募集設立の場合の株式会社設立の流れは

?設立時発行株式の残部の募集
?設立時募集株式の引受けの申し込みおよび割当
?出資の履行
?創立総会
?種類創立総会等
?設立登記

のようになる。
?~?についてはこちら。?についてはこちら


?種類創立総会等

まず基本的な考え方から。
ある種類の種類株主に不利益を生じさせるような取り決めについては、通常の株主総会の決議の他に、不利益を被るおそれのある種類株式を有する株主のみで集まった株主総会(=種類株主総会)の決議が必要となる。これは創立総会に限った話ではないが、こうした規定は創立総会においても適用される。このときに集まる種類株主達の総会を種類創立総会と呼ぶ。

この決議には、1.設立種類株主全員の同意を要するものと、2.種類創立総会の決議を要するものに分けられる。

1.設立時種類株主全員の同意を要するもの
?取得条項付株式に関する規定を設けるとき(99)
?ある種類の株式について、種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合の種類株主総会決議を要しない旨を定款に定める場合(99)

2.種類創立総会の決議を要するもの

?ある種類の株式の内容として譲渡制限を付する場合
?ある種類の株式の内容として、全部取得条項を付する場合
?101条1項各号に掲げる事項についての定款の変更をすることにより、ある種類の設立時種類株主に損害を及ぼすおそれがある場合

上の?と?の定款変更をする場合は、その種類の株式を所有する株主による種類創立総会の決議を要するが、当該種類創立総会において議決権を行使することができる設立時種類株主が存しない場合は、種類創立総会決議は不要。

なおこれらの決議要件について。
・原則:定足数は、議決権を行使できる設立時種類株主の議決権の過半数、決議は出席者の議決権の3分の2以上に当たる多数による
・例外:上記の??の定款変更をする場合は定足数が、議決権を行使できる設立時種類株主の半数以上(種類株主が10人なら5人以上が定足数)、そのうちの3分の2以上に当たる多数による


以上が種類創立総会の決議を要する定款の定めまたは変更である。
ポイントは、不利益を被る種類株主達による別段の決議を要する点。ここでいう不利益とは、基本的には譲渡制限や取得条項や全部取得条項を付することを言う。

この為、直接的にはある種類の株式に譲渡制限や取得条項を付す場合以外にも種類株主総会の決議を要する内容の定めがありうる。例としては以下のような場合。

~株式の種類~
A
B(取得請求権付株式、対価はA)
C(取得条項付株式、対価はA)

このとき、A種類の株式に対して譲渡制限や全部取得条項を付する場合は、Aを対価とするBやCの種類株式による種類株主総会の決議を必要とする。
[設例]
1.当期は4.1~3.31
2.×1年度の当期純利益10,000千円
3.期首における普通株式数400,000株
4.新株予約権
(1)新株予約権は前期に次の条件で発行したもの。なお前期末までに権利行使されたものはない。

・発行数:10,000個
・払込金額:15,000千円
・行使価額:500円
・新株予約権行使による発行株式総数:80,000株

(2)×2年1月1日に上記の新株予約権のうち25%が権利行使された。

5.株価
・×1年4.1~×2年3.31の平均株価:750円
・×1年4.1~×1年12.31の平均株価:800円
・期末における株価:700円

6.株式数は1株未満を、金額は単位を円とし小数点2位未満を四捨五入すること


[解答]
?例によって先ずは通常のEPSから。これは問題ないだろう。
・純利益10,000千円は特に記述がないので「その全てが普通株主に係るもの」と判断する。また今回は優先株についての資料もないためこのままの数字を使用。
・株式数について。期首から期末まで保有した普通株式400,000株。ここに「実際に期中増減した普通株式」を加減算。ワラントによる発行普通株式総数は80,000株。この25%が権利行使されたので20,000株を発行。保有期間は1.1~3.31なので、期中平均で4,932株の増加。

EPS=10,000千÷404,932=24.70円

?潜在株式調整
考慮すべきは「純利益調整額」と「株式増加数」。ただしワラントの場合は純利益調整額は増減ナシである。ここは絶対におさえておきたいポイント。

潜在株式が新株予約権の場合、純利益の調整は不要

新株予約権が行使されようがされまいが、PLは微動だにしないわけだから、そもそも純利益調整は必要としない。(ふと思ったけど、株式交付費を資産計上しなかった場合はどうなんだろう・・・)

新株予約権に関する仕訳を復習しておくと
発行時:(借)現金預金 15,000千 (貸)新株予約権 15,000千

行使時:(借)現金預金 1,250千、新株予約権 3,750千 (貸)資本金 2,500千、資本準備金 2,500千
※または貸方、自己株式5,000千とか

新株予約権で利益が生じ得るのは失効による新株予約権戻入益のみである。潜在株式の調整において、権利行使されるとかされないとかを考えるので、失効についての記述がない問題上ではPLには影響がない。


株式増加数について
問題はこちら。ここはまだ理解がかなり浅いのでじっくり説明。
まずワラントがすべて行使された場合の発行株式総数は80,000株。この80,000株については実際に権利行使されたものと、実際には権利行使されなかったものに分けて考える

権利行使は1/1に25%、つまり20,000株である。期末時点で権利行使されなかったのは60,000株である。

今までの(転換社債の)計算では、「潜在株式調整の過程では、実際の期中平均株式数+発行されていなかった部分すべてを発行されていたと(最も早いタイミングで)仮定した株式数の期中平均(のアンダーライン部分)」によって株式増加数を把握していた。

これを今回のワラントに置き換えると
・実際に存在した株式:400,000×365/365+20,000×90/365

・実際に存在しなかった部分の株式
?権利行使部分の20,000株:20,000×275/365
?未行使の60,000株:60,000×365/365

のようになる。これは間違いである。これについてはASBJ=企業会計基準委員会が公表している「1株当り当期純利益に関する会計基準」の資料をそのまま参考にさせてもらうと、普通株式増加数は(1)から(2)を差し引いた数になるらしい。

(1) 希薄化効果を有するワラントが期首又は発行時においてすべて行使されたと仮定した場合に発行される普通株式数

(2) 期中平均株価にて普通株式を買い受けたと仮定した普通株式数

ワラントの行使により払い込まれると仮定された場合の入金額を用いて、当期にワラントが存在する期間の平均株価にて普通株式を買い受けたと仮定した普通株 式数を算定する。

 

なんだか意味を受け取りにくいので自分なりに言い換えてみよう。
(1)は、潜在株式によって増加する株式数。今回の設例で言えば、「新株予約権行使による発行株式総数である80,000株」を指している。
(2)について。「期中平均」とあるが、本問では株価に関する資料は3種類ある。計算上これは単純に(通年の)期中平均を全てに適用するのではなく、潜在株式だった期間の平均株価を適用することとなる。
今回の問では、
?期首から期末まで一貫して潜在株式であった60,000株部分と、
?期首から権利行使日前日である12/31までの期間に潜在株式であった部分
このふたつに分けて考える。この時にそれぞれの払い込まれた金額(=あくまで権利行使価格の合計であり、新株予約権に対する払い込みは含めない)でもって買い戻す際に用いる平均株価が、?ならば4/1~3/31の平均株価であるし、?ならば4/1~12/31までの平均株価であるという意味である。これを単純化してまとめると

普通株式増加数=権利行使に伴う普通株式増加数-期中平均株価による自己株式の買受数

といった式で表される。これを設例の数字に当てはめてみよう。


※くり返すが、ワラントの対象である株式総数80,000株について、権利行使された株式と未行使のまま期末を迎えた株式に分けて計算する。

?未行使のまま期末に残存する潜在株式は60,000株。今回の新株予約権の条件では「1株当たりに対する払込金額は500円」となっている。
よってこの60,000株について全て権利行使が行われたと仮定すれば、それに対する払い込みの総額は
60,000株×500円=30,000,000円
となる。ここで更に上記の30,000,000円を用いて自己株式を購入することを仮定する。
そしてこの時に用いる平均株価が、先に説明したようにそれが潜在株式であった期間である。今回のこの60,000株については期首から期末まで行使されない、つまり一貫して潜在株式の状態を保ったままであるため、自己株の価格を決定する際に用いる期間も4.1~3.31の平均株価である750円を用いる。
30,000,000円÷@750円=40,000株
これが自己株の買受数である(もちろん仮定)。ワラントの潜在株式調整における普通株式増加数は、単純に言えば「潜在株式数-自己株式数」となる。
つまり、この場合であれば
権利行使により普通株式となる潜在株式60,000株-自己株式40,000株=20,000株
となる。つまりこの80,000株のうちの60,000株部分に関する普通株式増加数は20,000株という結論である。

?権利行使された新株予約権により発行されたのは20,000株。繰り返すが「権利行使に伴う普通株式増加数」とはこの20,000株をそのまま指している。こちらついての行使価額は合計で
20,000株×行使価額@500円=10,000,000円
これが権利行使により払い込まれる金額の合計である。
次に?と同様、この10,000,000円を用いて自己株式を買い戻してくる。この時に用いる株価を「幾らに想定するのか」は、やはりこの20,000株が潜在株式であった期間である。20,000株は期首段階で存在していたが、当期中の1.1に権利行使され、実際に普通株式となった。つまり潜在株式であった期間は4.1~12.31である。この期間に対応する平均株価が800円である。つまり単価800円の自己株を10,000,000円分買ってくることを仮定するのである。

10,000,000円÷800円=12,500株

これが20,000株部分に対する払込みによって買い戻せる自己株式数である。この自己株式数を20,000株から差し引くことによって、普通株式増加数を認識する。

20,000-12,500=7,500株

但し、この7,500株は期首から期末までの存在を想定していない
実際には1.1以降は20,000株の普通株式が発行されており、この部分については通常EPSで把握されている(20,000株×90日間/365日間=4,932)。つまりこの増加数の7,500株は当期中のうち、期首から12.31までの期間に按分しなければならない。4.1から12.31までは275日間。よって
7,500×275/365=5,651株
これが20,000株部分に係る最終的な普通株式増加数である。

さて、以上で?と?のそれぞれの株式増加数が出揃った。
?20,000株
?5,651株
なので普通株式増加数は合計で25,651株。
これに通常EPSの普通株式数404,932株を加えると合計で430,583株である。よって潜在株式調整後の1株当り当期純利益は

10,000,000円÷430,583株=23.22円

となる。

計算上注意したいのは、特に権利行使された方の株式(20,000株)を何株として把握するか。
権利行使後の株式数は20,000株×90/365日だが、権利行使前の増加数は7,500株×275/365日となっていることに気をつけたい。ワラントについては、「潜在期間は自己株買戻し分を差し引く」ことに注意である。

なおこれらの期間按分は月割り計算によることもできる。
20,000株部分について、
潜在中は7500株×9/12ヶ月とし、行使後は20,000株×3/12ヶ月として計算することもできる。この他に、未行使分(自己株控除後)の20,000株×12/12ヶ月と期首から一貫して保有している普通株式400,000株を加えて調整後の株式数とする。
募集設立の場合の株式会社設立の流れは
?設立時発行株式の残部の募集
?設立時募集株式の引受けの申し込みおよび割当
?出資の履行
?創立総会
?種類創立総会等
?設立登記
のようになる。

ただし?~?については前回の記事にて。今回は?について。


?創立総会
1.招集、決議および議決権
(1)招集
設立時募集株式の出資の履行がされた場合、発起人は遅滞なく創立総会(設立時の株主の総会)を招集しなければならない(65)
創立総会の招集通知を発する時期については以下。

~創立総会の招集通知を発する時期~
?原則:創立総会の日の2週間前まで
?書面投票・電子投票を認める場合:創立総会の日の2週間前まで
?設立しようとする会社が非公開会社の場合:創立総会の日の1週間前まで
?設立しようとする会社が非公開会社かつ非取締役会設置会社の場合:創立総会の日の1週間前までだが、定款でさらに短縮可能

※議決権を行使することが出来る株主全員の同意により招集通知は省略可能

まとめると、通常は2週間前まで。これは書面投票や電子投票を認めていようが変わらずに2週間前まで。ただし非公開会社は1週間前まで(株主が顔見知りだったりして連絡しやすい)。非公開かつ取締役会を設置していない(=会社側の権限があまり強くない)場合はやはり1週間前までだが定款で短縮可能。

(2)決議
まず最初に通常の(つまり創立総会でない株主総会の場合の)決議要件について復習する。これらはいずれも定款で特段の変更がなかった場合の決議要件である。

・普通決議:議決権の過半数の定足数と、出席した株主の議決権の過半数による。
・特別決議:定足数は議決権の過半数、そのうちの3分の2以上の賛成を以って決議
・特殊決議
  • 309条3項の特殊決議
定足数に制限はなく、議決権を行使可能な株主の半数以上(議決権の過半数ではない)と、議決権を行使可能な株主の議決権の3 分の2以上に当たる多数により決議する。
  • 309条4項の特殊決議
定足数に制限はなく、総株主数の半数以上の株主(議決権の過半数ではない)と、総株主の議決権の4分の3以上により決議する。
これが通常の株主総会における決議要件である。
これにたいして創立総会の決議要件は、決議事項によっても以下のように変化する

・原則
定足数は過半数であって、出席した設立時株主の議決権の3分の2以上に当たる多数による

・発行する全部の株式に譲渡制限規定を設ける場合
定足数は議決権を行使できる設立時株主の半数以上(議決権の過半数ではない)であって、その中の3分の2以上の多数による

・発行する全部の株式に取得条項付株式についての定款の定めを設け、または定款の変更(廃止を除く)をする場合
総株主の同意による

(3)議決権
これは原則通り。つまり一株につき一議決権。議決権制限がある場合は行使できない。ただし創立総会における例外として、「決議内容が株式会社の設立の廃止について」である場合は、議決権制限株主であっても議決権の行使は可能。

2.権限
権限というよりも、創立総会の決議内容はほとんど定められている。創立総会で決議できるのは、
・会社法で創立総会の決議内容について規定されている事項
・株式会社の設立の廃止
・創立総会の終結
・その他株式会社の設立に関する事項
などである。
会社法で規定されている創立総会の決議事項は主なものとしは以下。
一.設立時の取締役、会計参与、監査役、会計監査人の選解任
二.設立時取締役等による設立手続の調査報告を受けること
三.定款の変更
四.定款に発行可能株式総数を定めていない場合における発行可能株式総数の定めの設定

3.設立時取締役等(+監査役)の設立調査手続
設立時取締役等は、一定の事項を調査し、創立総会に報告しなければならない(93)。具体的内容は以下のとおり。

一.現物出資財産等について検査役の調査を要しない場合において、定款に記載された当該財産の科学の相当性
二.現物出資財産等について弁護士等の照明を受けた場合においての当該証明の相当性
三.発起人による出資の履行および設立時募集株式の引受人による払い込みが完了していること
四.その他、株式会社の設立の手続が法令または定款に違反していないこと

※これらを調査した設立時取締役または設立時監査役は報告を行う。ただしその報告先は募集設立の場合と発起設立の場合でことなる。本エントリは募集設立の特有の手続だが、ここではこれらの異同についても見ていく。

・発起設立の場合
不当な事項があった場合のみ、発起人にその旨を通知しなければならない。

・募集設立の場合
調査の結果を創立総会に報告しなければならない。

まず報告先が発起人なのか創立総会なのかの違いがある。さらに発起設立の場合は、違反があった場合にのみ報告を行うが、募集設立の場合は、違反の有無に関わらず、調査の結果を創立総会に報告することになる。

以上が創立総会について。
?種類創立総会等
?設立登記
については次エントリにて。