ヨーロッパ企画『Windows5000』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

ヨーロッパ企画第20回公演

『Windows5000』

 

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【名古屋公演】

2006年3月31日~4月2日

七ツ寺共同スタジオ
 
作・演出:上田誠
美術:酒井善史、井上能之、大歳倫弘
照明:松谷將弘 音響:上田誠、井上能之
舞台監督:水波流
映像:諏訪雅、大見康裕、山口淳太
演出助手:松田直樹 文芸助手:松田暢子
運送:ステージアーツ
宣伝美術:坂井奈穂、丹原康博
 
出演:
中川晴樹(区役所員・先輩)
酒井善史(区役所員・後輩)
諏訪雅(リビングの男)
永野宗典(夜働きに行く男)
松田暢子(モノを増やす女)
山脇唯(エスニックの女)
角田貴志(サイバーの男)
石田剛太(縦長の部屋の男・自転車)
中西武教[ジュース](横長の部屋の男・ベッド)
本多力(アイデアを練る男・漫画家)
土佐和成(ベースを弾く男)
西村直子(比較的広い部屋の女)


STORY

新開発されたソフト「Windows5000」を使って、とある集合住宅を覗きみる二人の区役所員。とてもじゃないが人が住むような状態じゃない建物に犇めき合って暮らす人々。真ん中の段は共有スペースのようで、上手にソファとテレビモニター。下手にキッチン。電子レンジや冷蔵庫もあり、結構充実。ソファにはリビングの男が主のようにいついている。彼がテーブル代わりに使っているスペースも部屋でベッドでいっぱいのうなぎの寝床。下段、下手から縦長の部屋、その隣のスペースは斜めに横切られ、左上にバーチャル世界にのめりこむサイバーの男、右下にどこかからの留学生らしきエスニックの女の部屋。上へ昇る階段を挟んで男女が住む部屋。女が昼働き、男は夜仕事に出る。どうやら新婚らしい。その隣にはトイレ。上段下手には比較的広い部屋があり、女性が無意味に動いている。この部屋だけはなぜか普通にクリックしても開かない。その隣では漫画家らしき男がベレー帽をかぶりながら4コマ漫画のオチを考えている。下手には空き部屋。夜働きに行く男が以前まで住んでいたらしい。その隣の狭い部屋はほとんどをスピーカーで占拠され、住民が夜な夜なベースを弾いてはた迷惑。後輩の区役所員は住民に立ち退きを迫るため、掲示板にチラシを貼りに行くが、住民に見つかり、ごまかすために空き部屋に住むことになる。住民揃っての遠足にも参加することになり──。
いつもながらに手の込んだ舞台セット。
ありえない部屋に住む人々を覗きみる面白さがあり、上田くんの観察眼が光る。前半は声だけの出演となる区役所員2人のツッコミもいい。
自転車とリビングがいつもからかうエスニックの女が、自室に戻って悔し泣きをしているところは、今までにないパターンで成長の跡を感じる。

 

最後は『平凡なウェ~イ』同様、映像で終わっちゃうの?と思いきや、住宅は姿を消し、立て札を見つめる住民の姿で終わったのもよかった。わざわざこの数秒のために舞台を転換させたのは立派。
ただ、ちょっと長かったかな。2時間10分近くあったし。比較的広めの部屋の女は正直、必要なかったと思う。


終演後、上田くんと少年王者舘天野天街氏によるトークショー。
ちょっと意外な組み合わせだが、ヨーロッパ企画が名古屋で初めて上演した『ムーミン』を天野氏が観に行って以来、交流が続いているとか。京都の上田くんの自宅(ラスクを作っている工場)にも行ったことがあるらしい。
しかーも。天野氏が長年、映画化を目指している『必殺するめ固め』の脚本を上田くんに依頼したとか。マジかいな。えらくなったなぁ(笑)。
司会として『演劇ぶっく』のライターをしているという女性がいたのだけど、声が小さすぎて何を言っているのか分からないこと多し。発声練習しとけや!(爆)


上演時間2時間8分。