『築地魚河岸三代目』(松原信吾監督) | 新・法水堂

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『築地魚河岸三代目』



2008年日本映画 116分
監督:松原信吾 脚本:安倍照雄、成島出
原作:はしもとみつお、鍋島雅治(小学館『ビッグコミック』連載)
撮影:長沼六男 美術:横山豊 音楽:本多俊之
照明:中須岳士 録音:鈴木肇  編集:石島一秀
主題歌:「虹が消えた日」秦基博

出演:
大沢たかお(赤木旬太郎)
田中麗奈(鏑木明日香)
伊東四朗(明日香の父・鏑木惣三郎)
伊原剛志(「魚辰」従業員・戸川英二)
森口瑤子(小料理屋女将・千秋)
柄本明(「真田鮨」大将・真田正治郎)
マギー(「魚辰」従業員・平井雅)
荒川良々(同・木村拓也)
江口のりこ(同・菊野エリ)
温水洋一(「アルプス」のマスター)
峯村リエ(「アルプス」のママさん)
大杉漣(元上司・金谷聡)
森下愛子(妻・金谷順子)
佐野史郎(漆原常務)
鈴木一真(青物問屋・片岡十四郎)
甲本雅裕(駒さん)
田口浩正(宮司・ハルオ)
池谷のぶえ(常連客)、六平直政(水産会社社長・牛尾)、みのすけ(漆原の部下)、斉藤暁(市場の客)、中村久美(志保)、中島史恵(水泳インストラクター)、山田誉子(ホステス)

STORY
赤木旬太郎は都内の総合商社に勤務するエリート・サラリーマン。30代半ばにして会社では人事課長に抜擢され、恋人の明日香ともそろそろ結婚を考えている。公私とも絵に書いた様な順風満帆の人生…のはずだった。そんな旬太郎に転機が訪れる。漆原常務から会社での大掛かりなリストラの陣頭指揮を命じられたのだ。やり場のない気持ちをかかえ悩む旬太郎は、さらに驚きの光景を目撃する。それは夜明け前の街を自転車で走る明日香の姿だった。しかも、Tシャツにジーパン、ゴム長靴といういつもと全く違ったいでたちで…。状況を理解できないまま、明日香に導かれ向かった先は日本の台所・築地市場。そこは周囲の静けさが嘘のように、魚の匂いと多くの人々が行き交う活気に満ちた場所、まるで迷宮だった。明日香は仲卸の名店「魚辰」の二代目店主・徳三郎の一人娘だった。膝の手術で入院することになった父の代わりに、夜も明けぬうちから店を手伝っていたのだ。こうと決めたら突き進む一本気な性格の旬太郎は、半ば強引に「魚辰」の手伝いをすることを決心する。装飾デザイナーとしての仕事も抱え、徹夜続きの明日香の身を案じてのことだった。ところが、はりきって店先に立ったものの、店を訪れるプロの客たちにからかわれたり、冷やかされたりと客に逃げられてばかり。魚河岸は長年培われたしきたりの中で玄人同士が真剣勝負をする場所。ど素人の旬太郎が太刀打ちできるはずもない。10代から店に立ち、魚の目利きは築地市場屈指といわれる「魚辰」従業員の英二を始め、周囲の反応も冷ややかだ。それでも、負けず嫌いの旬太郎は、自腹で魚を買って従業員の拓也にさばいてもらい、自分の舌で味を覚えようとする。美味しいものには目がない旬太郎は、繊細な味を見分ける優れた味覚を持っていた。いつしか、旬太郎は、魚河岸の真剣勝負の厳しさや嘘のない優しさ、温かさの中に、サラリーマン生活で忘れかけていた何かを感じはじめていた。一方、会社ではついにリストラがはじまった。恩義を感じている元上司の金谷に、人事担当者として早期退職を申し入れた旬太郎は、やみくもに会社の意思に従う働き方に疑問を感じずにはいられなかった。金谷は自ら辞職願を出すと、末期ガンを患って入院していた妻・順子の地元がある信州に移り住む。旬太郎は順子が好物だという赤ムツの煮付けを作ろうとするが、赤ムツは築地でもなかなか手に入らない魚だった。諦めかけていたその時、英二が赤ムツを持ってきて小料理屋を営む千秋に作り方を教わるように言う。信州を訪れて赤ムツの煮付けを振る舞い、楽しいひと時を過ごした旬太郎は「幸せってなぁ、自分の気持ちに嘘つかないで生きることだって、この歳になってようやくわかったよ」という金谷の言葉に、気持ちを大きく動かされる。徳三郎の退院の日。店に戻ってきた大旦那の姿に沸き立つ「魚辰」の店先に決意を決めた旬太郎の姿があった。会社に辞表を出してきた旬太郎は徳三郎にここで雇って欲しいと頼む。その夜、英二は明日香を「千秋」に呼び出し、気持を確かめる。泣きながら店を出て行った明日香を目撃した喫茶店「アルプス」のマスター夫婦は英二が明日香にプロポーズをしたと勘違い。友人の駒さんたちも結婚式の準備に取りかかる。英二はその噂を聞いて明日香を問い詰める旬太郎を、大旦那の幼馴染が営む「真田鮨」に呼び出す。そこで英二は、自分が大旦那が妾に産ませた子供であり、明日香とは腹違いの兄妹であることを明かす。旬太郎は真田の言葉をきっかけに、銚子のいけす「一本丸」に飛び込み、牛尾から魚のことを学ぼうとする。一方、英二に想いを寄せていた千秋は、片岡青果の若旦那から結婚を申し込まれる。

「ビッグコミック」連載中の同名コミックを映画化。
大塚寧々さんの前夫・三代目魚武濱田成夫さんとは関係ない(多分)。

既にシリーズ化を考えているらしいけど、本気なの、松竹?
大体、ファーストシーンからなってない。
夜景を見下ろす高級レストランで食事をする旬太郎と明日香。旬太郎はプロポーズをするために指輪を用意しているが、徹夜続きの明日香は居眠り…。
こんな退屈なシーンで本当に観客の心をつかめると思っているんだろうか。
明日香と同様、寝てしまいそう。
私が監督かプロデューサーだったら、築地市場の活気のある描写から始めさせるけどなぁ。この作品の主人公はあくまでも築地と魚なんだから。
あと、料理をもっとおいしそうに撮ってくれないと。唯一食べたくなったのは荒川良々さんが作る“カツオの漬け茶漬け”ぐらいかな。
音楽もイマイチな上に、ひっきりなしにかかっていてうるさいったらありゃしない。

主演2人はともかく、マギー、良々、江口、温水、峯村、甲本、池谷、みのすけと小劇場出身俳優を取り揃え(漣、佐野、六平も入れておくか)、その辺りは手堅い。
中では峯村さんが『絶対彼氏』と同じような役柄。旬太郎に一目惚れして情熱的に迫る(笑)。結局、アルゼンチンタンゴの講師とともに佐渡島へ行ってしまったけど(最後にまた戻ってくる)。
森口瑤子さんと森下愛子さんの森森コンビ(勝手にコンビにすなっ)もお美しく。
中島史恵さんのハイレグっぷりがまた何ともはや…。