『新 兵隊やくざ』 | 新・法水堂

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演劇と映画の日々。ネタバレご容赦。

『新 兵隊やくざ』
 
 
1966年日本映画 85分
監督:田中徳三
原作:有馬頼義 文芸春秋所載「貴三郎一代」より  脚本:舟橋和郎   企画:久保寺生郎
撮影:中川芳久  録音:三枝康徐  照明:伊藤幸夫  美術:下河原友雄
音楽:鏑木創  編集:中靜達治  助監督:岡崎明  製作主任:渡辺俊策
出演:勝新太郎 (大宮貴三郎)、田村高広[田村高廣] (有田上等兵)、瑳峨三智子(女郎・桃子)、成田三樹夫(憲兵伍長・青柳)、北城寿太郎(鬼頭中尉)、見明凡太郎[見明凡太朗](堀内大尉)、藤岡琢也(豊後一等兵)、遠藤辰雄(女郎屋“竜宮”の主人・根上)、神田隆(憲兵隊長・山本)、玉川良一(上州一等兵)、村上不二夫(高倉少尉)、橋本力(鬼頭中隊の軍曹・木崎)、高田宗彦(根上の用心棒)、夏木章(憲兵)、紺野ユカ(女郎・よし子)、緋桜陽子(同・紅子)、真城千都世(女郎・朱実)、田中三津子(女郎・花子)、町田博子(竜宮のやり手婆)、伊達正(中国人男性)、佐々木正時(同)、九段吾郎、後藤武彦(山本の部下)、森田健二(憲兵の部下)、佐山真次、荒木康夫、三夏伸(第三分隊の兵士)、井上大吾(根上の用心棒)、劇団ひまわり
 
STORY
軍用トラックを奪って軍隊を脱出した大宮と有田だったが、中国大陸はあまりにも広く、曠野の真中で車のガソリンはきれ、二人は夜を徹して歩きまわった末、八路軍の攻撃をうけ窮地にたった。そこへ忽然と友軍が現れ二人は不本意ながらも、また軍隊に復帰した。ところが、この八路軍討伐にあたっている鬼頭中隊の訓練の厳しさはまた格別。バカバカしくなった二人は、さんざ隊内で大暴れしたあげく、また憲兵に発見されるのを恐れて、再度の脱走を計った。労働者の集団に紛れこんで天津にたどりついた大宮と有田は、まず野戦貨物廠に眠っている物資の略奪を計画。浪曲師になりすまして隊内に潜りこんだ二人は、そこの万年一等兵豊後を仲間にひきいれ、大宮の腕力、有田の機智で、見事に荷馬車いっぱいの砂糖袋を奪取した。しかし、その夜、大宮と有田は妓楼竜宮の妓を総揚げして乱痴気騒ぎをしたあげく、妓楼の主人根上の甘言に乗せられ、有金を全部賭場で巻きあげられてしまい、翌日からは払えない花代のために、根上のもとで下働きをする破目に陥った。だが、そんなうち、大宮と有田は軍の上層部が根上と結託して、悪辣な金もうけをしていることを知り、怒った二人は、大宮がホレた女桃子以下全員の足抜きを敢行し、脱出したあげく、ちゃっかりと女郎屋「いろは」を開店した。しかし執念深く大宮たちを追っていた根上は、たちまち二人を発見し、山本憲兵隊長を後だてに「いろは」に殴り込んだ。ところがここで、豊後が昔の軍隊の同僚青柳憲兵隊伍長と再会。豊後はいばりちらす青柳に腹をたて、青柳の古傷をあばいた。その晩豊後は、青柳に殺された。怒った二人は、青柳との対決を心に決めた。が、いかんせん相手は絶大な力を持つ憲兵、二人は捕えられ、軍法会議にもかけられず、憲兵隊の手で闇から闇へ葬り去られようとした。が、わずかなスキを見出した大宮は青柳の拳銃を奪い、有田を助けて大暴れしたあげく隊長室のストーブに不発弾をぶちこんで脱走した。数分後、憲兵に化けてオートバイで脱走する二人の後にすさまじい火の手が上った。【「KINENOTE」より】

『兵隊やくざ』シリーズ第3弾。
 
前作『続・兵隊やくざ』のラストの続きからスタート。
シリーズものの常として徐々に脚本が適当な感じになってきてはいるが、勝新と田村高廣さんのコンビはますます強固なものに。八路軍に追われて人形になりすましたり、豊後一等兵を相手に浪曲師になりすましたりする際も息の合ったところを見せる。特に田村高廣さんは真面目に演じているから余計におかしみが増す。
本作のヒロインは山田五十鈴さんの娘でもある嵯峨三智子さん扮する女郎・桃子。貴三郎が桃子と結婚!するも、やはり有田からは離れられない貴三郎なのでした(「今日のワンコ」風に。笑)。
 

第1作『兵隊やくざ』に続いて憲兵役の成田三樹夫さんがやっぱりカッコよろしいのう。

目つきが鋭すぎて、こちらの方がよっぽどやくざだけど。

 

ところで、これまでの3作とも音楽は違う人が担当しているけど、本作の鏑木創さんが一番好きだな。