他社を支配し、または他社に支配されるなどの形で提携し、グループを形成している企業は多い。これによるメリットは、競争力の向上、企業経営の効率化、リスク分散などが考えられる。こうした企業間の結びつきは「企業結合」、「企業合同」などと呼ばれる。これらの表現に法律上の定義はないが、用語でみたような形態をとり、会社法では2条の26号から32号あたりが根拠となっている。

・株式所有に基づく結合
具体的に「支配する/支配される」状態は、ある会社が他社の議決権の過半数を所有する(またはされる)ことである。株式の50%超の所有によって、株主総会を通じた親会社/子会社と呼ばれる支配従属関係が形成される。
また、親会社が子会社の発行済株式の全部を有するときこれらは完全親会社、完全子会社と呼ばれる。
さらに親会社が自らは生産・販売などの事業活動を行わず、子会社を支配することだけを主たる事業目的とするときは、この親会社を『持株会社と呼ぶ。


・事業譲渡等
前回も見たが、事業譲渡等とは次の4つの行為を言う。
?事業の全部の譲渡
?事業の重要な一部の譲渡
?他の会社(外国会社その他の法人を含む)の事業の全部の譲受け
?事業の全部の賃貸、事業の全部の経営の委任、他人と事業場の損益の全部を共通にする契約、その他これに準ずる契約の締結、変更、または解約

・組織再編行為の種類
組織再編には次のようないくつかの種類がある。合併、会社分割、株式交換、株式移転、組織変更などである。これらについてはエントリをいくつか分けて詳述していく。まずは合併から。

・合併
合併には吸収合併新設合併の2種類がある。また、合併はあらゆる種類の会社でも可能であり、これに制限はない。例えば株式会社と株式会社が合併して合名会社を設立することもできるし、株式会社と合名会社が合併して合名会社を存続させることもできる。

(1)吸収合併
まずは合併と会社分割の違いからおさえたい。合併を行った場合、片方の、もしくは両方の会社が消滅するが、会社分割においては消滅する会社はない。つまり会社の全ての権利義務が差し出されるのが合併である。

その上で、吸収合併とは合併により存続する会社と消滅する会社に分かれる合併を言う。2条27号には「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後に存続する会社に承継させるものを吸収合併という」とある。

このとき消滅する会社を『吸収合併消滅会社』と言う。消滅する会社が株式会社であれば「吸収合併消滅株式会社」といい、消滅する会社が持分会社であれば「吸収合併消滅持分会社」という。両者を合わせた概念が吸収合併消滅会社である。
同様に、吸収合併において存続する会社は『吸収合併存続会社』と呼ばれる。こちらも「吸収合併存続株式会社」と「吸収合併存続持分会社」をまとめた概念。

(2)新設合併
2条28号には「2以上の会社がする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併により設立する会社に承継させるものを新設合併という」とある。
吸収合併では片方が存続して片方が消滅したのに対し、新設合併とは双方が消滅すると同時に新たな会社を設立する形態をとる。
新設合併も、「新設合併消滅会社」や「新設合併設立会社」に分けられる。会社形態により、さらに「新設合併消滅株式会社」や「新設合併設立株式会社」などに分かれる。

吸収合併によって消滅する会社の社員は存続する会社から対価を得る。このときの対価は一般に株式や持分。また、新設合併によって消滅する会社(この場合双方)の社員も、新設合併設立会社から対価を得る。こちらの対価は確実に株式や持分などの社員権となる。

この論点についてはまた改めて学習するが、新設合併設立会社が消滅会社の社員に対して交付する対価が社員権でなければ、新設合併設立会社には社員が存在しない状態が生じてしまう。
これに対して、吸収合併消滅会社の社員に交付する対価が社員権でなくとも(例えばワラントやボンド)、相変わらず存続会社の社員が存在する為、社員不在の自体を招くことはない。対価を社員権以外とすることは対価の柔軟化と呼ばれる。

以上、会社再編行為(合併、会社分割、株式交換、株式移転、組織変更)の中の合併について。次回は会社分割から。