DULL-COLORED POP『マクベス』 | 新・法水堂

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DULL-COLORED POP  vol.21

『マクベス』
 
 
2019年12月12日(木)~22日(日)
KAAT神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉
 
原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻案・演出:谷賢一
翻訳:松岡和子(ちくま文庫)による
 
劇中音楽:志磨遼平(ドレスコーズ)
照明:横原由祐  音響:中村嘉宏、佐藤こうじ(SugarSound)
映像:松澤延拓  衣裳:及川千春  ヘアメイク:大宝みゆき
舞台監督:森山香緒梨  舞台監督助手:浦本佳亮
照明操作:鳥海咲  映像制作:松尾佑一郎
小道具:高津装飾美術  大道具:ステージファクトリー
衣裳協力:大門真優子
宣伝美術:内田倭史(DULL-COLORED POP)
写真撮影:杉能信介  制作助手:徳永のぞみ
制作:小野塚央
 
出演:
東谷英人(マクベス)
大原研二(バンクォー/医師ほか)
宮地洸成(ダンカン王/マルカム王子ほか)
淺場万矢[柿喰う客](魔女1/マクベス夫人)
倉橋愛実(魔女2/バンクォーの息子フリーアンス/暗殺者/スコットランドの貴族ロスほか)
百花亜希(魔女3/マクダフ夫人/マクダフの息子たち/マクダフ/暗殺者ほか)
 
STORY
スコットランドの武将マクベスは、ノルウェー軍との戦いで武勲を上げた帰り道、友人バンクォーとともに三人の魔女に出会う。魔女たちはマクベスに「コーダーの領主」「いずれ王になる」と呼びかけ、バンクォーには「王にはならないが王を生み出す」と予言する。予言通り、マクベスがダンカン王からコーダーの領主を命じられたことを知ったマクベス夫人は、夫とともにダンカン王暗殺を企てる。王の一行が宴会のために城に来た夜、マクベスは寝室に忍び込み、短剣で王を殺害する。王位を手に入れたマクベスは疑心暗鬼の塊となり、バンクォーとその息子フリーアンスに暗殺者を放つ。宴会の席でバンクォー暗殺の報せを受け取ったマクベスは、その場にバンクォーの亡霊がいるのを目にして激しく取り乱す。再び魔女たちのもとを訪れたマクベスは、「マクダフに気をつけろ」「女から生まれたものにマクベスは倒せない」といった新たな予言を受ける。有力貴族のマクダフがイングランドに亡命したことを知ったマクベスは、マクダフの妻と子供たちを殺害。怒りに駆られたマクダフは遂にマクベスと対峙するが――。
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シェイクスピアの四大悲劇を大胆に翻案して上演。
 
冒頭の3人の魔女のシーンは、クラブのホステス3人とスーツ姿のサラリーマン風の客2人といった趣で演出。
「きれいなものは きたない/きたないものは きれい」と、ドレスコーズ志磨遼平さん作詞・作曲による「マクベスの歌」が歌われた後、予言が告げられる。
 
なんせ6人で演じるものだから、ダルカラお得意(?)の人形を使っての一人芝居(ダンカン王と息子マルカム王子/マクダフ夫人と子供たち)もありつつ、クライマックスへ。
本屋B&Bでのイベントで谷賢一さんが仰っていた衝撃のラスト。
それはつまり――(以下ネタバレ注意。反転してくだされ)
原作ではマクダフがマクベスを殺害して復讐を遂げるが、本作ではなんとマクダフが死ぬ。そして、マクダフほか諸々の殺害に私も妻も関わっていないと閣議決定がなされたとマクベスが高らかに宣言。
うん、こりゃ確かに笑えるわ。笑っている場合ではないけど。
ただ、このオチにしたがために全体的にパロディ感が強まってしまったのは事実。諸刃の剣ではあるが、今、この時代にしか使えないオチということで、それもまた時代を映す芝居ということでありなのかな。
 
キャストは男女半々ではあるが、断然女性陣が目立っていたなぁ。マクベス夫人の淺場万矢さんはバスタブから出ての着替えなどもあり。淺場さんが所属する柿喰う客で上演されていた女体シェイクスピアシリーズ、復活してくれないかなぁ(『マクベス』はその第2弾『絶頂マクベス』として上演された)。
 
上演時間約1時間31分。