A社という会社には支店がある。例えば横浜支店とさいたま支店のふたつ。通常「支店で行われた取引は支店で独自に会計処理」される。しかし会社はA社というひとつだけである。財務情報のディスクローズは法人格を会計単位として行われる。この場合A社の利害関係者は、A社という法人格単位での財務諸表を求めているからだ。このため、支店で行われた会計処理を本店のものと統合して外部公表用の財務諸表を作成する必要がある。統合の為の会計処理基準が今回から学習する本支店会計である。
本店、支店ともに社内での会計単位であるため、会計帳簿はそれぞれが有する。しかしこの統合の手続は合併清算表を用いて帳簿外で別途行う必要がある。

さらにA社は、B社・C社という子会社を支配している。この時に作成されるB社・C社を含めたグループ全体の財務諸表の為の会計処理が連結会計である。


・本支店会計の流れ
?本店、支店ともに期中取引をそれぞれの会計帳簿に記録している。ただし期中取引には本支店間取引が含まれる場合がある。本支店間取引は、照合勘定を用いて処理される。本支店間での債権債務が貸借を逆にしてバランスしていることを照合するのである。本店においては、支店に対する債権を借方に支店勘定で、債務を貸方に支店勘定で把握する。たとえば本店が支店に掛で商品を売上げた場合は
(借)支店 ××× (貸)支店売上 ×××
となる。通常であれば売掛金となる債権は支店勘定で把握される。同様に支店においても、本店に対する債権債務を本店勘定で記帳する。

?期中取引を記録した会計帳簿を元に、本店支店が各自に前T/Bを作成し、それぞれ固有の決算整理を行う。このとき未達取引が含まれることがある。未達取引とは、例えば支店が既に送付した商品が、決算段階において本店に到着していないような場合の処理を言う。

?期中取引から前T/Bを作成し、決算整理を経て後T/Bが作成される。後T/Bを元に合併清算表を作成し、それぞれの後T/Bが合算されることになる。合算後は合併整理を行う必要がある。合併整理とは、照合勘定の相殺、内部取引高の相殺、内部利益の調整、法人税等の計上を含んだ内容の会計処理である。

おおまかな流れは以上のようになるが、これは現段階よりも本支店会計の学習を一通り終えてから何度か読み返したい。
他社を支配し、または他社に支配されるなどの形で提携し、グループを形成している企業は多い。これによるメリットは、競争力の向上、企業経営の効率化、リスク分散などが考えられる。こうした企業間の結びつきは「企業結合」、「企業合同」などと呼ばれる。これらの表現に法律上の定義はないが、用語でみたような形態をとり、会社法では2条の26号から32号あたりが根拠となっている。

・株式所有に基づく結合
具体的に「支配する/支配される」状態は、ある会社が他社の議決権の過半数を所有する(またはされる)ことである。株式の50%超の所有によって、株主総会を通じた親会社/子会社と呼ばれる支配従属関係が形成される。
また、親会社が子会社の発行済株式の全部を有するときこれらは完全親会社、完全子会社と呼ばれる。
さらに親会社が自らは生産・販売などの事業活動を行わず、子会社を支配することだけを主たる事業目的とするときは、この親会社を『持株会社と呼ぶ。


・事業譲渡等
前回も見たが、事業譲渡等とは次の4つの行為を言う。
?事業の全部の譲渡
?事業の重要な一部の譲渡
?他の会社(外国会社その他の法人を含む)の事業の全部の譲受け
?事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業場の損益の全部を共通にする契約、その他これに準ずる契約の締結、変更、または解約

・組織再編行為の種類
組織再編には次のようないくつかの種類がある。合併、会社分割、株式交換、株式移転、組織変更などである。これらについてはエントリをいくつか分けて詳述していく。まずは合併から。

・合併
合併には吸収合併新設合併の2種類がある。また、合併はあらゆる種類の会社でも可能であり、これに制限はない。例えば株式会社と株式会社が合併して合名会社を設立することもできるし、株式会社と合名会社が合併して合名会社を存続させることもできる。

(1)吸収合併
まずは合併と会社分割の違いからおさえたい。合併を行った場合、片方の、もしくは両方の会社が消滅するが、会社分割においては消滅する会社はない。つまり会社の全ての権利義務が差し出されるのが合併である。

その上で、吸収合併とは合併により存続する会社と消滅する会社に分かれる合併を言う。2条27号には「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後に存続する会社に承継させるものを吸収合併という」とある。

このとき消滅する会社を『吸収合併消滅会社』と言う。消滅する会社が株式会社であれば「吸収合併消滅株式会社」といい、消滅する会社が持分会社であれば「吸収合併消滅持分会社」という。両者を合わせた概念が吸収合併消滅会社である。
同様に、吸収合併において存続する会社は『吸収合併存続会社』と呼ばれる。こちらも「吸収合併存続株式会社」と「吸収合併存続持分会社」をまとめた概念。

(2)新設合併
2条28号には「2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものを新設合併という」とある。
吸収合併では片方が存続して片方が消滅したのに対し、新設合併とは双方が消滅すると同時に新たな会社を設立する形態をとる。
新設合併も、「新設合併消滅会社」や「新設合併設立会社」に分けられる。会社形態により、さらに「新設合併消滅株式会社」や「新設合併設立株式会社」などに分かれる。

吸収合併によって消滅する会社の社員は存続する会社から対価を得る。このときの対価は一般に株式や持分。また、新設合併によって消滅する会社(この場合双方)の社員も、新設合併設立会社から対価を得る。こちらの対価は確実に株式や持分などの社員権となる。

この論点についてはまた改めて学習するが、新設合併設立会社が消滅会社の社員に対して交付する対価が社員権でなければ、新設合併設立会社には社員が存在しない状態が生じてしまう。
これに対して、吸収合併消滅会社の社員に交付する対価が社員権でなくとも(例えばワラントやボンド)、相変わらず存続会社の社員が存在する為、社員不在の自体を招くことはない。対価を社員権以外とすることは対価の柔軟化と呼ばれる。

以上、会社再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、組織変更)の中の合併について。次回は会社分割から。
もう一度、このエントリが学習上どのようなポイントにあるかを把握しておこう。商品販売業ではあるが、通常の取引とは異なる取引に対しては、それを反映した会計記録も普通でないものになる。これらは一般商品売買に対して特殊商品売買と呼ばれる。特商の中でも学習の上で重要なものは未着品売買、委託販売、割賦販売、試用販売の4項目。これらは「自社の商品がどういう状態にあるか」をよく考えなければならない。割賦販売は基本的に商品を先に引き渡すのみだが、残る未着品、委託品、試用品は商品の所在や先行きが不透明な場合が多い。このため、未着品、委託品、試用品のそれぞれの商品の把握は「手許商品区分法」という方法による。手許商品区分法は分記法、総記法に加えて二つの三分法(一括法と都度法)のいずれかの記帳方法をとる。ここで学習するのは特商の未着品の総記法のケース。ということで設例。

[資料1]
決算整理前残高試算表(一部)
~借方~
・繰越商品:79,000
・仕入:865,400

~貸方~
・未着品:23,600
・一般売上1,168,000

[資料2]
・未着品の当期取得高は194,600である。
・当期中に貨物引換証と引換えに商品41,800を引き取っている。
・当期の未着品販売は原価率75%で行っている。
・未着品の期末棚卸高は26,200である。
・手許商品の期末棚卸高は56,720である。

[解答]

最も重要なポイント、『総記法における利益=期末商品残高+前T/B商品勘定残高(残高が借方の場合は+ではなく-する)

商品勘定(もしくは仕入勘定)とは手許商品を表している。未だ手元に到着していない商品は未着品勘定で表される。こうした違いはあるが本質的には大差ない。したがって『総記法における未着品販売の利益=期末未着品棚卸高+貸方残高の前T/B未着品残高or-借方残高の前T/B未着品残高)』

これさえ覚えていれば、後は丁寧にボックスをふたつ作成するだけで正答は得られる。この式を記憶に定着させる為にはやはり理解を深めるのが重要かと思う(総記法の基本処理について)。

ということで、まずは未着品ボックスから。使用するのは以下の数字。
・前T/B未着品:23,600(貸方
・未着品の当期取得高は194,600である。
・当期中に貨物引換証と引換えに商品41,800を引き取っている。
・当期の未着品販売は原価率75%で行っている。
・未着品の期末棚卸高は26,200である。

借方を構成する、未着品期首残高と当期取得高。資料からは期首残高が明らかにならない。当期取得高は194,600である。これら借方の未着品の金額は、取得した資産の貨幣価値であるため、当然原価でしか計上できない。
次に貸方の構成要素。これは現品引取高、当期未着品の売価、期末棚卸高から成る。現品引取高と棚卸高は原価だが、この他に未着品販売の売価が貸方に記帳されているのが総記法の特徴である。
数字はそれぞれ、現品引取41,800(原価)、期末棚卸高26,200(原価)であり、貸方では未着品販売時の売価が不明となっている。

上で強調したように、総記法における利益の算定は、前T/B残高+期末棚卸高である。貸方の売価は、未着品販売の利益を利益率で割り戻すことにで求める。いずれも資料より与えられており、棚卸高26,200+前T/B残高236,00(貸方なのでプラス)=49,800が未着品販売益である。
原価率が0.75なので、この利益49,800は0.25である。よって0.25で除して199,200の未着品売価を求めることができる。なお原価は199,200-49,800=149,400(もしくは199,200×0.75)である。

これにより貸方の現品41800、売価199,200、期末26200が出揃い、合計は267,200である。対して借方は、当期取得高194,600、前T/B残高23,600であり、唯一の不明点である期首有高は貸借差額により22,800であることが分かる。

仕入勘定については先にみた分記法のケースとなんら変わらない。

当期の費用算定式の、期首+当期-期末。注意すべきは、現品引取高を含めないこと。前T/Bの仕入865,400は現品引取高を含んだ数字であるため、これを差し引いた823,600が仕入勘定で把握する当期の費用である。