まず本支店会計における直接売上/直接仕入とは何かについて。

本店が支店に対して利益を付加して商品を送付しているとする。支店は本店から仕入れた商品に、さらに利益を上乗せして外部に販売しているとする。このとき、本店が支店を介さずに直接外部に商品を販売すること直接売上と呼ぶ。
あるいは逆に支店から本店に商品を売上げ、本店がこれを外部に販売するルートを持っていたとする。このとき、支店が本店を介さずに外部に販売すること。これも直接売上である。

つまり直接売上とは「ある本支店が、他の本支店の得意先に直接に商品を販売すること」である。この場合、少し特徴的な処理が必要になる。それは


『直接取引を行った場合、いったん他の本支店を介したと見做した上で会計処理を行う』

というもの。
本来的な商品販売のルートが?本店、?支店、?外部となっているときに、いきなり?本店から?外部と流れるのが直接売上。しかしこの場合の会計処理は、やはり正規のルートに則った?、?、?となる。

[設例]
1.本店は仕入原価に10%の利益を付加し、支店に商品を送付している。
2.支店は本店から仕入れた商品に15%の利益を付加し、得意先に商品を販売している。
3.本店は仕入原価8,000の商品を支店の得意先に10,120で掛により直接販売した。

[解答]
まず設例の3の文章から、本店が直接売上を行っていることと、本店の行った直接売上の金額が、原価8000×1.1×1.15となっていることを確認したい。この場合は、支店が介入したものと仮定した会計処理が求められる。実際の取引は3の文章のみだが、1と2も仕訳に含める必要があるということ。


・支店に対する商品の送付の仮定(8000×1.1)

本店:(借)支店 8,800 (貸)支店売上 8,800
支店:(借)本店仕入 8,800 (貸)本店 8,800


・支店が得意先に販売を行った仮定(8800×1.15)

本店:仕訳なし
支店:(借)売掛金 10,120 (貸)売上 10,120

※実際は本店が外部に売り上げているので、契約によっては売掛金の債権は本店に帰属することもあるだろうが、これも支店による販売を仮定するため、債権も支店に帰属させる。
~立替取引~

[設例]
支店は本店に帰属する地代7700を受け取った。

[解答]
本店に帰属する地代の収益。これを認識するのは当然本店。ただし受け取ったのは支店。支店はいずれこれを本店に支払わなければならない。

本店:(借)支店 7700 (貸)受取地代 7700
支店:(借)現金預金 7700 (貸) 本店 7700


[設例]
支店は本店の営業費4200を立替払いした

[解答]
上と全く同様の考え方。支店が減少した4200の資産は、本来本店が支払うべきものなので、費用計上は本店側。

本店:(借)営業費 4200 (貸)支店 4200
支店:(借)本店 4200 (貸)現金預金 4200



~商品送付取引~
ここからは新たな照合勘定を用いる。すなわち「支店売上/本店売上
勘定と、「本店仕入/支店仕入」勘定である。

[設例]
本店は仕入原価8000の商品に10%の利益を付加し、振替価額を8800として支店に商品を送付した。

[解答]
本店が支店に商品を有償で送付している。つまり売上をあげている。このとき使う金額は振替後のもの。支店からすれば本店からの商品送付と引換えに負っていく債務は8800。この仕入原価も当然8800である。

本店:(借)支店 8800 (貸)支店売上 8800
支店:(借)本店仕入 8800 (貸) 本店 8800


[設例]
支店は仕入原価6000の商品に15%の利益を付加し、振替価額を6900として本店に商品を送付した。

[解答]
上の真逆。支店が本店に商品を売上げた。これには原価に一定の利益を上乗せしてある。両者の債権債務は当然この利益を乗せたあとの金額である。ただしこちらも、両者間の決済については触れられていないため、本支店間では債権債務が生じたものと判断する。

本店:(借)支店仕入 6900 (貸)支店 6900
支店:(借)本店 6900 (貸)本店売上 6900


~返品取引~

[設例]
上の商品を本店が返品した。すなわち、本店は振替価額6900の商品を支店に返品した。

[解答]
これは特に考えることもなく逆仕訳。上で両者間に生じた債権債務をそのままの金額で解消する。

本店:(借)支店 6900 (貸)支店仕入 6900
支店:(借)本店売上 6900 (貸)本店 6900
未着品の記帳方法には分記法、総記法、期末一括法などがあるが、今回は都度法のケース

[設例]
前T/B(一部)
~借方~
・繰越商品51400
・未着品18240
・仕入823,960

~貸方~
・一般売上770,000
・未着品売上271,000

決算整理事項および参照事項
・未着品の当期取得高は249,600である。
・当期中に貨物引換証と引換えに商品48200を引き取っている。
・当期の未着品販売は利益率24%で行っている。なお未着品販売の売上原価については、売上のつど仕入勘定へ振り替える方法を採用している。
・手元商品の期末棚卸高は68,800である。

[解答]
記帳法ごとに期中はどういった処理を行うか。これをしっかりとおさえていれば、未着品売買の基本処理はあまり問題ないだろう。
都度法は、「未着品の販売時に売上を計上すると同時に、その原価を未着品の貸方から仕入の借方に振り替える」。ここが全てである。
では通常どおり、未着品ボックスと仕入ボックスで当期の売上原価を算定。

?未着品について
・前T/B未着品残高:18240
・未着品の当期取得高は249,600である。
・当期中に貨物引換証と引換えに商品48200を引き取っている。
・当期の未着品販売は利益率24%で行っている。なお未着品販売の売上原価については、売上のつど仕入勘定へ振り替える方法を採用している。
・未着品売上:271,000

まず当期取得高と現品引取高。それぞれ借方249,600と貸方48,200。都度法ではこの他に期首商品と期末棚卸高に加えて未着品販売の売上原価が貸方に記帳されている。ということは前T/B残高18,240は、そのまま期末商品を表している。
未着品販売の売上原価については利益率から逆算。売上271,000×原価率0.76は205,960。残る期首の未着品は貸借差額より22,800となる。

?次に仕入ボックス
・前T/B繰越商品:51400
・仕入:823,960
・手元商品の期末棚卸高は68,800である。

借方は前T/B繰越商品51,400と前T/B仕入823,960からなる。当期仕入の823,960には現品引取高および未着品売上原価が含まれているため、これらを除いた569,800が一般の仕入高。

ということで
期首=未着品期首22,800+繰越商品51,400
当期=未着品取得高249,600+当期の一般仕入569,800
期末=前T/B未着品残高18240+手許商品の棚卸高68,800

粗利などについては割愛。