ヨーロッパ企画『あんなに優しかったゴーレム』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ヨーロッパ企画第26回公演
『あんなに優しかったゴーレム』

 

 

【名古屋公演】
2008年5月23日(金)~25日(日)
愛知県芸術劇場小ホール
前売:3,300円 当日:3,500円

作・演出:上田誠
美術:長田佳代子

照明:葛西健一(GEKKEN staffroom)

音響:小早川保隆(GEKKEN staffroom)

衣装:中嶋祐一(artburt)
舞台監督:筒井昭善×大鹿展明
脚本協力:松居大悟、大歳倫弘

演出部・演出助手:柳原暁子

演出部・小道具製作:中川有子
小道具製作:酒井善史

大道具製作:俳優座劇場舞台美術部 運送:大和商運

宣伝美術:井上能之 宣伝写真:成田直茂

宣伝映像:大見康裕、山口淳太
制作:井神拓也、諏訪雅、本多力、吉田和睦、吉永祐子

 

出演:

中川晴樹(ディレクター)

石田剛太(AD)

永野宗典(タイムキーパー)

諏訪雅(カメラマン)

土佐和成(照明)

本多力(音声)

酒井善史(神崎投手)

角田貴志(ゴーレム研究者)

西村直子(ゴーレム少女)
 

STORY

話題のルーキー神崎投手の密着取材を続ける『あすなろアスリート』のTVクルーたち。順調に撮影は進んでいたが、彼が空き地にある土の像を指して「このゴーレムとキャッチボールをした」と発言したことから微妙な雰囲気に。ディレクターはゴーレムのくだりをカットして撮影をしなおそうとするが、神崎投手はゴーレムは自分のルーツだと譲らない。ひとまず次の撮影現場に向かうが、神崎投手のかつてのチームメイトばかりか町の人々みんながゴーレムの存在を信じている様子。再びTVクルーが空き地に戻ってくると、ゴーレムの研究をしているという男がゴーレムの意識を機械で調べていた。男が立ち去った後、ゴーレムに育てられた中学生の少女がいるという情報をつかんだTVクルーが話し合っていると、突然、地面から少女が現れる。彼女が出てきた入り口を降りると、地下には実際に暮らしているらしき部屋があった。戻ってきた少女からゴーレムとの暮らしぶりを聞いて驚く一同。更にはゴーレムが土の中に埋め込まれたコントローラーで「ぷよぷよ」をプレイしているのを見て次第にゴーレムの存在を信じ始める彼らだったが、ディレクターはゴーレムを切り捨てて撮影を続けようとする。


「やったね10周年ツアー」と銘打たれたヨーロッパ企画第26回公演。
名古屋での公演は『Windows5000』以来2年振り。

舞台は地上と地下に別れ、下手にはゴーレムの姿。
地上は空き地で瓶ビールとケースなどが置かれ、地下は下手にテレビや洗濯機、上手に食卓や冷蔵庫など。


いつもながらのヨーロッパ企画調。
最初はゴーレムを信じていなかった連中が徐々に変化していく。
ディレクターの提案で神崎投手にゴーレムとキャッチボールをしてもらい、それを映像として収めるのだが、突然現れたペガサスを撮ろうとして上書きしてしまう。
ここには証拠がなければ存在を認めない現代科学に対するアンチテーゼがあり、自分の目の前で起きていることですら本物だと分からなくなってしまった現代人の麻痺した感覚があぶり出される。

変えるつもりはないのかも知れないが、役者陣がいつも同じような役柄なのが気になる。永野くんは下っ端で石田くんに小突かれ、諏訪くんは無責任、土佐くんは更に輪をかけて無責任、で本多くんは天然。
まぁここは役者より脚本の面白さで勝負する劇団だから仕方ないか。

 

上演時間1時間41分。