唐組『少女都市からの呼び声』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

唐組 第66回公演

『少女都市からの呼び声』

 

 

2021年1月20日(水)~24日(日)

駅前劇場

 

作:唐十郎 演出:久保井研+唐十郎
絵:合田佐和子

作曲:小室等、北村早樹子、安保由夫

宣伝美術:海野温子
舞台美術:大鶴美仁音+紅美術団子

照明:福本雄樹 衣装:藤井由紀
音響:福原由加里 舞台監督:全原徳和

演出助手:加藤野奈
 

出演:
大鶴美仁音(ガラスの子宮を持つ少女・雪子)
福本雄樹(妹・雪子を探している男・田口)
山田隼平(田口の親友・有沢)

福原由加里(ガラスのビンを持つ有沢の婚約者・ビンコ)
藤井由紀(気風がいい看護婦長)
稲荷卓央(オテナの塔へ行軍する氷の兵隊の連隊長)
全原徳和(雪子のフィアンセでありガラス工場の主任・フランケ醜態博士)
友寄有司(オテナの塔に向かっている老人A)

久保井研(老人B)
加藤野奈、新美あかね、升田愛、栗田千亜希(フランケの助手/防空頭巾の女)
重村大介、山本十三、岡田篤哉、藤森宗、松本遼平(医師/乞食老人/町の人々)

 

STORY

親友・田口の病院に見舞いに来た有沢と婚約者・ビンコは、田口の腹の中に女性の髪の毛が発見されたことを聞かされ、取り出すかどうかの判断を看護婦長から求められる。一方、田口は夢の中で、行方不明となっていた妹・雪子に再会する。ガラス工場で働く雪子は主任のフランケ醜態博士と婚約していた。雪子はフランケによってガラスの身体に変えられる手術を施されていたが、温かい肉体の世界へ憧れを持ちはじめた…。


1985年、状況劇場の若衆公演として上演された唐十郎さんの代表作の1つ。

いつもの紅テントを離れ、珍しい劇場公演(私自身は東京乾電池との合同公演を除けば初めて)。

 

本作は2018年3月に新宿梁山泊、2019年12月に日本劇団協議会の新進演劇人育成公演として上演されたのを観ていて、この3年で3回目の鑑賞となる。笑

その中で今回は謂わば本家本元で、その面目躍如たる公演だった。

まず、何と言っても大鶴美仁音さん。D.N.A.のなせる業なのか、もはや唐さんがまだ生まれざる娘のために当て書きしたんじゃないかと思うぐらい雪子そのもので、ガラスのような繊細さと内に秘めた強さを感じさせる。とりわけ、自分が失った左手の三本指の代わりに兄の指を切るシーンはただただ切なくも美しかった。

 

全原徳和さんはこういう役が本当によく似合うなぁ。友寄有司さんと久保井研さんによる老人2人組のシーンも好き。笑

 

上演時間1時間25分。