イサカライティング
小野晃太朗新作公演『おわれる』
【東京公演】
2021年12月29日(水)・30日(木)
こまばアゴラ劇場
戯曲・演出:小野晃太朗
照明:井坂浩(青年団)、伊藤侑貴 音響:おにぎり海人(かまどキッチン)
舞台監督:鐘築隼 記録撮影:歌川達人
宣伝美術・広報:トモカネアヤカ 演出助手・制作助手:村田千尋
プロデューサー:松岡大貴
出演:
毛利悟巳(女)
新田佑梨[青年団](鉄の女)
矢部祥太(男)
STORY
とある女の部屋。そこに暮らす男は「海に追われている」と感じて部屋を出る。しばらくして男は戻ってくるが、その後ろでは鉄の女が刃物をつき立て、男を殺すと脅していた。刃物を奪われた鉄の女は立ち去るが、帰る場所がないと戻ってくる。女は男に紅茶を入れさせ、鉄の女の話を聞くことにする。
『ねー』でAAF戯曲賞を受賞した小野晃太朗さんが短篇戯曲「通過」をリライトして上演。
舞台下手には天井から大量の電球がぶら下げられ、出入口近くにコートのかかったスタンド。床には絨毯が敷かれ、上手にテーブルと椅子2脚、ゴミ箱。奥には一人用ソファとランプ、小さな本棚。
タイトルの「おわれる」は一義的には「追われる」なのだろうが、「負われる」「終われる」とも読むことは出来よう。
多分に寓意的な内容で、最終的には男が部屋を出ていき、鉄の女が部屋に居つくようになるのだが、男や鉄の女は女の意識の有り様を表しているとも解釈できる。冒頭で女が「実存的な不安を忘れると、怪物が生まれる」と述べるが、男がその怪物だったのかも知れない。
充分に咀嚼しきれていないが、漠然とそんなことを感じ取った。
後半、鉄の女が再登場するあたりのアンバー系からブルーに変化していく照明がよかった。
上演時間59分。