『メイン・テーマ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『メイン・テーマ』

 

 

1984年日本映画 101分

脚本・監督:森田芳光 原作:片岡義男(カドカワノベルズ版)

製作:角川春樹 プロデューサー:中川好久 
撮影:前田米造 音楽:塩村修

美術:中澤克巳 照明:矢部一男 録音:小野寺修 編集:川島章正

記録:森永恭子 スチール:小島由起夫、澤井秀夫
助監督:金子修介 製作担当:藤田義則

キャスティングディレクター:笹岡幸三郎、三沢和子

音楽プロデュース:高桑忠男、石川光 
主題歌:「メイン・テーマ」 挿入歌:「スロー・バラード」

     作詞:松本隆 作曲:南佳孝 編曲:大森雅朗 唄:薬師丸ひろ子

マジック監修:二代目引田天功 マジック指導:平岩白風

ボイストレーナー:古賀義弥 ファッションアドバイザー:小川久美子

色彩計測:福沢正典 移動効果:落合保雄 音響効果:斉藤昌利

 

出演:薬師丸ひろ子(小笠原しぶき)、野村宏伸(大東島健)、財津和夫(御前崎渡)、桃井かおり(伊勢雅世子)、渡辺真知子(渡の妻・御前崎由加)、太田裕美(しぶきの姉・千歳しずく)、戸川純(しずくの同僚DJ・エリ)、小松政夫(大阪の客)、浜村純(健の父・大東島一郎太)、小倉一郎(鳥嶋)、ひさうちみちお(しずくの夫・千歳国夫)、弓恵子(健の母・大東島きぬ代)、黒川ゆり[クラリオン・ガール](モデル)、加藤善博(マジシャン・四日市始)、松川ナミ(ジャズクラブ歌手A)、渡辺良子(ジャズクラブ歌手B)、中沢亮[子役](渡の息子・御前崎カカル)、川村一代(須磨の幼稚園の先生)、伊藤克信(ジャズクラブAのマスター)、佐藤恒治(ジャズクラブBのマスター)、仁乃慶子[現・羽田圭子]、大江徹、野中幸一(健の友人B)、小木曽孝司(健の友人A)、細川明(健の友人C)、荒木則子、小林暁美(タエ子)、田野倉智恵、細川隆一郎(御前崎由加の父)、細川春子(御前崎由加の母)、木ノ内英樹[子役]、林賢バンド[りんけんバンド]、迎賓館フラダンスチーム

 

STORY

小笠原しぶきは、先日まで幼稚園の先生だったがふとしたことでやめざるを得なくなり今は失業中。房総の海岸で、彼女は4WDのピックアップで全国をマジック修業にまわっているという大東島健と出会い、ひょんなきっかけから彼の4WDで一緒に旅をすることになる。しぶきの目的地は大阪。元、自分の受け持ちの園児で、父親の転勤で大阪へいってしまった御前崎カカルに会うのが一応の目的ではあるが、カカルの父親・渡に、以前から心魅かれるものがあったことも動機のうちだった。しぶきと健の旅が始まったが、何かとソリの合わない二人は道中ケンカばかりしている。浜松で、しぶきが健の叔父のマジック・ショーを手伝わされている頃、健は伊勢雅世子というジャズ歌手と出会い、ドライブを楽しんでいた。雅世子は渡と長い関係にあるのだが、しぶきはそのことは知らない。健は雅世子の大人の魅力にすっかりまいってしまい、しぶきはそんな彼の様子をみて小さな嫉妬を感じる。健の4WDは大阪に着いた。別れ際、しぶきはシャツをプレゼントし、健は故郷の沖縄へ向った。御前崎の家をたずね、カカルとの再会を楽しむしぶきだったが渡の妻に対する気がねなどがあり、長居はできなかった。そして、彼女は健のことが心にひっかかり、沖縄に住む姉夫婦を訪ねることにする。一方、雅世子は、歌手生活にピリオドを打つ決心をし、最後のステージを故郷の石垣島に近い沖縄でしめくくろうと向った。また、それを知った渡も沖縄へ飛んだ。しぶきは健、雅世子は渡とそれぞれ再会する。渡がしぶきを訪ねて来た。しぶきは想いを打ち明けるが、子供扱いされる。ある日、しぶきはレストランで雅世子と親しそうに話す渡を見てショックをうける。万座ビーチの海開き、健のマジックショーが行われた。その後、健と雅世子が連れ立って行くのを見たしぶきは、二人がキスするのを目撃、雅世子に渡のことを持ち出し、つっかかる。そして、健にも意地を張った。雅世子に呼び出されたしぶきは、彼女から渡と別れたことを聞く。幼稚園に就職したしぶきのもとに、健が20歳の誕生日のお祝いに駆けつけた。二人はお互いの気持ちを確かめ合い、ホテルに向かうが道路は渋滞。ラジオから雅世子のラストコンサートの実況中継が流れる。石垣島、畑仕事をする雅世子のもとに渡が現れる。一方、しぶきと健は、万座ビーチホテルへ腕組みして入っていった。【「KINENOTE」より】


『彼のオートバイ、彼女の島』に続いて片岡義男さん原作の角川映画(とは言いつつ、原作シリーズとは無関係のオリジナルストーリーだそうで。


昨年生誕70年、今年没後10年ということで、ぴあフィルムフェスティバルでは特集が組まれたり、RHYMESTER宇多丸さんと三沢和子さん編著の本が出たり、Blu-ray BOXが出たり(『そろばんずく』が入っていないので「全監督作品(の・ようなもの)」と題されている)と再評価の波が来ている森田芳光監督。私は『(ハル)』以降全作品と『家族ゲーム』は観ているが、本作は初めての鑑賞。

ストーリー自体はしずく、健、渡、雅世子の4人の中だけで展開していくので少々、いやかなり苦しいところもあるが、健がマジシャンという設定をいいことにところどころでトリッキーな演出が差し挟まれていて飽きさせない。

ちなみに健が車でパーソナル無線をするシーンがあるのだが、群番号が「08940」。どういう意味か書くまでもあるまい。笑


中ではやはり桃井かおりさんの存在が大きい。ジャズシンガーという役どころで、劇中でも歌うシーンが何度かあるが、さすが姐さん、様になっている。

他にもチューリップの財津和夫さん、「かもめが翔んだ日」の渡辺真知子さん、「木綿のハンカチーフ」の太田裕美さん、ゲルニカの戸川純さん、そして漫画家のひさうちみちおさんと枠に囚われないキャスティング。

野村宏伸さんはオーディションを勝ち抜き、本作で俳優デビューとなるわけだけど、ま、デビュー作だからね。大目に見ておきましょうか…。