シェイクスピアズ・グローブ
『夏の夜の夢』
Shakespeare's Globe: A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM
2013年 シェイクスピアズ・グローブ座 2時間48分
作:ウィリアム・シェイクスピア
演出:ドミニク・ドロムグール
デザイナー:ジョナサン・フェンソン 作曲:クレア・ヴァン・カンペン
振付:シアン・ウィリアムズ 音楽監督:ジョージ・バートル
映像版監督:ロビン・ラフ 製作総指揮:ドミニク・ドロムグール、ロバート・マーシャル
製作:ロッテ・ブシャン、ヘレン・ヒルマン
出演:
ミシェル・テリー(アマゾンの女王ヒポリタ/妖精の女王ティターニア)
ジョン・ライト(アテネの公爵シーシアス/妖精の王オーベロン)
マシュー・テニソン(パック/饗宴係フィロストレイト)
サラ・マクレー(ディミートリアスを恋する乙女ヘレナ)
オリヴィア・ロス(ライサンダーを恋する乙女ハーミア)
ルーク・トンプソン(ハーミアを恋する若者ライサンダー)
ジョシュア・シルヴァー(ハーミアへの求婚者ディミートリアス)
ピアース・クウィグリー(機屋ニック・ボトム)
ファーガル・マケロフェロン(大工ピーター・クウィンス/第一の妖精)
クリストファー・モーガン(ふいご直しフランシス・フルート/妖精・カラシの種)
ハス・ガービヤ(仕立屋ロビン・スターヴリング/妖精)
トム・ローレンス(鋳掛け屋トム・スナウト/妖精)
エドワード・ピール(ハーミアの父イジーアス/指物師スナッグ)
タラ・グヴェイア(妖精・蜘蛛の糸)
モリー・ローガン(妖精・蛾の精)
ステファニー・ラシーン(妖精・豆の花)
ミュージシャン:
エミリー・ベインズ、アーンジア・ハウクソン、サラ・ハンフリーズ、ニコラス・ペリー
STORY
アテネ公シーシアスとアマゾン国のヒポリタとの結婚式が間近に迫る中、貴族のイジーアスと娘ハーミア、若者のライサンダーとディミートリアスがやってくる。イジーアスは娘をディミートリアスと結婚させようとしていたが、ライサンダーと恋仲のハーミアが聞き入れないため、シーシアスに訴えにやってきたのだった。シーシアスから4日の猶予を与えられたハーミアは、ライサンダーと駆け落ちすることにして森に向かう。ハーミアは友人ヘレナにも駆け落ちのことを伝えるが、ディミートリアスに想いを寄せるヘレナも後を追う。森にはシーシアスとヒポリタの結婚式で芝居をする6人の職人が練習をするために集まってきていた。一方、森では妖精王オーベロンと妻タイターニアが取り換え子をめぐって喧嘩をしていた。腹を立てたオーベロンは妖精パックを使い、タイターニアのまぶたに媚薬を塗らせる。いたずら好きのパックはライサンダーたちにも媚薬を使い、ライサンダーとディミートリアスがヘレナを愛するようになる。更にタイターニアもロバの頭に変えられた職人ボトムに惚れてしまう。タイターニアを憐れに思ったオーベロンの命令により、パックが魔法が解き、夫婦は仲直りをする。眠り込んでいたハーミアたちも目を覚まし、ハーミアはライサンダーと、ディミートリアスはヘレナと結ばれ、シーシアス夫妻とともに結婚式が開かれることになる。
ナショナル・シアター・ライヴ版に続いてグローブ座による『夏の夜の夢』。
NTLive版がイマーシブの手法を用い、設定や配役も大胆に変えていたのに対し、本作は本家本元だけあって極めて正統的なプロダクションとなっている。
本作は色々な要素がつまっているが、今回のグローブ座版はそれぞれのパートの持ち味を最大限に発揮しようとしているという印象。
ハーミア、ヘレン、ライサンダー、ディミートリアスの4人の恋人たちのパートはNTLive版では若干印象が薄かったが、今回は森に入ってから段々衣裳も汚れ、一体感が出ていた。
また、職人劇団による余興劇も舞台を作るところから始め、衣裳もちゃんと着て演じられていつつも(壁もちゃんと着ぐるみで登場)、グダグダ具合がよく出ていた。
パックは上半身裸で、ベストを着ているかのような文様が入っていて、顔にも同様の文様。
非常に細身で、マチズモ全開のオーベロンに軽々と持ち上げられたり、キスされるシーンも。
そんな中、本作で一番印象に残ったのはタイターニアとボトムのパート。
NTLive版ではロバの耳をつけただけだったが、本作では被り物を使用。ロバの頭となったボトムに惚れるタイターニアが何とも可愛らしい。タイターニアを演じるのは、グローブ座版『ハムレット』でタイトルロールを演じていたミシェル・テリーさんで、クレジットがトップなのも納得。笑
NTLive版のような演出も面白いけど、正統派の演出もこれはこれでいいですなぁ。