祝福するようなムードに包まれていた。
第二部ものっけから那須佐代子さんが世界最年長のボルシェヴィキという何とも人を食ったキャラクターに扮して笑わせる。水夏希さん扮する天使も天使らしからぬ立ち居振る舞い。色々な声の担当もしてご活躍。
上演時間3時間59分(一幕1時間30分、休憩15分、二幕1時間5分、休憩15分、三幕54分)。