モチロンプロデュース『阿修羅のごとく』 | 新・法水堂

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モチロンプロデュース

『阿修羅のごとく』

 

 
【東京公演】
2022年9月9日(金)〜10月2日(日)
シアタートラム
 
作:向田邦子 脚色:倉持裕 演出:木野花
美術:杉山至 照明:佐藤啓 音響:内藤勝博
衣裳:戸田京子 ヘアメイク:大和田一美
演出助手:大堀光威 舞台監督:榎太郎、田中絵里子
 
舞台部:元木裕美子 照明操作:溝口由利子
音響操作:中田摩利子 衣裳進行:竹ノ子博子
ヘアメイク進行:井草真理子 美術助手:新海雄大
制作助手:新井莉音
フラメンコ指導:振付稼業air:man
発声指導:蔵田みどり 稽古場代役:中井千聖
小道具製作:佐藤涼子 衣裳製作:田鎖みさと、岩渕玲子、梅津佳織、アトリエ ハリコ
 
宣伝絵画:大宮エリー 宣伝美術:榎本太郎
宣伝写真:興村憲彦 宣伝ヘアメイク:大和田一美
宣伝衣裳:チヨ 宣伝動画:原口貴光
宣伝協力:る・ひまわり
票券:河端ナツキ
制作:北條智子、赤堀あづさ、横山郁美
プロデューサー:長坂まき子
 
出演:
小泉今日子(長女・三田村綱子/姉妹の母・竹沢ふじ)
小林聡美(次女・里見巻子/料亭「枡川」女将・貞治の妻・豊子)
安藤玉恵(三女・竹沢滝子/陣内の浮気相手・マユミ)
夏帆(四女・竹沢咲子/姉妹の父の愛人・土屋友子)
岩井秀人(興信所の調査員・勝又静雄/咲子の恋人・陣内英光)
山崎一(巻子の夫・里見鷹男/綱子の愛人・枡川貞治)
 
声の出演:宮坂俊蔵、上川周作
 
STORY
とある日、三女・滝子の、話したいことがあるという連絡により、四姉妹が集まることに。数日前、70才を迎える父親が愛人らしき人物といるところを目撃した滝子は、興信所に父の身辺調査を依頼したのだ。四人は、母親に知られることなく父に浮気を解消してもらうための作戦を練る。そんな姉妹だが、実は自身の生活にもそれぞれ悩みを抱えていた。長女・綱子は仕事先の妻子ある男性と不倫関係、次女・巻子は夫の浮気の予感にもやもやした日々を過ごし、三女・滝子はその堅い潔癖さで男との出会いもなく、四女・咲子はボクサーの彼との不安定な生活に疲弊していた。ままならない現実をあたふたと、それぞれの業を抱えて正直に生きようとする四姉妹の闘いの日々は続く、阿修羅のごとく…【公式サイトより】

1979年と1980年にテレビドラマが放送され、その後、映画化もされた向田邦子さんの代表作を3度目の舞台化。
 
センターステージ仕様になっていて、東西南北に客席(通常の客席が南側)。舞台は土俵に見立てられ、天井には枠組のみの屋根。開場時は四隅に立方体の台(これも台座以外は枠組のみ)。
開演時間になると寄せ太鼓の音とともに2人の黒子が登場し、舞台セットを運んでくる。四隅のうち3つには黒電話、北西側のみ赤い公衆電話が置かれ、それが中央に運ばれて準備完了。
拍子木の音とともに一旦暗転して本篇開始。
 
向田邦子さんのドラマはリアルタイムでは見ておらず、久世光彦さんが手掛けていたスペシャルドラマや映画版『阿修羅のごとく』を観たことがある程度。本作もCSで放送されたものを絶賛積ん録中。
なので今回、女というものを(タイトルの阿修羅は女性のこと)、男というものを、人間というものを見事に描いた向田邦子さんの凄さを改めて実感した。
もちろん、昭和を舞台にした向田作品を今に通じる物語として脚色した倉持裕さん、演出の木野花さんの手腕も光る。とりわけ舞台を土俵に見立てた演出が素晴らしく、まさに女の戦いを見守る気分だった。
 
キャストももちろんよかったけど、四姉妹の中では小林聡美さんが『あなたの目』の時とは違って、本領発揮といったところ。
また、うだつの上がらないボクサーとうだつの上がらない興信所の調査員の二役を演じた岩井秀人さんは、早替えもありながら方向性の異なるうだつの上がらなさをしっかりと演じ分けていた。さすがは向田邦子賞作家(関係ない)。
特に安藤玉恵さんとの絡みがよくて、フラメンコのシーンも可笑しくて仕方なかった。
 
ドラマ『すいか』ファンとしては、小林聡美さんと小泉今日子さんが三軒茶屋の劇場で共演!という感慨にも浸っていたのだけど、向田邦子さんはすぐ近くの世田谷区若林の生まれなんですな。
 
上演時間1時間55分。